【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~ 作:ミポリオン
「ううっ……ぐすっ」
『うるさいのう』
しばらく泣いていると、目の前の繭からニアの不機嫌そうな声が。
「えっ!?」
驚いていると、再び繭が光を放った。
勝手に宙に浮かび上がって再び形を変え、人型になって光が晴れる。現れたのは確かにニアの姿をしたキャラクターだった。
「全く――ぐえっ」
私はニアをギュッと抱きしめる。
あぁ、暖かい。ちゃんとニアの体温を感じる。良かった……良かった。
「もごごごごっ!?」
ニアが私の腕をタップする。
「あっ、ごめん……ずびっ」
私は慌ててニアを離してから鼻を啜った。
「全くピーピー喚きおって……心配せんでもあのくらいで死にはせん」
ニアは首をコキコキと鳴らしながら、いかにも不服といった表情をする。
「普通に死んでた……ずびっ」
でも、通知が出たので間違いなく死んでいたはず。嘘は良くない。
「ま、まぁ、そのようなこともあるかもしれんがな。このように儂は無事じゃ。これ以上泣くでない。うるさくてかなわん」
「ずびっ……分かった」
宙に浮くニアにポンポンと撫でられ、私は泣くのを止めた。
「ニア、随分ちっちゃくなったね」
セーラがニアを見ながら言う。
「うむ。死んだ時に一度物質として曖昧な状態になったおかげでの。縮んでしまったわ」
顔もあどけなさが増し、全身がふっくらとしている。まさに幼女にふさわしい見た目に変貌を遂げていた。
先ほど抱きしめた時、道理で違和感があったわけだ。
「ごめんっ、私のせい」
ただ、悪いのは私だ。
ニアを懲らしめるために毒貫通料理なんかを食べさせたのが悪かった。だから、体まで小さくなってしまった。
「落ち込むでない。さっきの死はワシの落ち度じゃ。お主は先に説明しておった。知った上で挑戦を受けたのはワシじゃ。ワシも毒ごときで死ぬはずないと慢心しておった。まさかお主の毒料理が儂の耐性を貫通してくるとは思わなんだ。ワシこそすまぬな。辛い思いをさせた」
「ううん、そんなことない」
ニアはそう言ってくれるけど、私が原因なのは変わらない。
「それにな。死んだのは悪いことばかりではなかったのじゃ」
ただ、そこで話の流れが変わった。
「どういうこと?」
「実はワシの体は邪神の種に蝕まれておったのじゃ。これは神々と邪神の戦いの際に知らぬ間に植え付けられておった。穢れを身に宿したことで神界を追放されたワシは、下界で慎ましく暮らしておったのじゃが、ある時、種によって理性を失い、近隣の生物を殺しつくしてしもうたのじゃ。このままではいつか沢山の生物を殺してしまう。そう思ったワシは、できるだけ誰も巻き込まぬようここで暮らしておった。自死もできぬしな。しかし、お主たちがここを見つけてしもうた。ワシは、本来関わってはいけないにもかかわらず、ついついお主たちと同じ時を過ごしてしもうたのじゃ。じゃが、嬉しい誤算があった。それはお主が神をも殺す毒を持っていたこと。ワシの体内にその毒を取り込んだ際、邪神の種とワシの体の結びつきが途切れた。そのおかげで、一度死んで体が物質として曖昧になった際に邪神の種を分離できたのじゃ」
「そうだったんだ……」
まさかニアにそんな事情があるとは思わなかった。
「お主が毒を飲ませてくれたおかげで、ワシは完全に邪神の種の支配から脱することができた。礼を言うぞ、メイ」
「それならよかった」
結局、自分の悪ふざけでニアを殺してしまった自分をまだ許せそうにない。でも、ニアが元気になったのは嬉しい。
「ただのう。見ての通り弱体化しておってな。しばらくはエネルギーの供給が必要なのじゃ。それには主従契約を結ぶのが一番なのじゃが、どちらかワシと契約を結んではくれぬか?」
ニアが幼女の姿で目を潤ませて頼み込む。
その破壊力は直視できない程尊い。
「メイが結んだら?」
「セーラの方が良いと思う」
「どうして?」
「死にまくるとニアがどうなるか分からない」
「それもそっか」
できれば私がニアと契約したいと思う。でも、それによって死ぬを我慢しなければならなくなるような事態は避けたい。
死ぬことがこのゲームをする目的だから、私はこれからも死ぬのをやめるつもりはない。
だから、ニアが私の死に巻き込まれることでどうなるか分からない以上、私とは契約を結ばない方が良いと思う。
「結論は出たようじゃの」
「うん、私と契約を結んでくれる?」
「うむ。それでは新しい名前をワシに付けてくれるか?」
「うーん、呼び方を変えるのは嫌だし、ニアで」
「承知した」
セーラが名前を付けると、セーラとニアの間にキラキラとした光のラインが生まれた。
「あ、ニアが従魔になったよ」
「うむ。これからよろしく頼むぞ」
「うん、よろしくね」
これで主従契約は済んだらしい。また一つセーラが強くなった。とてもいいことだ。
「メイもよろしくの」
「うん、よろしく」
「それでこれから何をするつもりじゃ?」
「特に予定はないけど」
元々ニアのところで遊ぶこと以外何も決めていなかった。
「それじゃあ、街に行ってもよいか? ずっとここに閉じこもっておったのでな。久しぶりに行ってみたいのじゃ」
「分かった」
ニアの頼みを断る理由はない。
私たちはニアを連れてはじまりの街へと向かうことにした。
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