【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第053話 いつやるか? 今でしょ!

「ニア、ドロップアイテムは貰っていいの?」

 

 セーラがニアに尋ねた。

 

 ニアが死んだ場所に沢山のアイテムが散らばっている。ボスの討伐報酬だ。とはいえ、本人が生きているのに、ニアが落とした物を何も言わずに貰うのは気が引ける。

 

 確認するのは当たり前だと思う。

 

「ん? お主たちがワシを倒したんじゃから当然じゃ。構わんぞ」

「いいんだ」

「うむ」

 

 ニアは特に迷う様子も見せずに頷いた。

 

 ふと思ったけど、NPCは自分がボスになったり、ドロップアイテムを落としたりするのを不思議に思ったりしないのかな。

 

 反応を見る限り、何も気にしているそぶりはないけど。

 

 もしかしたら、この辺りは疑問を持たないようにシステムで上手く処理されているのかもしれないね。

 

 とりあえず、もらえるものは貰っておこうということで、二人で手分けしてアイテムをアイテムボックスに納めていく。

 

「うわぁっ、レアリティも性能もすっごっ」

「そうなの?」

「うんっ、流石シークレットボスの討伐報酬。えぐいね。こんなのチートって言われても仕方ないよ」

「へぇ~」

 

 私はアイテムのレア度や性能に興味はない。でも、セーラはアイテムの説明を見ているらしく、嬉しそうに頬を吊り上げている。

 

 流石に私と違っていろんなゲームをしてきただけある。ゲーマー魂が刺激されてるみたい。

 

「ん? これは?」

 

 どんどん仕舞っていく途中で、禍々しいオーラを放ちながら明滅しているオーブのようなアイテムを見つけた。他のアイテムと明らかに雰囲気が違う。

 

 でも、ドロップアイテムなら仕舞わないと。

 

 一瞬だけ躊躇ったけど、私は気にせずそのオーブに手を伸ばした。

 

「それに触っちゃいかん!!」

 

 だけど、ニアに腕を掴まれてオーブを拾うのを止められてしまう。

 

「なんなの、これ」

「これこそ邪神の種じゃ……やはり残っておったか。曲がりなりにも邪神の一部というだけはあるか」

 

 ニアが忌々しげに邪神の種を見つめながら説明してくれた。

 

 言われてみれば、見た目的にしっくりくる。

 

 邪神の種は亜神であるニアさえ、理性を失い、暴走してしまう可能性のある危険な代物だ。取り扱いには注意が必要かもしれない。

 

「邪神も死なないの?」

「そうじゃな。ワシは所詮亜神じゃ。それでも不完全ながら不死に近い性質を持っとる。邪神は仮にも神の一柱じゃ。ワシよりも完全な不死に近いのは間違いない。少なくとも普通の手段では殺せはしまい」

「そうなんだ」

 

 ニアが死んで復活したように、邪神も不滅の存在なら、毒貫通で死んで復活してもおかしくない。

 

「これ触ったらどうなるの?」

「ワシでも抗えなかったのじゃから、人間が触ったら死んでしまうじゃろうな」

「へぇ~、そうなんだ……」

 

 ふっふっふっ、それは良いことを聞いた。

 

 千載一遇のチャンス。これは試さずにはいられないね。

 

「な、なにをやめるのじゃ!!」

 

 私はニアが制止するのも聞かず、掴まれていないほうの手で邪神の種を掴んだ。

 

「うっ……」

 

 その瞬間、手の先から体内に何かが侵入してくる感覚が襲い掛かってくる。ただ、銀製品で慣れているせいか、それほど辛さは感じない。

 

 ――ビービービービーッ

 

『プレイヤー情報に邪神の欠片が侵入を開始しました』

 

 ただ、頭の中に警報のような音が鳴り響く。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

 

 突然、脳内に凄まじい量の解読不可能な情報が送り込まれてきた。処理しきれず、頭が破裂しそうなほどの痛みが襲いかかってきた。

 

「あぁ~、やると思った」

「ちょっ、止めなくてもいいのか!?」

「止めてやめるようなら今頃止めてるよ」

 

 まるで静まり返っているかのように、外からセーラの呆れたような声とニアの焦った声が聞こえる。

 

『殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!――』

『殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!――』

『殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!――』

 

 背筋が凍るようなおどろおどろしい声が私の脳内に何重にも響き始めた。

 

 ただ、苦痛に慣れてしまったせいか、あまり気にならない。

 

『万毒血が邪神の欠片に対抗しました。中和に成功しました』

 

 そして、通知とともに突然痛みも声も消え去ってしまった。

 

 どうやら、私の血液単体では自分も神も殺すことはできないけど、邪神の浸食を防ぐ程度の効力はあるらしい。

 

 まさかこんなところで自分自身に死ぬのを阻まれることになるとは思わなかった。

 

「はぁ……」

 

 思わずため息が出る。

 

 残念だけど、仕方がないか……。

 

「メイ、大丈夫か!?」

「うん、なんともないよ」

 

 ニアが心配そうに触ってくるけど、本当にもうなんともない。

 

「はぁ、流石に肝が冷えたわ。まさか自ら邪神の種を取り込もうとするとは……亜神のワシでも抗えない力と破壊衝動なのじゃぞ?」

「死にたかっただけなんだけどね」

「いくら神々の加護があるからといって無謀すぎるぞ」

「ごめんごめん」

 

 ニアは呆れた顔で私を叱る。

 

 確かにニアの言う通りだ。

 

 神々の加護というのはシステムの事だと思う。あの瞬間、システムに異常が起こった。

 

 もしかしたら、毒の血がなければ、ゲーム自体不可能になっていた可能性がある。

 

 ゲーム内にはそういう恐ろしいアイテムもあることを知った。

 

 次からは気を付けよう。

 

『種族特性との相乗効果により邪神の種を完全に吸収しました。特殊条件を満たしました。邪耐性を習得しました』

 

 そう思った矢先、さらに通知が鳴った。

 

「は?」





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