【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第054話 誘拐犯?

「どうしたのじゃ? もしかして、どこか具合が悪くなったのか?」

 

 私は理解できない事態に困惑していると、ニアが心配そうに私を見上げる。

またシステムが勝手なことをして新しい耐性を手に入れてしまった。

 

 今のところ、邪魔にならなそうだけど、また一つの死ぬための選択肢が減ったのは間違いない。

 

「大丈夫。ちょっと驚いただけだから」

「そうか? それならいいのじゃが」

 

 私が返事をすると、ニアがホッと安堵のため息を吐いた。

 

「さっきのはヤバそうだったけど大丈夫だったの?」

 

 セーラは私が死ぬところを何度も見ている。私の反応がいつもと違うのもお見通しだ。流石ママ。

 

「危なかったけど、どうにかなった」

「はぁ……また無茶して。びっくりしたんだから」

「ごめん」

「いいよ、どうせいつものことだから」

 

 セーラは諦めたような笑顔で肩を竦めた。

 

 本当にセーラには頭が上がらない。

 

「じゃあ、街にいこっか」

「うん」

「楽しみじゃ」

 

 私たちはアイテムを全て回収し、はじまりの街へ向かった。

 

 

 

 

 

「おかえりなさいませ」

「ただいま」

「ただいま戻りましたぁ」

 

 街にたどり着くと、いつものように門番さんに出迎えられた。

 

「おや、小さなお子さんですね? 迷子ですか?」

 

 ただ、門番さんは今までいなかったニアを見つけ、不思議そうな顔をする。

 

「あぁ、この子は私の従魔ですね」

「え? 人にしか見えませんが……」

 

 確かにパッと見、ニアは耳が長いエルフ系種族の幼女にしか見えない。

 

 セーラが誘拐なんかをするようには思えないけど、人は見かけによらないこともある。門番として疑わざるを得ないんだと思う。

 

 私もまさかここで止められるとは思わなかったけど。従魔は除外するとかしてもいいところなのに、変なところでリアルだ。

 

「うむっ、ワシはこやつの従魔で間違いないぞ」

「確かに宙に浮く幼子は中々おりませんが……親御さんはいらっしゃらないので?」

 

 ニアは空中に浮かんでみせたけど、幼女が背伸びしてふんぞり返っているだけなので、門番さんも、はいそうですか、とはいかない。

 

 このまま通して後々に問題が起こったら困る。門番さんも慎重だ。

 

「今はこんななりをしておるが、おぬしらよりずっと年上じゃぞ?」

「ふーむ。それではこちらに手を翳していただけますか?」

 

 不満げなニアの前に、門番さんが少し考えた後、水晶玉を差し出した。

 

「仕方ないのう」

 

 ニアは少し不満げに手を翳す。

 

「……確かに従魔になっていますね。確認をとりますので、詰め所で少しお待ちいただけますか?」

 

 鑑定か何かをする玉だったみたい。それでニアのステータスを確認したっぽい。ニアは一応亜神だけど、その辺り驚かれないらしい。

 

 もしかしたらニアが驚かれないように従魔のところ以外を偽装したのかも。

 

 ただ、従魔になっててもセーラがどこかから勝手に連れてきた可能性は消えない。

 

「分かりました」

「面倒じゃのう」

「仕方ない」

 

 私たちは詰所の一室に案内された。

 

「このお茶美味しいね」

「お菓子も美味しい」

「うむ。悪くないな」

「おまたせしました。確認がとれましたので街に入っていただいても大丈夫ですよ」

 

 しばらく待つと門番さんが部屋に入ってきて、潔白が証明された。

 

「よかった」

「うむっ。やっとか」

「何を確認したんですか?」

 

 ただ、何をどうやったのか気になる。

 

「他の街に迷子になった子がいないかどうかと、エルフの国で迷子や誘拐の話はないかを確認させていただきました。どちらもないということだったので事件性はないと判断しました」

 

 見た目は中世っぽい雰囲気だけど、距離が離れた場所への通信手段があるみたい。昔ながら外観を残しているけど、中身は割と現代風な街によく似てるかもしれない。

 

 その通信手段を使っていろんな街に通話をかけて事実関係を確認したみたい。

 

「なるほど。それは良かった」

「あ、ただ、エルフの国から伝言を頼まれました」

 

 門番さんが思い出したように口を開く。

 

「なんでしょう?」

「なんでもいつでもいいのでエルフの国を訪れてほしいとのことでした」

「なんだろう。少し気になるね。ニアなんでか分かる?」

 

 エルフの国と私たちには接点がない。

 

 あるとすれば、ハイエンシェントエルフのニアだけだ。もしかしたら、ニアを連れていることでなんらかのシナリオの条件が達成されたのかも。

 

「うーむ。一応エルフ種の亜神だからのう。もしかしたら関係してるやも?」

「まぁ、相手も強制的に連行しようとしてるわけじゃないし、今すぐ来いって言われてるわけでもないから。気が向いたら行ってみればいっか」

「それでいいと思う」

 

 だからと言って強制的にシナリオが始まるわけではなさそうなので、ひとまずエルフの国のことは置いといて私たちは街の中へ入った。

 

「おおっ、昔とは違うのう」

 

 門を通り抜けるなり、ニアが街並みを見ながらきょろきょろと辺りを見回す。

 

 私もセーラも以前通った道。ニアがあっち行ったり、こっち行ったりするのを見ていると、微笑ましい気持ちになる。見た目幼女なのでママの疑似体験かもしれない。

 

 私たちはしばらくの間、ニアに付き合って改めてはじまりの街を散策した。





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