【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

56 / 63
第055話 正しいお金の使い方

 翌日。

 

 晴愛は申し訳なさそうに両手を合わせて言う。

 

「ごめん、冥。今日はログインできなさそう」

「分かった」

 

 なんでも外せない用事があるらしい。それなら仕方ない。今日は一人でログインしよう。

 

「あ、頼まれてたこれ、調べておいたから」

「早い」

 

 昨日頼んだばかりの調べ物。端末に詳細が送られてきた。自分でも調べるつもりだったけど、何もする前に終わってしまった。

 

 晴愛が有能ママ過ぎる。

 

「私に掛かれば、簡単だよ」

「ありがと」

「うふふっ、どういたしまして」

 

 逸る気持ち抑えながら、帰宅後、ゲームにログインした。

 

 

 

 

 

「ニアは出てこないみたい」

 

 ログインすると、ニアはセーラに紐づいているせいか近くにいない。

 

 この辺りはゲームっぽい。でも、それは好都合。これからすることにニアを付き合わせるわけにはいかない。

 

 宿を出て街に姿を現すと、すぐに私に視線が集まった。

 

「おいっ、あれってもしかして」

「絶対そうだよね」

「お前、話しかけてこいよ」

「無理だって」

 

 そこかしこから私らしい噂話が聞こえてくる。

 

 セーラによると、イベントで優勝したこととPKを殺し回ったせいでこの辺りで有名になってしまったらしい。

 

「はぁ……」

 

 思わずため息が出る。

 

 この真っ白装備目立ち過ぎなんだよね……。

 

 ここまで真っ白な装備は中々ないため、すぐに私の行動が知れ渡ってしまう。あまり人の視線を気にしない私でも、流石にいつでもどこでも見られているのは窮屈だ。

 

 それに、これからやることはあまり人に気づかれないほうがいい。他の人が知って私の順番が回ってくるのが遅くなったら困る。

 

 お店でローブを買って全身を覆い隠すと、私だと気づく人はかなり少なくなった。

 

 これで一安心。

 

「こっちかな」

 

 私はセーラが手に入れてきた情報を元に街の中を歩く。私は裏道に入り、どんどん人気《ひとけ》の無い方へと進んでいく。

 

 そして、人が住んでいなそうな古くてさびれた建物が並ぶ区画に差し掛かった。その中にお目当ての教会の廃墟を見つけた。

 

 私はその中に入る。

 

 中は時折人が来ているのか、通った場所のホコリが無くなっていた。

 

 ――トントン

 

「確かこの辺り……」

 

 私はホコリが積もっていない場所を頼りに、床を軽くたたきながら、セーラの情報にあった場所を探す。

 

 ――コンコンッ

 

 そして、奥に空間がありそうな場所を見つけた。床石を外すと、梯子があって地下に続いている。

 

 私は梯子を下りて先に進んだ。

 

「くさい」

 

 下は下水道になっていて、ゲーム世界がリアルに創られているせいで匂いがきつい。でも、これも目的を達成するためには仕方のないこと。

 

 私は我慢して下水道を歩いていく。

 

「あそこかな」

 

 下水道の先に、一つの扉が付いていた。

 

 扉を開けると、小さな礼拝堂のような場所に出る。なんでこんな場所礼拝堂があるのかは知らないけど、ここが目的地。

 

 一番奥にある祭壇らしき台の上に、依頼と報酬を載せる。

 

 その瞬間、載せたアイテムが消えた。

 

 どうやっているのかは分からないけど、これで多分依頼を受けてもらえたはず。

 

 何を隠そう、こここそが伝説のPKさんが依頼を受けてくれるという場所。いかにも伝説と呼ばれる人が好みそうな雰囲気のある場所だ。

 

 伝説のPKさんが私を殺せるのは確認済み。だから私は、自分を殺す依頼をしに来た。自分で死ぬのも悪くはないけど、手段を準備したりするのは面倒だし、人に殺してもらう方が楽だ。

 

 それに私には今、途方もないお金がある。なぜなら、ニアを倒してしまった時に報酬を手に入れたから。

 

 少し複雑な気持ちになったけど、ニアが好きに使えというので本当に好きに使わせてもらうことにした。

 

 依頼内容で設定した報酬で殺せるだけ殺すように頼んでいる。

 

 後はひたすらに殺してもらうだけ。楽しみ。

 

 私は来た道を戻り、教会の廃墟を後にする。

 

「ぐふっ」

 

 そして、扉を閉めて歩き始めた瞬間、私は以前と同じように背後から刺されていた。

 

 私の口から血が零れる。

 

 全くどこにいたのか分からない。もしかしたらあの礼拝堂にすでにいたのかもしれない。でも、それがいい。いつどこで現れるのか分からないからこそ死ぬ快感が増すというもの。

 

 本来街の中でのPK行為はできないはずだけど、伝説のPKさんにそれは当てはまらないらしい。

 

 流石は伝説と呼ばれるだけある。

 

 私は薄れゆく意識の中、伝説のPKさんに賛辞を送った。

 

「ごほっ」

「ぐふっ」

「がはっ」

 

 それから幾度となく、伝説のPKさんに殺された。

 

 途中なんとなく人気がない場所で殺されることが多い気がしたので、積極的に人がいない場所に行くと、案の定、殺される速度が上がった。

 

 それからは自分から人気の無い場所に入り、何度も何度も殺してもらう。どうやって私を殺しているのか分からないけど、死ねると言う事実の前には些細なこと。

 

 私は考えるのをやめ、ひたすらに殺され続けた。

 

 伝説のPKさんなら私を永遠に殺してくれるかも。

 

 そう思った矢先、私の夢は打ち砕かれた。

 

『不意打ち耐性を習得しました』

『防御力無視耐性を習得しました』

『急所攻撃耐性を習得しました』

『再生阻害耐性を習得しました』

『気配察知を習得しました』

 

 耐性とスキル習得のお知らせが届いた。

 

「う゛き゛き゛き゛き゛き゛き゛き゛き゛っ」





いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。

本作はカクヨムでの更新が最速となっております。
もし、いち早く続きが読みたい方はカクヨムへどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/16818093080700904665

「面白い」
「続きが気になる」

と思っていただけたら、ブクマや★評価をつけていただけますと作者が泣いて喜びます。
よろしければご協力いただければ幸いです。

引き続きよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。