【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第058話 恐怖体験

「おはよ」

「おはよう。昨日はどうだった?」

「まぁまぁ死ねた」

「ホント? 良かったね」

「うん」

 

 翌日、晴愛に昨日の出来事を話す。

 

「女の子でピンク忍者だなんて予想できない」

「私も予想外だった」

 

 晴愛も伝説のPKさんの正体には驚いた模様。

 

 その気持ちはよく分かる。

 

 殺してもらえなくなった私は、伝説のPKさんとフレンド登録をした。伝説のPKさんはサクラという名前のプレイヤーさん。

 

 サクラは話すのが苦手……というか、何か喋っても何も聞こえなかった。しょうがないのでメッセージを送ってもらってる。

 

 口だけがパクパクと動いているんだよね。不思議。

 

 サクラは友達が欲しくてこのゲームを始めたらしい。でも、なぜか誰にも気づいてもらえなかったんだとか。

 

 そんな時、PKを倒したら知名度が上がった。それなら有名なプレイヤーをキルしたらもっと自分を知ってもらえると思って暗殺依頼を受けるようになったらしい。

 

 なかなか面白いことを考える娘だよね。

 

 色々話を聞いた結果、誰にも気づかれないのは、初期スキルの組み合わせが悪すぎたんじゃないか、という結論に落ち着いた。その話を聞いたサクラは愕然とした顔をしていた。

 

 相変わらず表情が豊かな忍者さんだ。

 

 隠密系のスキル取り過ぎだと思う。ほとんどパッシブ――常時発動型のスキル。自分の存在を自ら隠しにいってるからね。そりゃあ、誰も気づくはずない。

 

 そして、私が初めてのフレンドだったらしい。嬉しそうに変な踊りをしていた。

 

「でもやっぱり死にまくったら耐性は手に入っちゃうんだねぇ」

「怨念メッセージ作成中」

「ほどほどにね」

「分かってる」

 

 ほどほどに大河ドラマくらいのやつ送るだけだから問題ないよね。

 

「もし、ログインしてたら紹介してね。メイがお世話になってるなら挨拶しないと」

「了解」

 

 家に帰った後、私はいつものようにITOにログインした。

 

 

 

 

 

 いつも泊まっている宿の客室で目を覚ます。

 

 セーラはまだログインしていなかったので、サクラのログイン状況を確認。ちゃんとオンラインになってる。

 

 友達を紹介したいと言うと『すぐ行きます』というメッセージが返ってきた。サクラを迎えに行く。

 

『お待たせしました』

 

 しばらくポータルの前で待っていると、サクラがやってきた。サクラはメッセージで私に挨拶をする。今日もピンクだ。

 

「忙しくなかった?」

 

 いきなり誘ってしまったので、依頼が入ってたらちょっと申し訳ない。

 

『PKの日時は決まってないから大丈夫です』

「分かった。紹介するから私たちの宿にいこ」

『分かりました』

 

 セーラがログインしたので、私はサクラを連れて宿に向かった。

 

「おい、今の見たか?」

「見た見た」

「誰も居ないのに、誰かと話していたよな?」

「あぁ、確かに虚空と話してた」

「も、もしかして魔王だけが見える下僕がいるのか……!?」

「あり得る……」

「怖ぇええええっ!!」

 

 ただ、周りが騒然としているのに私は気づかなかった。

 

 

 

 

 宿に戻ってくると、NPCが誰一人サクラに反応しない。

 

「本当に気づかれないんだ」

『そうなんです……』

 

 サクラが悲しそうな顔をするけど、凄く面白い。

 

 ――コンコンッ

 

 セーラの部屋のドアをノックすると、内側から扉が開いた。

 

「どうしたの?」

 

 外で待ち合わせることが多いのでセーラは不思議そうな顔をする。

 

「サクラを紹介する」

「分かったわ。中で待ってましょ」

 

 納得顔になったセーラが私とサクラを招き入れた。

 

「それで、いつそのサクラさんは来るの?」

 

 備え付けられたソファセットに腰を下ろすなり、セーラが私に尋ねる。

 

 その隣にはニアが座っていた。

 

「ん? もう来てるよ?」

「どこに?」

「ここ」

 

 私は不思議に思いながらも隣を指し示す。サクラは確かに私の隣に座っていた。

 

「いないじゃん」

「あぁ、そっか。セーラにも見えないんだ」

「え……何言ってるの?」

 

 そこでようやく気付いた。

 

 そういえば、セーラにサクラの状態を説明するのを忘れてた。

 

 セーラの顔が曇る。

 

「サクラは隠密スキルを極めてるから感知系のスキルがないと見えない。でも間違いなくここにいる」

「……本当にそこにいるの?」

「ワシにもほとんど見えんのう」

 

 セーラがビクビクとした様子で尋ねた。隣でジッと目を凝らすニア。

 

 あぁ、すっかり忘れてたけど、セーラはお化けや幽霊が大の苦手。誰も見えないのにそこにいるって、他の人から見れば幽霊みたいなもの。

 

「うん。サクラ、何か動かしてみて」

 

 私の指示でサクラが調度品を何度か動かす。

 

「ひっ」

 

 セーラはその様子を見て短い悲鳴を出した。

 

「セーラ、サクラはお化けじゃない。安心して」

「で、でもぉ、そうとしか見えないもん」

 

 私からはサクラが動かしているのが見えるけど、誰も居ないのに物が動いたら、それはただのポルターガイストか。

 

 それなら直接ちゃんといるって実感してもらった方が早そう。

 

「サクラ、セーラの手を触ってみて」

 

 サクラは再び指示に従い、セーラの隣に移動してその手を取る。

 

「ひょぇええええええええええっ!?」

 

 セーラは突然ビクンッと体を震わせて思いきりのけ反った。そして、そのまま背もたれにもたれかかって動かなくなる。

 

「セーラ?」

 

 近づいてみると、セーラは白目を剥いて完全に気を失っていた。




いつもお読みいただき、ありがとうございます。
しばらく更新できず、すみませんでした。
色々立て込んでおりまして、しばらくは不定期な更新になると思います。
楽しみにされている方には申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。
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