【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第060話 死の試練!?

 私たちは渦を通りぬけてアルヴヘイムに降り立った。

 

 渦が閉じて消える。

 

「とりあえず、あの大きな木を目指せばいいのかな?」

 

 私たちが居るのは巨大な森を一望できる崖の上。その森の中心に、一本の木にしてはあまりに大きな大樹が見える。

 

 もう、一つの山みたい。

 

 エルフと言えば世界樹の傍に住んでいて、守り育てているという設定が多いと思う。

 

 あの大きな木が世界樹だとしたら、その付近にエルフが住んでいる可能性が高いよね。

 

「うむ。ここには精霊や妖精が沢山おる。ワシらがアルヴヘイムに入ったことは、早晩ここのエルフの耳にも入るはずじゃ。そうすれば、ぼちぼち迎えも来るじゃろう」

「おっけー。それじゃあ、行ってみようか」

「了解」

『分かりました』

 

 私たちは崖を下り、森に足を踏み入れた。

 

 内部はまるで屋久島の巨大な杉の木が沢山集まっているみたいな感じ。

 

 ところどころにぼんやりとした色とりどりの光が浮遊していて、神秘的な雰囲気がある。

 

 はじまりの森と違って、外界から切り離された一つの世界みたいに感じる。

 

 辺りには、発行する不思議キノコに、色素の薄い果物たち、やたらと毛むくじゃらの小動物などなど、普通の森では見られないものが沢山見られる。

 

 毒は研究に使えるから沢山持って帰りたいなぁ。

 

「むっ、どうやら迎えがきたようじゃな」

「ホントだ」

 

 ニアが立ち止まると、何者かの気配が近づいてくるのが分かった。

 

 驚きと共に木の上から降りてきたのは十代後半くらいのエルフさん。

 

 彼女はニアの前に跪く。

 

「表を上げよ」

「はっ。隠形を見抜くとはおみそれしました。流石亜神様とそのお付きの皆様。早速ですが、都へご案内いたします」

 

 ニアの指示で頭を上げるエルフさん。

 

「うむっ」

 

 体つきを見るに多分女性。いかにもエルフっぽい緑の民族衣装を身に纏い、矢筒を背負っている。

 

 それにしても、隠れてたんだ、あれ。

 

 サクラに比べれば、気配がダダ漏れだから、普通に近づいてきてるんだと思ってた。改めてサクラの気配のなさは凄いと実感する。

 

 エルフさんがサクラが居るところに視線を合わせないところを見ると、多分サクラがいることにも気づいてない。

 

 流石は伝説のPKさんだ。

 

「こちらをお通りください」

 

 エルフさんが近くの木に近づいて手を翳すと、幹にあるうろが大きく口を開け、真っ暗な空間が広がった。

 

 ニアが先頭になって中に入り、その後に私たちが続く。不思議なことにうろがまるで洞窟のように奥へと続いている。

 

 しばらく進んでいくと、先に小さな光が見えてくる。

 

「わぁああああっ!!」

「すっごい」

『(゚д゚)!』

 

 光が徐々に大きくなり、光を潜り抜けると、いかにもファンタジーらしい世界が視界いっぱいに広がった。

 

 大木に窓があって、中から人の話す言葉が聞こえてくる。外では羽の生えた小さな人型の生物や、半透明の様々な造形の生物たちが飛び交っている。

 

 それはまさにエルフの街と呼ぶにふさわしい光景だった。そして、世界樹の麓がまるでお城のようになっている。

 

「亜神様だ!!」

「亜神様がいらっしゃったぞぉおおっ」

「ははぁあああっ!!」

 

 ニアが進んでいくと、エルフさんたちが次々と跪いて土下座のように頭を下げる。

 

 そして、いつの間にか世界樹まで続く道みたいになった。

 

 ニアの歓迎ぶりが凄い。

 

「亜神様、入場!!」

 

 世界樹の麓にたどり着くと、そこには巨大な扉が備え付けられた。

 

 門番らしきエルフさんの合図でゴゴゴゴゴと地鳴りのような音と立てながら開かれる。

 

 中では外と同じように土下座スタイルのエルフたちが道を作っていた。

 

 道なりに進むと、謁見の間っぽい部屋に入っていく。

 

 一番奥にある玉座には誰も座ってなくて、玉座の一番近くの正面に、頭に王冠を載せた人物が土下座している。

 

「止めい。仰々しいのは好きではない。もっと気楽でよい。後、亜神などと呼ぶでない。みんなの婆ちゃんみたいなものだと思えばよい」

 

 その人物の前までやってくると、ニアがうっとうしそうに言い放つ。

 

「かしこまりました。それではなんとお呼びすればいいですか?」

 

 顔上げると、金髪碧眼の美しい女性の顔が現れる。

 

 やっぱりエルフには美男美女しかいないんだなぁ。

 

「ニアと呼べ。これは他の者にも徹底させよ」

「分かりました。皆の者、聞いておりましたね? 立ちなさい」

 

 エルフの女王様っぽい人の一声でまるで軍隊のように揃った動きでエルフさんたちが立ち上がった。

 

「うむ。それから勘違いを正しておくが、ワシがこやつらの従魔なのじゃ。むしろワシの方がお付きじゃ。そこを違えてはならん。ちなみにワシから望んで従魔になったのじゃ。害そうなどと考えるでないぞ?」

「なんと……そうでしたか。大変失礼しました」

 

 女王様は申し訳なさそうに頭を下げる。

 

 一番偉い人なのに頭を下げまくって大丈夫なのかな。まぁ、ニアは亜神だからもっと偉いのかもしれないけど。

 

「うむ、分かればいいのじゃ。こやつらは――」

「私はメイ。ニアの友達?」

「セーラって言います。一応ニアの主です」

「……」

 

 ニアに促されて自己紹介をする。

 

 サクラは口をパクパクさせてるけど聞こえないし、誰もいることに気づいていないと思う。

 

「ささやかながら歓迎の宴を準備しました。ご参加いただけますか?」

「勿論です」

「それではこちらへどうぞ」

 

 一応主人の体をとってセーラが返事をして、女王様の案内で別室に移動する。

 

 大広間のような別室には沢山の料理が準備されていた。

 

「セーラ様、メイ様、ニア様の訪問を祝して……乾杯!!」

 

 女王様が音頭を取って宴が始まる。

 

 私たちは上にも下にも置かないおもてなしを受けて美味しい料理に舌鼓を打ち、エルフの芸を堪能した。

 

「あの、お願いがあるんですが」

 

 私はここにきた目的を叶えるため、女王様に話しかける。

 

「なんでしょう? それと普通にしゃべっていただいて構いませんよ」

「分かった。極寒のダンジョンに入らせてほしい」

 

 そう。

 

 目的とは極寒なダンジョンで死ぬことだ。

 

「そういうことでしたか……申し訳ございません。あのダンジョンに入るには条件があるのです」

 

 ニアの力で入れると思ったけど、そんな美味しい話はなかった。

 

 でも、死ぬためならちょっとくらい大変な条件でもこなしてみせる。

 

「どういう条件?」

「それは死の試練を受けていただくことです」

「え?」

 

 私は自分の耳を疑った。





いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。


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