【書籍化決定】死にまくり女子高生の冥様は無自覚にゲームバランスを破壊する~運営さん、ただ死にたいだけなのにシステムが私の邪魔をしてくるんですがっ!!~   作:ミポリオン

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第061話 死をなめないで

 え、待って待って。聞き間違いじゃないよね? 今死の試練って言った? 言ったよね? 

 

 全く期待してなかったところで思いがけない言葉が出てきてテンションが上がる。

 

 ほっほうっ……それは聞き捨てならない話。是が非でも詳細を聞かなきゃ。

 

「はい、未だかつて誰も達成したことのない試練に挑んでいただき、乗り越えていただく必要がございます。ちなみにこの試練は達成するまで外に出ることができません。今までこの試練から誰も帰ってきていないのです」

「ふーんっ」

 

 誰も超えたことのない試練。達成できなければ死。それはつまり達成しなければ中で死にたい放題ってことじゃない? 挑戦するしかないでしょ!!

 

「ですから、諦めて――」

「挑戦する」

 

 私は女王様の言葉を遮って答えた。

 

「……今なんと?」

 

 女王様はぽかんとした顔をした後、ハッとした表情になって私に尋ねる。

 

「挑戦するって言った」

「本当に挑戦されるので?」

「うん」

「本当の本当に?」

「うん」

 

 何度聞き返されても私の答えは変わらない。

 

「はぁ……分かりました。もし、メイ様が帰ってこなかったとしても私どもは責任を取れませんが、本当に構いませんか?」

 

 女王様は諦めたような表情をした後、セーラたちに確認を取る

 

「大丈夫です」

「まぁ、本人がそういうのなら好きにさせたらええ」

 

 セーラは慈愛に満ちた笑みを浮かべ、ニアは呆れたような顔をしながら承諾した。

 

『しゅごい!! 流石は魔王様。ここで死んでさらにパワーアップするつもりなんですね!!』

 

 サクラはなぜか私に羨望の眼差しを送ってくる。そんなつもりはない。

 

「そうですか……かしこまりました。本日はもう遅いので、明日試練の洞窟までご案内させていただきます。それまではごゆるりとお寛ぎください」

 

 食事を終えた私たちは、お風呂に案内された。

 

「日本の露天風呂みたいだね」

「うん」

「温泉はいいのうっ」

 

 そこは高級旅館も真っ青な広大な広さの温泉だった。貸し切り状態で泳いでも怒られない。素晴らしい解放感だ。

 

 本来、装備は呪いで外せないけど、見た目だけ限定的に外すことができた。この辺はゲーム特有のご都合主義。

 

 お風呂から上がった私たちは浴衣に着替えて客室へ案内された。和室でなんだか安心感がある。

 

「懐かしいね」

「うん」

 

 ただ、案の定サクラの分の布団がなかったので、私は子供の頃みたいにセーラと一緒の布団で寝ることに。

 

 結構大きな布団だったので二人でもよく眠れた。

 

 

 

 

 翌日。

 

「本当によろしいですね?」

「うん」

「かしこまりました。それではこちらの服に着替えていただけますか?」

「分かった」

 

 再び質問に答えると、巫女装束みたいなのを渡された。これもシステム的には呪いの装備をしたまま、見た目的に着ることができるっぽい。

 

 お付きの人っぽいのに手伝ってもらって着替えた。

 

「可愛いじゃん。似合ってるよ」

「ふむっ。なかなかじゃな」

『(´▽`*)』

「ありがと」

 

 皆に褒められた。

 

「それではついてきてください」

 

 女王様の後についていくと、大きな岩の前に案内された。

 

「ここが試練?」

「はい、少々お待ちを」

 

 女王様が何かを唱えると、岩がゴゴゴゴゴと地鳴りと共に動く。その奥には真っ暗な洞窟が口をぽっかりと開けていた。

 

「ここが試練の入り口になります。ご武運を」

「行ってきます」

「頑張ってね」

「満喫して待っておるからの。はよクリアしてくるのじゃぞ」

『頑張ってください』

 

 私は皆に見送られて死の試練が行われる洞窟の前に向かう。

 

『エルフの死の試練に挑みますか?』

 

 入り口にたどり着くと、通知が届いた。『はい』を選択して私は洞窟に足を踏み入れた。

 

「……」

 

 真っ暗と言ったつもりだったのに、自分の言葉が聞こえない。何も見えないし、何も聞こえない。感じるのは地面の感触だけ。耳が痛い位の静寂がそこにはあった。

 

 とりあえず足の感覚を頼りに先に進む。

 

 ただ、そこから何時間歩いたかな。行けども行けどもどこにもたどり着かない。最初は根気の試練なのかもしれない。

 

 本当に真っ暗で何も聞こえない以外は何もない。つまんないけど、ひたすらに歩いていく。

 

 どれくらい歩いたか分からないけど、気づいたら灯りが見えた。近づいていくと、それは石で出来た扉だった。

 

『第一の試練を突破しました。第二の試練を開始します』

 

 ただ、歩いてきただけで一つ目の試練が終わってしまった。

 

 まぁ、まだ焦る段階じゃない。第二の試練に期待しよう。

 

 扉が開き、第二の試練の部屋に入ると、とても広い池が広がっていた。見た目がおどろおどろしい色をしている。

 

 遠くに光が見えることを考えると、ここをどうにかして渡れってことみたい。

 

 私は普通に池に入って泳いで渡った。

 

『第二の試練を突破しました。第三の試練を開始します』

 

 うん、ちょっと簡単すぎない?

 

 第三の試練は床も壁も天井も剣山みたいな矛だらけの部屋。床の矛には人骨っぽい骨が多数残されている。

 

 私は普通に矛の上を歩いて渡った。

 

 楽勝すぎる。

 

『第三の試練を突破しました。第四の試練を開始します』

 

 その部屋は炎に包まれていた。私は効かないので普通に通り抜けた。

 

『第四の試練を突破しました。第五の試練を開始します』

 

 次の部屋は入った瞬間、全方位から矢が飛んできた。全部意味がなかった。矢の雨が降る中、部屋を通り抜けた。

 

『第五の試練を突破しました。第六の試練を開始します』

 

 次の部屋はなんか雨みたいなのが降ってた。床に落ちる度に肉が焼けるみたいな音がしてる。

 

 その中を通ったけど、なんともなかった。あっさり通過した。

 

『第六の試練を突破しました。第七の試練を開始します』

 

 永遠にも感じるほどずっと落ち続ける穴。寝てたら終わった。

 

『第七の試練を突破しました。第八の試練を開始します』

 

 永遠に拷問される部屋。そもそも拷問が効かなかった。拷問する方が病んだ。

 

『第八の試練を突破しました。第九の試練を開始します』

 

 自分と戦うことになった。お互いに殺されようとしてたら、相手の方がなんか死んだ。勝ったのに負けた気分になった。

 

『第九の試練を突破しました。第十の試練を開始します』

 

 ひたすらに大事な人に殺される夢をループする部屋。ちょっとだけ良かった。セーラに殺されるのは少しくるものがあったけど、死にたい私を殺してくれるのも愛かなって受け入れた。それに所詮夢だし。

 

『全ての試練を突破しました』

 

 そして気づけば、私は外に出ていた。

 

「あれ? もう出てきたの?」

 

 そこにはピクニック気分で敷物を敷いて食事をしているセーラ達の姿が。

 

 景色が良く、桜っぽい花が満開になっているのでお花見をしていたみたい。かなり長い時間中に居た気がするけど、外ではほんのちょっとしか経ってないらしい。

 

「え? え? えぇえええええっ!?」

 

 私の姿を確認した女王様が死人でも見たような顔をする。

 

 私はずんずんと女王様の前に移動してこう言った。

 

「正座」

「えぇ!?」

「いいからそこに正座する」

 

 動かない女王様にもう一度言う。

 

「ひゃ、ひゃいっ!!」

 

 私がジッと見つめると、女王様はバッと機敏な動きで正座した。

 

「一度しか言わないからよーく聞いて」

 

 私は女王様の前でしゃがんで目線を合わせる。

 

「は、はいっ!!」

「死をなめないで」

「ははぁっ!!」

 

 ニッコリ笑ってそう言ったら、女王様は私に平身低頭した。

 

『エルフの死の試練を突破しました』

 

 通知が鳴った。





いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。


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