「あ~……身体が痛い……」
私はベットの上で横になって天井を見ていた。
いや~魔族の戦闘で無茶したからな~。
特に“狂戦士の鎧を纏う魔法”の反動で身体があちこち痛い。
でも後悔はないかな。
だって魔族を倒すことができたもん。
「まぁお父さんとお母さんに怒られたけど」
ラヴィーネに背負われながら街に帰った後、両親に死ぬほど説教された。
いや~あの時は怖かったな~。
おかげでしばらく外出禁止を喰らっちゃった。
まぁ身体が治るまで寝てるしかないんだけど。
「はぁ…これからどうしよう」
天井を見つめながら呟くと、部屋の扉からノックの音が聞こえた。
誰だろう?
「入るぞ」
部屋に入ってきたのはラヴィーネだった。
彼女は果物が入った木のバスケットを持っている。
「お見舞いに来たぞ」
「ありがとう、ラヴィーネ」
ラヴィーネは近くの椅子に座り、ナイフで果物の皮をむき始めた。
「身体の調子は?」
「まだ身体が痛いかな……しばらく安静にしてなさいってお医者様に言われた」
「だろうな」
皮をむき、食べやすいサイズまで切った果物を私の口に近付けた。
「口を開けろ」
「え?ちょ、恥ずかしいよ」
「いいから。あ~ん」
「あ、あ~ん」
少し恥ずかしく感じながら、口を開けて果物を食べる。
「うまいか?」
「おいしい……」
「よかった」
嬉しそうに微笑むラヴィーネを見て、私は胸がドキッと高鳴り、顔を逸らす。
なんでそんないい笑顔を浮かべるかな。
まぁ…前世が男だからか可愛い女の子の笑顔を見るとドキドキしちゃうのは仕方ないけど。
「それにしても魔族をよく倒せたな」
「え?ああ、そうだね。正直、勝ててホッとしている」
「お前が使ってたあの三つの魔法はなんなの?」
「ああ、あれはね」
私は魔族と戦った時に使っていた魔法を教えた。
するとラヴィーネは呆然とする。
「と、とんでもない魔法を生み出したな。お前、本当に人間か?」
「化物みたいな言い方をしないでよ。傷つくよ」
「わりぃわりぃ。……なぁ、カンネ」
「なに?」
「お前の魔法……私に教えてくれないか?」
「え?いや……それは」
「頼む。教えてくれ」
ラヴィーネは頭を下げてお願いしてきた。
「どうしても、兄貴たちに認められるような魔法使いになりたいんだ」
そういえばラヴィーネは優秀な兄たちがいて、そんな兄たちに認められたいんだったっけ。
できるのであれば教えてあげたい。
だけど、
「ごめん。教えることはできないんだ」
「……なぜだ?」
「ラヴィーネ……魔法使いが使うと死ぬかもしれないんだ」
「!それはどういう」
私は一つ一つ説明した。
「私が作った必殺魔法の三つは……魔法が使える上に肉体を鍛えてないと使えないんだよ」
「?どういう意味だ」
「例えば“
「!!」
「魔力ってのは時間を掛けてゆっくり…少しずつ増やすものなの。だから一気に魔力量を増やすと…身体は崩壊する。例えるなら……一滴も溢れることなく壺の中に水が入るとするよ。限界以上まで水を入れるとどうなる?」
「……壺は壊れる」
「そう。壊れないようにするには壺を頑丈に作らないとダメ。私は魔法剣士になるために魔法の腕だけじゃなく……肉体も鍛えた。だから魔力が無限になっても壊れずにすんでいるの。でも何時間も耐えられるわけじゃい。肉体が耐えられるのは一分だけ。だから“魔力を無限にする魔法”は一分しか使えないの」
「つまり……魔法使いの私は」
「そう……使えないの」
私の言葉を聞いて、ラヴィーネは少し落ち込んだ。
そうだよね。私の魔法……特に“魔力を無限にする魔法”を使えれば魔法使いとして強くなれる。
だけど残念。“魔力を無限にする魔法”は魔法使いには使えない。
使えるのは、魔法使いであり…戦士でもある人のみ。
「……今から身体を鍛えたら使えるか?」
「無理だと思う。私は小さい頃から鍛えていたから使えているけど……今からやっても難しいと思う」
「そうか……なら仕方ないな」
「落ち込まないで、ラヴィーネ。必殺魔法を教えることはできないけど……他の魔法なら教えられるよ」
「え?」
私は机の引き出しに指を向ける。
「あそこを開けて中にあるものを持ってきて」
「分かった」
ラヴィーネは机の引き出しから、三冊の魔導書を取り出した。
「これは?」
「“
「なんで……もしかして私に?」
「もう少しで誕生日でしょう?なにあげていいか分からなくて……とりあえず私が作った魔法をあげようかと」
「……そうか」
「気に入ってくれたかな?」
ラヴィーネは魔導書をギュッと抱き締め、嬉しそうに微笑む。
「ありがとよ、カンネ」
「……よかった。その笑顔を見られて」
友達の笑顔を見て、私は胸が温かくなるのを感じた。
頑張って作ってよかった。私専用の魔法を魔法使い専用にするのは大変だったけど。
「なぁカンネ。傷が治ったらどこか遊びに行こう」
「いいね、それ!」
それから私はラヴィーネと話をした。
どこで遊ぶか、どこでごはんを食べるか。
とても楽しい一日だったよ。
だがこの時の私は気付いていなかった。
とてつもない災害が……私達の故郷に向かっていることに。