太陽は沈み、空が暗くなった時間……私は部屋で腕立てをしていた。
顔からポタポタと汗が床に落ちる。
昔よりも筋肉は付いて、体力も付いた。
魔法剣士としても強くなっているのは分かる。
だけど、
「このままじゃあ……ダメだね」
腕立てをやめた私は腕で汗を拭い、椅子に座る。
私は魔法剣士としては強くなった。
そこらへんの魔物や魔族には負けないと思う。
だけどそれは一対一の時。
もし多くの敵が一斉に襲い掛かって来たら、私は負ける。
一人一人倒すことはできても……一気に多数の敵を倒すことはできない。
「魔法剣士の限界かな」
魔法は便利だが万能ではない。
剣も同じだ。敵を斬ることができても、なんでもできるわけじゃない。
今の私は中途半端。
魔法のみを極めず、剣のみを極めず……どちらも鍛えている。
故に魔法の腕は魔法使いよりも弱く、剣の腕は剣士よりも弱い。
私は魔法を剣で補い、剣で魔法を補っている状態。
これでは一人で多数の敵と戦う時、不利。
ならどうするべきか?
「そんなの……決まっているよ」
魔法の練習を集中的にやる。
もちろんこれからも魔法剣士として戦うのは決めている。
基本は魔法剣士として戦う。
剣の練習もやる。
だけど……魔法剣士とは別の手段……手札を増やさなければならない。
元々私は……カンネは魔法使いだった。
そして今でも剣より魔法のほうが得意。
なら魔法の鍛錬の量を増やせば……、
「魔法使いとして強くなれる」
魔法剣士であり、魔法使い。
両方やるのは大変ではあるが……手札は増やした方がいい。
「まずは魔法使い専用の魔法を作らないと」
今、私が使える魔法は魔法剣士専用。
これから作る魔法は魔法使いに特化したもの。
また徹夜して作らないといけないけど……また守れないなんてことは起こしたくない。
それに、
「カンネには……強力な武器がある」
私は新たな魔法製作を始めた。
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「大丈夫か……カンネ?」
「うん。大丈……夫」
私は欠伸をしながらラヴィーネと一緒にレストランで昼食を食べていた。
少し眠いな……流石に徹夜ばっかりだから疲れてるかも。
「いったいなにをやってるんだ」
「実は……魔法使い専用の魔法を作ったり、装備を作ったり……あと魔法使いの鍛錬をしているの」
「魔法使い?」
ラヴィーネは首を傾げる。
「お前……魔法剣士になるんじゃなかったのか?」
「もちろん魔法剣士としても鍛えているよ。ただ……多数の敵と戦うには魔法使いのほうがいいと思ってね」
「多数の敵とね……でも今からやっても意味は」
「意味はあるよ。それに一つだけ多数の敵と戦える魔法を私は使うことができる。それを中心に鍛えたり、新たな魔法や装備を作っているの」
「使える魔法?どんな魔法なんだ?」
「それはね――――」
私が話そうとしていた時、
「た、大変だ!魔族が攻めて来たぞ!!」
外から声が聞こえた。
悲鳴と走って逃げる足音が聞こえる。
私はお金をテーブルの上に置き、外に出た。
「カンネ!待て!」
ラヴィーネが何か言っているが、私は止まらない。
私は魔族達が見えるところまで移動した。
移動して……街に攻めてきた魔族達を見て、私は……言葉を失う。
「あれって……」
街に向かって歩いてくるのは、武器を持ち……首のない鎧甲冑の軍隊だった。
そして軍隊の一番前に歩くのは、一人の少女の魔族。
頭から生やした二本の角、紫色の髪、優しい微笑み、なにも感情など宿っていない瞳。
左手には天秤をぶら下げていた。
知っている。彼女を……。
知らないはずがない。目の前にいる魔族の少女のことを。
アニメ『葬送のフリーレン』を見た私は……彼女の名を…何者かを……知っている。
「魔王直属の幹部“七崩賢”の一人……大魔族、断頭台のアウラ!?」