魔剣のカンネ   作:グレンリアスター

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先輩と決闘

 ゼーリエ様の弟子になった私は、彼女と共に魔法都市オイサーストにやってきた。

 一瞬だった。

 故郷から一瞬で魔法都市オイサーストに移動したのだ。

 流石は大魔法使いゼーリエ。

 こんな魔法があるんだ。

 

「カンネ。まずお前の先輩達を紹介してやる。ついてこい」

「分かりました」

 

 私はゼーリエ様についていった。

 建物の中はとても綺麗で……そして広い。

 通りかかる魔法使いたちはゼーリエ様に頭を下げる。

 

「ゼーリエ様。質問があります」

「なんだ?」

「どうして剣を捨てろと言ったのですか?」

「剣は魔法使いとしてのお前を弱らせる」

「そんな…こと」

「カンネ。お前はアウラに魔法と剣で挑んだが傷一つ負わせることはできなかった。だが魔法のみで戦ったら圧倒して勝てた。お前に剣は似合わない」

「……」

「お前は剣の魔法使いではなく、水の魔法使いとして戦え。剣はいっさい使うな。魔法で剣を生み出すのも禁止だ」

「……はい」

 

 どうやら……ゼーリエ様は気付いているみたい。

 私には剣の才能はないと。

 剣より魔法のほうが才能あって、魔法を鍛えたほうが今よりも強くなれると。

 

「ついたぞ。ここにお前達の先輩達がいる」

 

 ゼーリエは大きな扉の前で立ち止まった。

 彼女が指をパチンと鳴らすと、扉がゆっくり開く。

 扉が開いた先にいたのは四人の魔法使い。

 一人は長い髪を伸ばした少女。

 二人目は茶色の髪を綺麗に整えた男。

 三人目は眼鏡を掛けた青年。

 四人目は白いマントを羽織った老人。

 

 アニメでも見た事あるから知っている。

 一級魔法使いのゼンゼ、ゲナウ、ファルシュ、そしてレルネン。

 

「ゼーリエ様、その娘ですか?」

 

 一級魔法使いの一人、ゲナウが尋ねた。

 どうやら私のことを知っているみたい。

 

「ああ、この娘が《魔剣のカンネ》だ。いや……今は《水魔のカンネ》か」

「《水魔のカンネ》……ですか」

「この娘は私の弟子にした。そして特別に一級魔法使いの資格を与えた。仲良くしてやれ」

 

 ゼーリエ様の言葉を聞いて、ゲナウは目を細める。

 どうやら気に入られていないみたいだね。

 

「納得いきません。試験も受けていないこの娘がいきなり一級魔法使いなんて」

「心配するな。実力はある。そしてあの“七崩賢”の一人、《断頭台のアウラ》を倒した魔法使いだ。十分、実力はある」

「お言葉ですが、“七崩賢”は実力で選ばれたのではなく、使用する魔法が希少だったからです」

「確かにその通りだ。だがお前はまだ分かっていない。《断頭台のアウラ》と戦ったら、間違いなくお前は死んでいた」

 

 ゲナウは眉間に皺を寄せる。

 うわ~すっごい顔で私を睨んでくるよ。

 

「……ゼーリエ様。その子娘が本当に一級魔法使いに相応しいか確かめさせてください」

「いいだろう。許可する」

 

 え!?つまり一級魔法使いと戦えってこと!

 そんな急に!!

 

「カンネ。その者に実力を見せろ」

「……承知しました」

 

<><><><>

 

 一級魔法使いと戦うことになった私は、草原にやってきた。

 視線の先にはゲナウさんがいる。

 私は槍のような長い杖―――水月(すいげつ)を構えた。

 

「君の実力……見させてもらう」

「よろしくお願いします」

 

 ゲナウ。

 アニメでは一級魔法使いの試験に登場したキャラクター。

 どういう魔法を使えるのか、私には分からない。

 警戒しないと。

 私が魔法を発動しようとした時、

 

「カンネ」

 

 少し離れた所から見ていたゼーリエが告げる。

 

「一分で倒せ。もしできたら魔法を二つ……与えよう」

 

 その言葉を聞いて、私はすぐに理解した。

 ゼーリエ様はこう言いたいのだ。最初から全力で戦えと。

 

「ゼーリエ様。この娘に一分で倒されると思っているのですか?」

「ああ。思っている」

「!!」

 

 ゲナウは顔を険しくなる。

 めっちゃ怖い。

 まぁそんなことはどうでもいい。

 言われた通り……最初から全力を出す!!

 

「“魔力を無限にする魔法(インフィニティ)”」

 

 次の瞬間、私の身体からオレンジ色の粒子が発生。

 膨大な魔力を感じ取ったゲナウはすぐに魔法を発動する。

 

「“黒金の翼を操る魔法(ディガドナハト)”」

 

 ゲナウの背中から黒い翼が顕現。

 彼は翼を大きく羽ばたかせ、無数の羽根を飛ばした。

 なるほど……こういう魔法なんだ。

 回避はできない。

 素晴らしい魔法だね。

 でも……私の魔法のほうが強い。

 

「“水の女王になる魔法(アクア・クイーン)”」

 

 魔法を発動させた瞬間、私を中心に巨大な水の竜巻が発生。

 水の竜巻は迫りくる無数の羽根を全て防ぐ。

 水の竜巻の中で私の服の上に水のドレスが覆い、頭の上に水の王冠が生成される。

 やがて水の竜巻が収まると、最初に私の視界に映ったのは驚いた表情を浮かべるゲナウだった。

 

「次はこちらの番です。“水を操る魔法(リームシュトローア)”」

 

 私は杖から極太の水の蛇を放った。

 水の大蛇はゲナウに襲い掛かる。

 

「クッ!」

 

 ゲナウは空を飛び、大蛇を躱し、無数の羽を飛ばした。

 しかし水の大蛇の身体に直撃するも……まったくの無傷。

 水の大蛇は空を飛ぶゲナウを追いかける。

 

「しつこい」

 

 ゲナウは黒い翼を羽ばたかせて逃げる。

 

「逃がさない」

 

 私は杖を軽く振るった。

 すると水の大蛇の身体は無数に別れ、細長い無数の水の蛇となる。

 無数の水蛇は素早くゲナウを襲い、彼の身体に巻き付く。

 動きを封じた私は杖を空に向ける。

 

「終わりです」

 

 ゲナウの頭の上に無数の水の槍を生み出した。

 全ての水の槍を高速回転させ、ゲナウに向かって落とす。

 彼は慌てて、頭の上にいくつもの半透明のバリアを展開。

 しかし高速回転する無数の水の槍はバリアをクッキーのように破壊し、ゲナウに襲い掛かる。

 無数の水の槍は黒い翼にいくつもの穴を開け、ゲナウの身体に突き刺さった。

 

「ガハッ」

 

 ゲナウは地面に向かって落下。

 私はゲナウが落ちる場所に大きな水の塊を生み出す。

 水の塊にゲナウは見事落ちる。

 これで衝撃はないはず。

 私は水の塊からゲナウを取り出し、彼の頭に杖を向ける。

 

「私の勝ちです」

 

 私がそう言った時、パチパチと拍手の音が聞こえた。

 

「素晴らしい。見事な戦いだった」

 

 音が聞こえた方向に視線を向けると、ゼーリエが笑みを浮かべながら拍手していた。

 そして彼の近くにいたゼンゼとファルシュは目を大きく見開きながら驚き、レルネンは目を細めている。

 

「これで文句はないな。カンネが一級魔法使いになることは?」

「「「はい」」」

「は……い……」

 

 ゼンゼとファルシュ、レルネンは頭を下げ、ゲナウは苦しそうに……だけどはっきり返事をした。

 

「カンネ。約束通りお前には二つの魔法を与える」

「ありがとう…ござい…ま……す」

 

 身体から発生したオレンジ色の粒子が消えた直後、纏っていた水のドレスや水の王冠は消え、私は地面に倒れた。

 くっ、やっぱり“魔力を無限にする魔法”を使うと魔力がなくなって身体が動けなくなる。

 

「それと……“魔力を無限にする魔法”を調節しよう。その魔法にはまだ改善できるところがある」

「はい」

「レルネン、ゲナウを治療してやれ。ゼンゼ、カンネを運んでやれ」

「「承知しました」」

 

 これから私は魔法剣士としてではなく、魔法使いとして生きていかなければならない。

 ラヴィーネを助けるためだったから後悔はない。

 だけど、

 

「ラヴィーネに会えなくなるのは……辛いな」

 

 

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