魔剣のカンネ   作:グレンリアスター

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水魔のカンネ

 とある魔法学校の教室でオレンジ色の髪をポニーテイルにした女の子はねずみ色の髪をした少女と話していた。

 

「という感じの魔法を作ってみたの」

「相変わらずとんでもない魔法を作るな、お前は」

 

 友人の話を聞いてねずみ色の髪の少女は呆れる。

 

「それにしてもお前は剣と魔法にしか興味がないよな」

「そんなことはないよ。私だって恋愛はしたいだのっていう感情はあるよ」

「お前には無理だろ」

「それどういう意味!」

「そのままの意味だよ」

 

 オレンジ髪の少女は頬を膨らます。

 そんな彼女を見て、ねずみ色の髪の少女は笑みを浮かべる。

 

「まぁもし……お前が誰も貰ってもらえなかった時は、私が貰ってやるよ。カンネ」

「ふん!ならラヴィーネに彼氏ができなかった、あんたは私が貰ってあげる。感謝してよね」

「ああん?」

「ああん?」

 

 少女二人は額同士をぶつけ、睨み合う。

 しばらく睨み合った後、二人はプッと吹き出し……笑う。

 楽しく笑う二人は…とても幸せそうだった。

 

<><><><>

 

「ん……夢……」

 

 目を覚まし、ベットから起き上がった私は頬に手を当てた。

 手には水滴がついており、泣いていたのが分かる。

 

「もう少し……夢の中にいたかったな」

 

 本当に……夢を見ていたかった。

 夢の中でなら、またラヴィーネに……好きな人に会えるから。

 

「起きよ」

 

 私はベットから降りて、洗面所で顔を洗った。

 冷たい水が寝ぼけていた私を目覚めさせる。

 顔を洗った後は、鏡を見ながら髪を結ぶ。

 オレンジ色の髪を()()()()()()にした私は、朝食を取った。

 今日のご飯はサンドイッチと牛乳。

 

「いただきます」

 

 私はサンドイッチを食べながら、夢のことを思い出す。

 ラヴィーネと別れてから数年が過ぎた。

 今では私―――カンネは一級魔法使いとして多くの魔族や魔物を倒し、犯罪に手を染めた魔法使いを捕まえている。

 魔族だけでなく、犯罪者にも恐れられる水の魔法使いとなった。

 ついた異名は《水魔(すいま)のカンネ》。

《魔剣のカンネ》だった時よりも名は拡がり、有名になった。

 

 だけど……私は嬉しく思わなかった。

 

「ごちそうさまでした」

 

 朝食を食べ終えた私は青い制服に着替え、青と白のローブを羽織る。

 ベットの近くに置いておいた槍のような杖―――水月(すいげつ)を持ち、家を出た。

 今日も仕事を頑張らないとね。

 

<><><><>

 

 魔法都市オイサーストの近くにある森で、私は魔法で魔物を倒していた。

 

「“水を操る魔法(リームシュトローア)”」

 

 魔力で生み出した水を鋭い槍に形を変え、放った。

 大きな猪型魔物の頭を水の槍で撃ち抜く。

 一瞬で魔物を倒した私は……尻もちを付いている魔法使いの男二人に声を掛ける。

 

「大丈夫ですか?」

「あ、ああ。大丈夫だ」

「おかげで助かったよ」

「いえ、仕事なので」

 

 私の仕事は普通の魔法使いでは倒せない魔物や魔族を倒し、そして犯罪に手を染めた魔法使いを捕まえること。

 これが結構大変だけど、だいぶ慣れてきた。

 

「あんた……もしかして《水魔のカンネ》か?」

「え!?水の魔法で多くの魔物や魔族を倒したあの一級魔法使い!?」

 

 どうやら二人は私のことを知っているみたい。

 

「ええ、そうですけど……もしかして試験を受けに来た魔法使いですか?」

「あ、ああ…そうだ」

「俺達……一級魔法使いの試験を受けるために遠いところから来ました」

「そうですか。なら案内します」

 

 私は二人の魔法使いをオイサーストまで案内する。

 

「あの……カンネ…さん。あなたは本当に《水魔のカンネ》なんですか?」

「そうですよ。一応」

「“七崩賢”の一人……《断頭台のアウラ》を倒したのは本当ですか?」

「はい、本当です」

「じゃあ、大魔法使いゼーリエから二つの魔法を与えられたって噂は」

「本当ですよ」

 

 本来、一級魔法使いは特権でゼーリエから貰える魔法は一つのみ。

 だけど特別に私は二つの伝説級の魔法を与えられた。

 一つは“魔力を一瞬で回復させる魔法”。

 もう一つは“魔法製作能力が爆発的に向上する魔法”。

 この二つの魔法のおかげで私は、一級魔法使いの中で上位の魔法使いとなった。

 

「じゃ、じゃあ……あの《氷剣(ひょうけん)のラヴィーネ》とは親友関係だったというのは本当ですか?」

 

 私は男魔法使いの言葉を聞いて、足を止めた。

 今……なんて言った?

《氷剣のラヴィーネ》?

 

「詳しく教えてください」

「え?えっと……氷の魔法と剣で多くの魔物や魔族を倒す剣の魔法使いですよ。二級魔法使いでありながら、一級魔法使いに勝利した経験があるとか。結構有名ですよ」

 

 私は驚いた。

 まさかラヴィーネが魔法剣士となって活躍しているとは思わなかったな。

 しかも二級魔法使い。

 アニメだと三級魔法使いだったのに……ずいぶん活躍してるんだね。

 それに一級魔法使いに勝ったんだ。

 

「ラヴィーネ……」

 

 私は空を見上げた。

 ラヴィーネ……あんたに会いたいよ。

 

<><><><>

 

 とある草原で、氷漬けになった大きな竜の上に座っている少女がいた。

 その少女は高級そうな男物の服を着ており、その服の上に青と黒のロングコートを羽織っている。

 ロングコートには剣と狼のエンブレムが施されていた。

 そして彼女の右手には湾曲した片刃の剣が握られている。

 

「カンネ」

 

 風がポニーテイルに結ばれた少女のねずみ色の髪を揺らす。

 少女の海のように蒼い瞳には強い決意が宿っていた。

 

「今……迎えに行く」

 

 

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