「—――というわけで、俺もお前達と旅をすることになった。よろしく」
ザインはフリーレンとフェルンに事情を話し、仲間になることになった。
「よろしくお願いします。ザイン様」
「……よろしく」
フェルンはザインの仲間入りに賛成だったが、フリーレンは微妙な顔をしていた。
「なんだよ?俺が仲間になるのは嫌か?」
「嫌じゃないよ。ただ……私はザインのこと嫌いだから」
「え?なんで?」
「同族嫌悪」
「仲間にならない方がよかった?」
「いいや、仲間になるのはいい。ただ一生、ザインを好きになることはないと思う」
「そうかよ」
はぁとため息を吐くザインと、ぷいっと視線を逸らすフリーレン。
そんな二人を見て、フェルンやシュタルク、ラヴィーネは苦笑する。
「そうじゃあ……行こうか」
「おう」
ザインは村の人達と兄に見送れながら、フリーレンたちと共に旅を始めた。
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北側諸国ラート地方。
しばらく旅をして、街に到着したフリーレンたち。
鐘が鳴り響く街の中を、彼らは歩いていた。
「ここはお店もたくさんありそうですね」
「買い出しのしがいがあるな」
フェルンとシュタルクはそう言いながら、いくつもの店を見ていた。
そんな二人にラヴィーネは「おいおい、まずは宿探しだろ?」と告げる。
「そうでした」
「早く宿を見つけて、店を回ろうぜ」
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それからフリーレンたちは宿を見つけ、そこに泊まることになった。
しかし、ある問題が起こってしまう。
「そこまで言わなくたっていいだろ!いつもキツく当たりやがって!そんなに俺のことが嫌いかよ!」
目元に涙を浮かべながら怒るシュタルク。
そんな彼を頬を膨らませながらフェルンは睨む。
喧嘩をする二人を見て、ラヴィーネはため息を吐き、フリーレンはただ見ていた。
「もういい、師匠のところに帰る!」
シュタルクは部屋から出て、ドアを強く締めた。
そんな彼に余計に腹を立てたフェルンは余計に頬を膨らます。
「んっ……」
「フェルン……さすがに言いすぎだ」
「だって……シュタルク様が」
「シュタルクも悪いが……フェルンも悪いぞ」
ラヴィーネが注意するが、フェルンは余計に頬を膨らますだけ。
そんな彼女にラヴィーネはまたため息を吐いた。
その時、扉が開き…ザインが入ってくる。
「さっき怒ったシュタルクを見たんだが……痴話ゲンカか?」
ザインの質問に対し、ラヴィーネが答える。
「どうやら今日、フェルンの誕生日だったみたい。シュタルクはプレゼント用意していなくて……それでフェルンがキレたんだ」
「なるほど……」
「フェルンはシュタルクの話を全然聞かなくてな……それでこんな感じだ」
「はぁ……んなもん俺だって用意してねぇよ。男っていうのは誕生日とか記念日とかそういう細かい事は気にしない生き物なの」
ザインの言葉を聞いてフェルンは彼の脛を何度も蹴った。
そしてラヴィーネは強くザインの脛を蹴る。
「イッタ!痛いって!というかラヴィーネもなんで蹴るんだよ!?」
「自分で考えろ、バカ」
「そうですよ」
「お前ら……俺のこと、嫌いだろ?分かったよ、買ってくるから」
はぁとため息を吐き、ザインはタバコを吸う。
「まったく……シュタルクがかわいそうだぜ。俺ぐらいの歳になると冷たくされてもある程度流せるがあの歳の男子は女の子の言動に一喜一憂するからな。……追いかけたほうがいいと思うぜ」
そう言ってザインは扉を開け、部屋を出て行った。
黙り込むフェルン。
そんな彼女を見て、ラヴィーネは昔のことを思い出す。
(そういえば……カンネが私の誕生日を忘れて……喧嘩したことあったけな)
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「なんでプレゼント用意してないんだよ!!」
「そんな怒らなくても……剣と魔法の練習で忙しかったから」
カンネはラヴィーネの誕生日プレゼントを用意していなかった。
それに対し、ラヴィーネはどうしようもなく腹を立ち、思わず怒鳴ってしまう。
「用意しとけよ、バカカンネ!」
「バカって言わなくてもいいでしょう!」
カンネとラヴィーネは睨み合う。
「もういい!知らない!」
それからカンネはしばらく、ラヴィーネの前に姿を現さなかった。
カンネの両親に聞いても、どこに行ったのか分からなかった。
後になってカンネに言い過ぎたと思い、ラヴィーネは落ち込んだ。
だが数日後、カンネはラヴィーネの前に現れた。
綺麗な箱に入ったネックレスを持って。
「はい、これ」
「これは?」
「プレゼント。魔物討伐でお金を稼いで、そのお金で……プレゼントを買ってきた。……忘れてて、ごめんなさい」
「カンネ……私のほうこそ、言い過ぎた。ごめん」
「じゃあ……仲直りだね」
「ああ」
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(今思えば……あの時からカンネのことが好きだったのかもな)
好きな人からプレゼントを貰えなくて、つい怒ってしまったなとラヴィーネは苦笑する。
(それにしても……フェルンの奴、ここまで怒るってことは……シュタルクのことが)
ラヴィーネがそんなことを考えていると、フェルンは部屋を出て行った。
残されたラヴィーネとフリーレンは目を合わせる。
「フリーレン。フェルンは」
「ん?フェルンが……どうしたの?」
「気付いてないのか」
フリーレンの鈍感さにラヴィーネは呆れる。
同時に彼女は思った。
きっと……フリーレンに惚れた男は苦労をしたんだろうな……と。