シュタルクが目を覚ましたと聞いて、急いで部屋に来たフリーレンたち。
「シュタルク……目を覚ましたんだね」
ホッと胸を撫で下ろすフリーレン。
「まったく……心配かけやがって」
シュタルクが目を覚ましたことに嬉しく思い、笑みを浮かべるザイン。
「みんな……心配をかけた。でももう大丈夫だ」
「なにが大丈夫ですか。まだ完全に回復したわけではないでしょう」
ニッと笑みを浮かべるシュタルクの頭を、フェルンは指でつつく。
二人の距離はとても近く、肩が触れ合っている。
そんな彼らを見て、ラヴィーネは頬を緩めた。
「どうやら自分の気持ちを伝えたみたいだな。二人とも」
ラヴィーネの言葉に対し、シュタルクとフェルンは「おう」「はい」と答えた。
「ラヴィーネ。分かったよ。自分の気持ちを」
「私も……同じです」
「俺は……フェルンが好きだ」
「私は……シュタルク様が好きです」
二人の気持ちを聞いて、「そうか」とラヴィーネは頷く。
「なら……お互い離れないようにな」
「ああ」
「そのつもりです」
シュタルクとフェルンは頬を赤く染めて、見つめ合い、笑う。
そんな二人を見ていたラヴィーネは、カンネのことを思い出す。
(私も……二人のようにカンネと恋人になれるだろうか?)
ラヴィーネはカンネのことが心から好きだった。
だからこそ彼女と結ばれたい。
共に居たいと願っている。
(カンネに会ったら……言おう。自分の気持ちを)
心の中でそう決意するラヴィーネは、胸の前でギュッと拳を握り締めた。
「さて……これからだけど。シュタルクが目覚めたとはいえ、まだ完全に回復していないと思うから、旅はもう少ししてから再開しよう」
「いや……そんなこと言わずに明日にでも」
「ダメだ」
シュタルクの言葉を、フリーレンは遮った。
彼女は鋭い目でシュタルクを睨む。
「シュタルク。今回は運が良かったけど、最悪死んでいるような状態だった。傷は癒えたとはいえ、体力はまだ完全に回復していない」
「それは……そうだけど」
「しばらくは体力を回復することを専念して」
「……分かったよ」
シュタルクは大人しく、休むことにした。
「じゃあ夜はもう遅いし、そろそろ寝よう」
「そうだな」
「だな」
フリーレンはザインとラヴィーネを連れて、部屋から出ようとした。
その時、
「ラヴィーネ。ちょっと待ってほしい」
シュタルクはラヴィーネを呼び止める。
彼の瞳にはなにか伝えたいという想いが宿っていた。
「話したいことがある」
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「で?話ってなんだ?」
シュタルクに呼び止められたラヴィーネは腕を組みながら、問い掛けた。
「ラヴィーネ。……お前のおかげでフェルンのことが好きだって分かった。ありがとう」
シュタルクは頭を下げた。
そしてフェルンも頭を下げる。
「頭を上げろ。別に私はなにもしていない」
「いや……ラヴィーネが自分の気持ちに気付けって言わなければ、多分……フェルンを助けられなかった。自分の気持ちに気付いたから、フェルンを救えた。だから……ありがとう」
「……そうかよ。なら一つ……お礼代わりに頼みがある」
「なんだ?」
「二人一緒に……幸せになってくれ」
「!!」
ラヴィーネは少し寂しそうな顔で言葉を続ける。
「シュタルク……本当にフェルンが好きなら、手を離すな。本気で愛しているなら……フェルンが離れないように手を強く握っていろ。そして……二人一緒に幸せになれ」
「ああ」
シュタルクはフェルンの手を握った。
フェルンもシュタルクの手を強く握る。
そんな二人を見て、ラヴィーネはフッと笑みを浮かべる。
「じゃあ……私はこれで失礼する」
「ラヴィーネ」
ラヴィーネが部屋のドアノブを掴もうとした時、シュタルクは告げる。
「好きな奴……絶対に奪い返せよ」
「……当たり前だ」
振り返ったラヴィーネの瞳は、強い意志が宿っており、青く輝いていた。
「絶対に……カンネは取り戻す」
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シュタルクが目を覚まして一ヶ月。
彼は体力を完全に回復させた。
戦士として鍛えられたおかげだろう。
「じゃあ……行こうか」
「はい」
「おう」
「ああ」
「そうだな」
フリーレンはフェルン、シュタルク、ザイン、そしてラヴィーネと共に旅を再開した。