北側諸国キュール地方。
山を越え、森を抜けたフリーレンたちはついに魔法都市オイサーストに到着した。
「ようやく到着しましたね」
「だね」
フリーレンたちは都市に入り、大陸魔法教会北部支部の建物に向かって歩いていた。
歩いていると、多くの魔法使いが通り過ぎる。
「流石は魔法都市だな。魔法使いが多…い……」
フリーレンたちと一緒に歩いていたラヴィーネは、あるものを見つけ……足を止める。
「どうしたの、ラヴィーネ?」
「悪い。フリーレン……先に行っててくれ」
フリーレンにそう言ってラヴィーネは走り出した。
彼女は必死な表情で走る、走る、走る!
そして……一人の少女の手を掴んだ。
「よう……やっと会えたな」
ラヴィーネの視界に映っていたのは、青と白のローブを羽織った魔法使いの少女。
オレンジ色の髪をツインテールに結び、両目にオレンジ色の瞳を宿している。
少女はラヴィーネを見て、大きく目を見開く。
「ラ…ヴィーネ?」
魔法使いの少女—――カンネは、ただ……呆然とした。
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私―――カンネは、お気に入りのカフェに向かって歩いていた。
魔法使いとして生きている私の人生で……唯一の癒しの場所。
剣を捨ててから、ずっと楽しくない。
そんな私の心を癒してくれるカフェに向かっていた。
「ラヴィーネと……一緒に行きたいな」
叶わないはずの願いを口に出した私は……胸が締め付けられるのを感じた。
会いたい。ラヴィーネに。
分かってる。会えないのは。
ゼーリエ様に会うなって言われているから。
それでも……私は……。
寂しさと悲しさで泣きそうになった時……誰かが私の手を握った。
「よう……やっと会えたな」
聞き覚えのある声。
ずっと……聞きたかった声が、私の耳に入った。
「え?」
声が聞こえた方向に視線を向けた私は、言葉を失った。
視線の先にいたのは、一人の少女。
ポニーテイルに結ばれたねずみ色の髪。
サファイアの如く美しい青い瞳。
高級そうな男物の服に、その服の上から来ている青と黒のロングコート。
そして腰に差した一本の剣。
「ラ…ヴィーネ?」
ずっと会いたかった大切な人が……今、私の目の前にいた。
「ああ。そうだ」
「これは…夢……」
「いや……現実だ」
私は嬉しさのあまり、泣きそうになった。
会えた。ずっと会いたいって思っていた人に……私は会えたのだ。
話したい。
今までどうしてたの?元気だった?私がいなくなって寂しくなかった?
色んなことで話した!
そう思った私は声を出そうとしたが……口を閉じた。
「ラヴィーネ……手を離して」
「……なぜだ?」
「ゼーリエ様にラヴィーネが一級魔法使いになるまでは会うなって言われているの」
「あのクソエルフ……」
「だから……お願い、離して」
本当は色々…話したい。
けど……ダメなの。
恋愛はお前の魔法の腕を鈍らせるってゼーリエ様に言われているから。
だから、
「嫌だ」
ラヴィーネは……はっきりとそう言って、握る手の力を強くした。
「私は……お前に会いたかった。お前に話したことが……伝えたいことがあるんだ」
「でも!ゼーリエ様がそれを許さない」
「今は見ていないはずだ。……だから、頼む……お前と話がしたい」
「……」
私はラヴィーネから離れるのを諦めた。
「なら……カフェに行こう。お気に入りのカフェがあるの」
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私はラヴィーネと一緒にカフェにやってきた。
とてもシンプルだが、オシャレなお店。
私たちは椅子に座り、顔を見合わせる。
「カンネ……元気してたか」
「うん……ラヴィーネは?」
「ああ……元気だ」
「そっか……よかった」
「……」
「……」
私たちは黙り込んだ。
どうしよう。会話が続かない。
いっぱい話したいことがあるから……なにを話していいかわからない。
「カンネ……髪型を変えたのか?」
ラヴィーネの問いに、私は慌てながら「う、うん。そうだよ」と答える。
「今の私は魔法使いだから……気持ちを切り替えるためにイメチェンしたの」
「……」
「ラヴィーネは……その剣を、持っててくれてたんだね」
私はラヴィーネの腰に差してある魔法剣―――影月を見て、嬉しさがこみ上がった。
「ああ。大切に使っている」
「そっか……。聞いたよ。魔法剣士になったんだって?『氷剣のラヴィーネ』……だったかな。すごいよ。異名が付くぐらい有名になって」
「……お前みたいになりたかったんだ」
「そっか……」
楽しい。
こんなに楽しいと思ったのは何年ぶりだろう。
やっぱり私は……ラヴィーネのことが好きなんだなって分かる。
「ねぇ……聞かせてよ。ラヴィーネのこれまでを」
「ああ」
ラヴィーネは教えてくれた。
私と別れた後、剣の達人であるエルフに剣を教えてもらったこと。
多くの魔物を倒し、人々を助けたこと。
強い戦士や一級魔法使いに決闘で勝ったこと。
そして……フリーレンたちと仲間になり、一緒に旅をしたこと。
「こんな……感じだ」
「すごいなぁ……ラヴィーネは。そんなに頑張って」
話を聞いていた私は、素直にそう思った。
ラヴィーネは頑張ってきたのだ。今まで。
「頑張ったのは……お前を取り戻すためだ」
「え?」
「私は……一級魔法使いになって、お前をゼーリエから取り戻す。それを叶えるためにここまで来た」
私は顔が熱くなるの感じた。
どうしよう。
胸がすごいドキドキしている。
「カンネ……私はお前に……ずっと伝えたいことがあったんだ」
真剣な表情で私を見つめるラヴィーネ。
私は心臓の音を聞きながら、ラヴィーネの言葉を待った。
「カンネ……私は……私はお前のことが!」
ラヴィーネがなにかを伝えようとした。
その時、
「話しは終わりだ」
なにもないところから……一人のエルフが現れた。