「さぁ……久しぶりにどっちが強いか戦おうか」
杖を構えた私は素早く魔法を発動する。
「“
空中に水の槍をいくつも生み出し、ラヴィーネに向かって飛ばした。
襲い掛かる無数の水の槍をラヴィーネは舞うように剣を振るい、受け流す。
そして私に向かって突撃し、剣を振るう。
迫りくる刃を私は紙一重で躱し、杖を持っていない方の手で水の槍を生み出し、飛ばす。
超近距離から放たれた水の槍をラヴィーネは身体を回転させ、躱した。
「はぁ!」
ラヴィーネは剣を振るい、連続攻撃を放つ。
とても美しい剣技。
思わず見惚れちゃう。
「“
私は水の盾を生み出し、連続攻撃を防ぐ。
昔は私に負けっぱなしだったのに……今のラヴィーネは強い。
こんなに強くなって私は嬉しいよ。
「すごいね、ラヴィーネ。こんなに強くなって……だけど、勝のは私だよ」
距離を取った私はラヴィーネの周りに無数の水の槍を生み出す。
三百六十度から狙われている水の槍に対し、ラヴィーネは……恐れなかった。
「凍れ」
剣から冷気を放ち、素早く振るった。
冷気の風が全ての水の槍を一瞬で凍られ、砕け散る。
すごい……本当にすごいよ!
「次はこっちの番だ」
ラヴィーネは空中に無数の氷柱を生み出し、飛ばす。
弾丸の如き速さで襲い掛かる氷柱を私は無数の水の槍で迎え撃つ。
氷柱と水の槍が衝突し、水飛沫と氷の破片が飛び散る。
「今だ!」
ラヴィーネは地面を強く蹴り、一瞬で私との距離を詰めた。
「はぁ!」
ラヴィーネは剣を振り下ろした。
冷気を纏った斬撃。
その攻撃を魔法で防ぐじゃあ間に合わない。
だけど、
「甘いよ、ラヴィーネ」
ラヴィーネの冷気の斬撃を、私は杖で弾いた。
「なっ!」
「なんで私の杖が槍っぽいか知っている?それはね……万が一のことを考えて近接戦闘で戦えるようにするためだよ」
私は杖を勢いよく突き出し、鋭い刺突を放つ。
素早く放たれた刺突をラヴィーネはギリギリ躱しが、頬に傷をつける。
ラヴィーネは距離を取り、頬の傷から流れる血を指で拭う。
「カンネ。……槍術を使えたのか?」
「まぁね。剣を使うなとは言われたけど、杖で戦うことは許されたの。だから私は槍術や棒術を学んだわ」
「お前……それじゃあ魔法槍術士じゃあねぇか」
「魔法槍術士……か。確かにそうかもね。だけど杖を近接武器として使う魔法使いは他にもいるよ?そして私は……水の魔法使いだよ」
私は目を細めて、杖を構える。
「さぁ……そろそろ本気を出すよ」
私が本気を出そうとした時、
「そこまでだよ」
後ろから声が聞こえた。
後ろに視線を向けると、そこには杖を構えた銀髪エルフーーーフリーレンがいた。
なるほど……ラヴィーネとの戦いに夢中になって忘れてたよ。
「流石はフリーレン。気付かなかったよ」
「私のことを知っているんだ」
「知らない魔法使いはいないと思うよ?」
私とフリーレンが喋っていると、
「おい、フリーレン!手を出すな!」
ラヴィーネはフリーレンに怒鳴った。
「これは私とカンネとの戦いだ!」
「いいや邪魔するよ、ラヴィーネ。これは試験だ。合格するのが最優先」
「くっ!」
フリーレンが正しいため、ラヴィーネはそれ以上なにも言えなかった。
確かにフリーレンが正しい……だけど、
「フリーレン。あなたは魔力量と使える魔法の数、魔力を隠蔽する能力は私よりも優れているわ。だけど……甘いよ。もっと周りを警戒しないと」
「なに?」
フリーレンが怪訝そうな顔を浮かべた時、木の影からなにかが飛び出す。
その飛び出したなにかは
フリーレンは咄嗟に躱し、飛び出したなにかに視線を向ける。
「あれは」
フリーレンの視線の先にいたのは、
「“
「まさか分身も使えるなんて……思わなかったよ」
「驚いてくれて嬉しい。さて……お話はこれぐらいにして、そろそろ私の本気……見せてあげる」
私はラヴィーネとフリーレンを失格にするために、本気を出す。
「“
魔法を発動すると、私の身体からオレンジ色の粒子が発生する。
私の膨大な魔力を感じ取ったラヴィーネは一筋の汗を流し、フリーレンは目を大きく見開く。
「なに……この魔力量」
「これで終わりじゃないよ。……“
水系最強の魔法を発動した瞬間、私を中心に巨大な水の竜巻が発生する。
水の竜巻の中で私の身体は水のドレスに覆われ、頭に水の王冠が形成された。
やがて水の竜巻が収まると、フリーレンは驚愕していた。
「なに……その姿」
「私の本気モードかな」
私は巨大な水の球を頭上に生み出し、別の魔法を発動する。
「“
巨大な水の球は大蛇へと形を変え、フリーレンたちに襲い掛かる。
「ラヴィーネ!いったん逃げるよ!ララをお願い!」
「分かった!」
フリーレンは地面に杖を突きさし、白い煙を放射。
周囲が白い煙で見えなくなり、フリーレンたちがどこにいるか分からない。
水の大蛇が白い煙の中に突っ込んで数十秒後、煙は晴れた。
「!!」
予想通りフリーレンたちの姿はなかった。
だけど予想外な事に水の大蛇は完全に凍っていた。
ラヴィーネの仕業だね。
「あの大きさの水の蛇を一瞬で凍らせるなんて……すごいな」
私は嬉しく感じ、頬を緩めた。
「本当に嬉しいよ。ラヴィーネ……あんたが強くなって」
<><><><>
「ハァ…ハァ…ハァ……」
カンネから逃げきることに成功したフリーレンとラヴィーネは肩で息をした。
ラヴィーネの脇にはシュティレが入ったカゴを持ったララが抱えられている。
「なんとか……逃げ切れたな」
「うん。でも《水魔のカンネ》……予想以上にやばいね」
フリーレンは千年以上、生き、多くの強者と戦ってきた。
そんな彼女がカンネを危険だと感じていた。
「フリーレン。あんたとカンネ……どっちか強い?」
「……実力はあっちのほうが上かも」
「マジかよ」
「私もそれなりに強いけど……カンネは異常なぐらい強いだよ。魔法知識なら私の方が上だろうけど、魔法戦闘ならカンネのほうが圧倒的に上だね」
フリーレンがカンネを強者だと認めた。
そのことにラヴィーネは心から驚く。
「たぶんこのままじゃあ私たちは失格になる。見つかるのも時間の問題」
「ならどうする?」
「そうだね……」
フリーレンは顎に手を当てて考える。
そしてあることを思いついたフリーレンは、ララが持っているカゴに視線を向けた。
「私たちは今、シュティレを四羽を持っている」
「!なるほど……そういうことか」
フリーレンの考えていることに、ラヴィーネは気付く。
だがララだけは分からなかった。
「あの……なにをするんです?」
「そんなの決まっているよ」
「他のパーティーと手を組む」
読んでくれてありがとうございます。
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