魔剣のカンネ   作:グレンリアスター

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《水魔のカンネ》狩り2

「さぁ……受験者さんたち。戦おうか」

 

 その言葉を告げたカンネは魔法を発動する。

 

「“魔力を無限にする魔法(インフィニティ)”」

 

 次の瞬間、彼女の身体からオレンジ色の粒子が発生した。

 膨大な魔力を感じ取った魔法使いたちは、冷や汗を流す。

 

「全員、攻撃開始!」

 

 デンケンの言葉を合図に魔法使いたちは魔法で攻撃を開始した。

 石や炎の球、白い光線などの魔法攻撃が一斉にカンネを襲う。

 しかしカンネに焦りはなかった。

 むしろ余裕の表情を浮かべている。

 

「“水の女王になる魔法(アクア・クイーン)”」

 

 カンネは静かな声で魔法名を告げた。

 直後、彼女を中心に大きな水の竜巻が発生。

 水の竜巻は襲い掛かる魔法攻撃全てを消し飛ばす。

 

「なんじゃと!?」

 

 デンケンは驚愕した。

 そして彼だけでなく、他の魔法使いたちも驚く。

 まさか全ての攻撃を無効化されるとは誰も思わなかったから。

 

 やがて水の竜巻が収まると、そこにいたのは水のドレスを着た一人の少女。

 頭に水の王冠を乗せており、彼女の周りには水の球がいくつも浮かんでいた。

 まさにその姿は水の女王。

 カンネから放たれる存在感に誰もが息を呑む。

 

「ラヴィーネ。他のパーティーと組めば私に勝てると思ってた?数で押せば勝てると思ってた?フフ、フフフフフフフ、アハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 顔に手を当てて笑い声を上げるカンネ。

 彼女の笑い声を聞いていた魔法使いたちは、嫌な予感を感じた。

 やがてカンネの笑い声はピタリと止まり、無表情で……冷たい目で受験者たちを見下ろす。

 

「舐めないでよ。私を」

 

 そう言ってカンネが杖を振るった。

 するとなにもないところから巨大な水の塊がいくつも出現。

 その水の塊は巨大な虎や狼、竜などへと形を変える。

 五体の水の化物が現れ、魔法使いたちは目を大きく見開く。

 

「“水の怪物を生み出す魔法(アクア・モンスター)”。戦闘能力が高い水の化物を生み出す私オリジナルの魔法。ただ……これだけじゃあ少ないし、さらに追加するよ。“水の分身を生み出す魔法(アクア・ドッペルゲンガー)”」

 

 カンネは別の魔法を発動。

 空中にいくつもの水の塊が現れ、その水の塊はカンネの姿へと変わる。

 その数……百人。

 

「嘘でしょ」

 

 フリーレンは首筋から汗を垂らす。

 圧倒的な敵の数に……彼女は言葉を失う。

 千年以上も生きてきたフリーレンは、カンネのような()()は初めて見た。

 

(これが……《水魔のカンネ》。とんでもないね)

 

 フリーレンは頬を引き攣った。

 

「行って」

 

 カンネは静かにそう命令した直後、水の怪物と水のカンネたちは魔法使いたちに襲い掛かった。

 魔法使いたちは魔法攻撃で迎撃する。

 しかし、魔法攻撃を受けた水の怪物と水の分身達はすぐに再生し、襲い掛かる。

 

「クソ!」

「くっ!」

「きゃあ!」

 

 魔法使いたちは水の怪物と水の分身達と激しい戦闘を繰り広げる。

 爆発音、切り裂く音、打撃音……激しい戦闘音が森に響き渡った。

 そんな中でラヴィーネは冷気を纏った剣で水の分身達を凍らせ、切り裂く。

 

「やっぱり……私の天敵はあんただね。ラヴィーネ」

 

 カンネはラヴィーネの目の前にゆっくりと着地し、オレンジ色の瞳を怪しく光らせる。

 

「カンネ」

「ラヴィーネ……あんたは私が倒すよ」

「やってみろ」

 

 冷気を纏った剣を構えるラヴィーネ。

 空中に無数の水の槍を生み出し、杖を構えるカンネ。

 二人の少女は睨み合い……そして動き出す。

 

「はぁ!」

 

 ラヴィーネは地面を強く蹴り、カンネに突撃した。

 迫りくるラヴィーネを倒すために、カンネは無数の水の槍を飛ばす。

 ジグザグに高速に飛びながら、ラヴィーネに襲い掛かる無数の水の槍。

 それを氷の魔法剣士は冷気を纏った剣で切り裂く。

 

「甘いよ!」

 

 カンネは杖の先から圧縮された水のレーザーを放ち、素早く振るう。

 いくつもの木を切り裂きながらラヴィーネに襲い掛かるウォータージェット。

 それを跳躍して躱し、ラヴィーネはカンネに向かって剣を振り下ろす。

 

「やぁ!」

 

 ラヴィーネの鋭い剣撃。

 カンネは水の盾を生み出し、剣撃を防ぐ。

 

「次はこっちの番!」

 

 カンネは杖で鋭い刺突を放った。

 だがそれをラヴィーネは剣で受け流す。

 激しい攻防を繰り広げるラヴィーネとカンネ。

 彼女達は激しい戦いを繰り広げた。

 

(……残り数秒!)

 

 ラヴィーネはカンネが“魔力を無限にする魔法”を発動してから、時間を数えていた。

 カンネは一分を過ぎれば、自動的に“魔力を無限にする魔法”の効果が切れることを知っているから。

 

「よし!一分過ぎた!」

 

 ラヴィーネは笑みを浮かべる。

 他の魔法使いたちも勝利を確信した。

 一分は過ぎた。これで勝てる。

 誰もがそう思った。

 しかし、カンネからまだ無限の魔力を感じていた。

 

「なっ!?」

「甘いよ、ラヴィーネ。あんたが成長しているように……私も成長したんだよ」

「なにを…言って……」

「私はゼーリエ様の弟子になってから“魔力を無限にする魔法”を改良し、さらに使いこなせるよう鍛錬した。その結果、私は……“魔力を無限にする魔法”を一分から三十分にまで使えるようになったの」

「な……なんだと!」

 

 カンネの言葉を聞いて、誰もが驚愕した。

 しかもまだそれだけじゃない。

 

「そして……三十分経っても、私は動けるし……魔力を一瞬で完全に回復させることができるの」

「!!」

 

 ラヴィーネはただ……呆然とした。

 三十分もの間、無限に魔力を使えるだけじゃなく、魔力を一瞬で回復させる。

 もはや化物の中の化物。

 

「さぁ…ラヴィーネ。あんたが私を倒すか、それとも私があんたを倒すか……どっちだろうね?」

 




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