「ハァ…ハァ…ハァ……」
片膝を地面に付けて、肩で息をするラヴィーネ。
彼女の服はボロボロになっており、激しい戦闘を繰り広げたのが分かる。
そして……彼女の周りには疲弊した魔法使いたちが集まっていた。
「クソ…」
「強すぎる」
「勝てるわけないわよ、こんなの」
一か所に集まっている魔法使いたちを、逃げられないように囲む水の怪物達と水の少女達。
そんな中から水の魔法使い―――カンネは告げる。
「よく頑張ってね、受験者さんたち。だけど……残念だけどここでみんな失格だよ」
カンネは杖を構え、魔法を発動しようとした。
その時、小鳥やリスなどの小さな動物たちが彼女の視界を遮る。
「キャア、これは!?」
カンネが驚いていると、魔法使いの少女—――ララが叫んだ。
「今です!皆さん、逃げてください!」
その言葉を聞いた魔法使いたちは飛行魔法で空を飛ぶ。
「逃がさない!」
小動物たちを手で払ったカンネは、追いかけようとする。
だがそんな彼女に無数の白い極太光線が襲い掛かった。
「“
カンネは大きな水の盾を生み出し、無数の白い極太光線を防ぐ。
すべての極太光線を防いだ時には、魔法使いたちは姿を消していた。
「逃がしちゃったか……残念」
カンネがそう呟いた時、彼女から発生していたオレンジ色の粒子が止まった。
同時に水のドレスや水の怪物達、そしてカンネの水分身達も消える。
「時間切れかな……ふぅ」
カンネは近くにあった石の上に座る。
「やっぱり“
カンネはオレンジ色に染まった空を見上げる。
「今日はここで野営かな」
ふぅと息を吐くカンネ。
そんな彼女を……一羽の小さな鳥が見ていた。まるで監視するかのように。
<><><><>
「なんとか逃げられたみたいだね」
水の魔法使いカンネから逃げることができた魔法使いたちは、地面に座っていた。
全員、疲れ切っており、誰一人立ち上がろうとしない。
「もうなんなのあれ」
「化物だろう」
「勝てるのか、あんなの?」
愚痴を吐く魔法使いたち。
その中でなんとか立ち上がる体力がまだある魔法使いたち―――ヴィアベルとデンケン、ラヴィーネとフェルン、そしてフリーレンは作戦を考える。
「どうする?」
「どうするもなにも……勝てるのか、あの化け物に?」
「予想以上に強かったね。カンネって子」
フリーレンたちは甘く見ていた。
カンネという化物クラスの魔法使いを。
パーティー同士が協力すれば勝てると、誰もが考えていた。
だがそれは間違い。
カンネは無数の水の魔法で、十二人の魔法使いたちを相手に圧倒した。
「どうしましょう、フリーレン様。このままじゃあ」
「フェルンの考えている通りだよ。このままじゃあ……全滅する」
フリーレンたちは考えた。
これからどうすればいいか。
そう思っていた時、ラヴィーネが手を挙げた。
「いや……勝てるかもしれないぞ。カンネに」
ラヴィーネの言葉を聞いて、フリーレンたちは目を見開く。
「どういうこと?」
「カンネのことをよく知る私だから分かったんだが……カンネはとても疲れていた。顔には出していないが」
「間違いないんだね?」
「ああ」
フリーレンは顎に手を当てて考える。
「だけどまた“魔力を無限にする魔法”を使われると厄介だね」
「あ、あの」
「ん?」
フリーレンが思案していた時、魔法使いの少女—――ララが手を挙げた。
「どうしたの、ララ」
「じ、実は……さっき小鳥さんにカンネさんの監視をお願いしたのですけど」
「うん」
「小鳥さんが言うにはカンネさんはさっきの場所で休んでいるみたいです。私達を探そうとしないで」
「!!ララ、ナイス」
フリーレンはララの頭を優しく撫でた。
頭を撫でられるララは嬉しそうに微笑んだ。
「たぶんカンネはもう“魔力を無限にする魔法”を使うことはできない。使えたとしてもあと一回だけ」
フリーレンの言葉を聞いて、デンケンは「なぜだ?」と尋ねる。
「もし無制限で“魔力を無限にする魔法”が使えれば、私達も今頃、捕まっている」
「なるほど」
「恐らくだけど“魔力を無限にする魔法”は身体の負担が大きいんだよ。改良して、使いこなせたとしても疲労は大きい。例え魔力を一瞬で回復できたとしても、回復できるのは魔力であって肉体の疲労や体力、精神力ではない」
「ふむ……」
デンケンは髭を触りながら、考える。
「つまり……今がチャンスなんじゃな?」
「そういうこと」
「……分かった。なら動ける儂らだけで行こう」
デンケンの言葉に、フリーレンたちは頷く。
「まず作戦を考えよう。水の怪物達と水の分身達は私たちでなんとかする。そして本体は……ラヴィーネ、お願いできる?」
「!!」
ラヴィーネは一瞬驚いたが、すぐに真剣な表情で頷く。
「ああ。分かった」
「よし、なら行こうか」
「リベンジだ」
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