ラヴィーネと戦い、《狂戦士の鎧を纏う魔法》と《魔力を無限にする魔法》で動けなくなった
両手は魔法で生み出した縄できつく縛られており、外すことはできない。
まぁ拘束する必要はないと思うけどね。
今の私は魔力も体力もすっからかんだし。
歩くぐらいならできると思うけど。
「これでこの試験はクリアってところだね」
「そうですね。フリーレン様」
少しホッと安堵した表情を浮かべるフリーレンとフェルン。
他の魔法使いたちも嬉しそうにガッツポーズしたり、笑っていた。
まぁこの試験の最大の敵である私を捕まえたんだからね。
シュティレも捕まえたみたいだし、あと明日の日没まで待てばいいだけだし。
まぁ……今はそんなことよりも。
「ラヴィーネ……恥ずかしいから離れて」
「断る。しばらくこのままでいさせろ」
動けなくなっている私を、ラヴィーネはギューと力強く抱き締めていた。
は、恥ずかしいよ!
他の魔法使いたちも見てるし!
ていうかこの状況で喜んでいる自分もいるし!
いや、実際に嬉しいよ?今まで会えなかった最愛の幼馴染にギュッと抱き締められて、すっごく幸せ。
だけどね……同時に恥ずかしくて頭が爆発しそうなの!
「は、恥ずかしいって言ってるでしょ?」
「……カンネは、私に抱き締められるのは嫌か?」
「う……」
そんな真顔で聞かないでよ、ラヴィーネ。
その顔を見ると、胸がドキドキするから~!
「嫌……じゃないよ。とても……幸せ」
顔を熱くなるのを感じながらそう言うと、ラヴィーネはさらに強く抱き締める。
誰か助けて~!と心の中で叫んでいると、
「《水魔のカンネ》。いや……《魔剣のカンネ》に聞きたいことがあるんだよね」
フリーレンが私に近付いてきた。
フリーレン。この世界の主人公にして、千年以上生きるエルフ。
なんだろう……会えて嬉しいのに、背中から冷や汗が止まらない。
というかなんか怒ってない?
無表情で分かりづらいけど、なんか怒ってるよね?
「君が勇者の剣を抜いたって本当?」
「え?うん……そうだよ」
「その剣、どこにある?」
「私が借りている家の中だよ」
「その剣……私にくれないかな?」
え?フリーレンが勇者の剣を?
なんで?
「……それは無理だよ。勇者の剣は選ばれた主以外が触ると大けがを負うんだ」
「チッ……あのクソ剣め」
うっわ、今すごい顔で舌打ちしたよフリーレン。
アニメで見てたけど、フリーレンが舌打ちするようなシーンはなかったはず。
というか勇者の剣がとても嫌いみたい。
なにがあったか聞かないけど。
「そうだ、カンネ。会ったら渡したいものがあったんだ」
ラヴィーネは抱き締めるのをやめて、懐から一つの指輪を取り出した。
その指輪はオレンジ色に輝く宝石が埋め込まれている。
「綺麗……」
「お前の髪と瞳と同じ色をしているだろ?お前に……似合うと思って」
ラヴィーネは私の左薬指に、指輪ははめた。
その時、私はなぜか泣きそうなぐらい嬉しい気持ちが胸の中で湧き上がる。
「カンネ……ゼーリエから必ずお前を取り戻す。そして取り戻したら……お前に伝えたいことがある。だから……待っててくれ」
真っすぐな目で私を見つめるラヴィーネ。
そんな彼女を見た私は……我慢ができず、
「!!」
ラヴィーネの唇を私の唇で奪った。
ごめんね、ラヴィーネ。
我慢できないや。
この気持ちは……ラヴィーネが好きだって気持ちは、止めることはできない。
ゆっくりとラヴィーネの唇から離れた私は、笑顔を浮かべる。
「待ってるよ。何年でも……何十年でも」
いくらでも待つよ。
だから……ちゃんと迎えに来てね。
顔を真っ赤にして固まっているラヴィーネが可愛くて、私が笑っていた時……彼女が現れた。
「もう、いいか。カンネ」
静かな……だけど怒りを宿した声が私の耳に聞こえた。
振り返った私は目を見開く。
なんでここに!?と思いながら、私は目の前にいる人物の名を口にする。
「ゼーリエ……様」
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