零落の王墓に入ったフリーレンたちは、宝物庫に向かって歩いていた。
小鳥に案内されながら先を進む受験者たち。
そんな彼らは自然と二人の少女達に視線を向けていた。
「それでこんなことがあってな~」
「そうなんだ~アハハ」
ラヴィーネとカンネだ。
二人は恋人つなぎをしており、楽しそうに会話をしている。
それを見ていた魔法使いたちを思った。
こんなところでイチャイチャするなと。
「まったく……あんな楽しそうなラヴィーネ……初めて見た」
「そうですね」
カンネと楽しそうに話すラヴィーネは、どこか幸せそうだった。
それを見てフリーレンとフェルンは呆れる。
「でもよかったよ。好きな人と話すことができて」
そう呟いたフリーレンは、一人の勇者のことを思い出す。
優しそうな水色の目に水色の髪の男。
「ヒンメル……」
かつて共に旅をした仲間の一人、ヒンメル。
彼を思い出したフリーレンは、胸が少し苦しくなるのを感じた。
「フリーレン様?どうしました?」
「いや……なんでだろう。ラヴィーネとカンネを見ていると、なぜかヒンメルのことを思い出して……胸が苦しくなるのを感じた」
「それって……」
「なぜか……とても寂しくて、ヒンメルにすごく会いたい」
無表情でそう言うフリーレン。
だがフェルンは気付いていた。
フリーレンの瞳が僅かに潤んでいることを。
「……」
フェルンはなにも言わず……ただ、フリーレンの手を握る。
「フェルン?」
「一人じゃあ……ないですよ」
フェルンの言葉を聞いて、フリーレンは目を細める。
「うん」
<><><><>
ダンジョンの中を進んで数十分、小動物達がララのところに集まってきた。
「ピピピ」
「チュチュチュ」
小動物達が鳴いていた。
ララは「うん、ありがとう。教えてくれ」とお礼を言い、ポケットから木の実やパンを取り出し、小動物たちに与える。
「どうやらいくつもの宝箱を見つけたようです」
それを聞いたフリーレンはララに早足で近づき、顔を近づける。
「それどこ?」
「え?でも……先を急いだ方がいいんじゃあ」
「どこ?」
「えっと……この先の右の部屋にあります」
フリーレンは早足で部屋に向かった。
そんな彼女の跡を、フェルンは追いかける。
「待ってください。フリーレン様。ミミックですよ、絶対」
「いや、そんなことはない。絶対に魔導書が入ってる」
他の魔法使いたちを置いて、部屋に向かうフリーレンたち。
そんな彼女達を見て、他の魔法使いたちは呆然としていた。
「どうするの、ラヴィーネ?」
カンネが問い掛けると、ラヴィーネは頭をガリガリと掻きながら呟く。
「仕方ない。行ってみるか」
<><><><>
数分後。
「暗いよ~!怖いよ~!」
フリーレンは宝箱の魔物―――ミミックに食べられていた。
上半身が食べられており、足をジタバタと動かしている。
そんな彼女を見て、他の魔法使いたちは呆れていた。
その中で私―――カンネは、
「プ……アハハハ!」
腹を抱えながら笑った。
「カンネ?」
「いや~……やっぱりフリーレンなんだなって、思って」
本当にアニメと同じだ。
宝箱だと分かった瞬間、ミミックかどうか疑わずに開けようとする。
そこが面白くて、好きなキャラクターだな~。
「本当……転生してから色々あったな~」
私は心からそう思った。
気が付いたら『葬送のフリーレン』に登場するカンネに転生して。
魔法剣士になるのを夢見て、鍛錬して。
ラヴィーネと出会って。
ラヴィーネ友達になって
魔族と戦って。
ラヴィーネを失いそうになって、初めて好きだと気づいて。
剣を捨てて、魔法使いとして生きて。
ラヴィーネと離れ離れになって寂しくて。
ラヴィーネと再会して。
ラヴィーネと戦って。
ラヴィーネと……ラヴィーネと……。
「やっぱりそうなんだね」
私の頭の中はラヴィーネでいっぱいだった。
魔法剣士として生きるのと同じぐらい……いや、それ以上にラヴィーネが大切。
かけがえのない存在。
自然とラヴィーネの手を握る手が、強くなる。
「カンネ?」
私はラヴィーネの肩に頭を乗せ、静かな声で呟いた。
「ラヴィーネ……」
「好きだよ」
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