魔剣のカンネ   作:グレンリアスター

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ダンジョン攻略4

 宝物庫の扉の前にある広い部屋。

 そこで偽フリーレンと偽カンネは戦っていた。

 ありとあらゆるものを凍結させる氷の化物と。

 

「……」

「……」

 

 偽フリーレンは無数の魔法陣を展開し、白い光線を放射。

 偽カンネは無数の水の槍を生み出し、飛ばす。

 迫りくる光線と水の槍。

 だが氷の化物―――ラヴィーネは恐れない。

 

「凍れ」

 

 ラヴィーネは冷気を纏った魔法剣を軽く振るった。

 直後、巨大な冷気の斬撃が飛び、光線と水の槍を一瞬で凍らせる。

 それを見て、偽フリーレンは黒く輝く球を空中に生み出した。

 直後、ラヴィーネは一瞬で偽フリーレンに接近し、黒い球を切り裂く。

 切り裂かれた黒い球は凍結し、粉々に砕け散る。

 

「遅い」

 

 ラヴィーネは氷に覆われた左手で、偽フリーレンの顔を掴んだ。

 そして左手から冷気を放射。

 零距離から冷気を受けた偽フリーレンの身体は一瞬で凍結し、甲高い音を立てて砕け散った。

 

「まずは一体だ」

 

 口からフシュ―と白い冷気を漏らしながら、ラヴィーネは偽カンネを睨む。

 

「……」

 

 偽カンネは槍のような杖を軽く振るった。

 直後、偽カンネの身体から水の竜巻が発生する。

 やがて水の竜巻が収まると、そこに立っていたのは水の女王となった偽カンネ。

 頭には水の王冠が乗っており、身体は水のドレスで覆われていた。

 彼女の周囲にはいくつもの水の球が浮かんでいる。

 

「そう来るよな……だが」

 

 ラヴィーネは冷気を纏った剣を静かに構える。

 

「偽物なんかに私は負けない」

 

 蒼い瞳を怪しく光らせて、ラヴィーネは駆け出す。

 偽カンネは巨大な水の蛇を生み出した。

 水の大蛇は口を大きく開けて、ラヴィーネに襲い掛かる。

 

「邪魔だ!」

 

 ラヴィーネは巨大な氷の狼を生み出す。

 

「行け!」

 

 ラヴィーネの言葉を合図に、大きな氷狼は水の大蛇と激突する。

 狼は氷の爪で切り裂き、蛇は太長い胴体で敵の身体を締め付けた。

 水蛇と氷狼が戦っている間、ラヴィーネは偽カンネに距離を詰める。

 

「……」

 

 偽カンネは無数の水の槍を生み出し、飛ばす。

 それに対し、ラヴィーネは無数の氷の剣を生み出し、飛ばした。

 水の槍と氷の剣が何度も激突し、消滅する。

 

「シッ!」

 

 偽カンネの懐に入ったラヴィーネは舞うように剣を振るう。

 冷気を宿した刃が偽カンネを切り裂こうとした。

 だが偽カンネは水の盾で、冷気の斬撃を防ぐ。

 冷気の斬撃を受けた水の盾は一瞬で凍り、砕け散る。

 僅かに生まれたラヴィーネの隙。

 その隙を狙って、偽カンネは動く。

 

「……」

 

 杖の先端をラヴィーネに向け、そして圧縮した水のレーザーを放射。

 レーザーは見事にラヴィーネに直撃した。

 しかし……貫かれなかった。

 ラヴィーネの身体を覆うぶ厚い氷の装甲が、圧縮した水のレーザーを防ぐ。

 

「私の……勝ちだ」

 

 ラヴィーネは冷気を纏った剣を振り下ろし、カンネの身体を切り裂いた。

 切り裂かれたカンネの身体は一瞬で凍り付き、砕け散る。

 二体の複製体を倒したラヴィーネは宝物庫の扉を開け、中に入った。

 宝物庫の中は金銀財宝……宝の山。

 その宝の山の上に浮かぶのは、紫色に輝く宝石。

 ラヴィーネは氷の剣を生み出し、飛ばす。

 飛ばした氷剣は宝石を破壊した。

 

「これで……終わっ……た」

 

 ラヴィーネは両膝を地面につき、倒れた。

 彼女の身体を覆っていた氷は消え、氷の化物からただの少女へと姿を変える。

 

「ハハハ……無茶…しすぎたな」

 

 ラヴィーネが使った“氷の怪物になる魔法(コキュートス)”は、氷系魔法の能力を爆発的に強化するといういたってシンプルかつ強力な魔法。

 強力すぎるため、肉体の負担も大きい。

氷の鎧を纏う魔法(アイス・アーマー)”も同時に使えば、さらに負担も大きくなる。

 すでにラヴィーネには立つことするキツイ状態。

 

「……ラヴィーネ」

 

 ラヴィーネの耳に、聞き覚えのある声が聞こえた。

 その声を聞くと、ラヴィーネは胸が温かくなるのを感じる。

 

「カンネ……」

 

 いつの間にいたのか、ラヴィーネの視界にカンネの姿が映っていた。

 

「ラヴィーネ……じっとしてて」

 

 カンネは地面に座ると、ラヴィーネの頭を自分の膝の上に乗せた。

 膝枕だ。

 

「……凄いね、偽物とはいえフリーレンと私に勝っちゃうんなんて」

「……お前を取り戻すためなら、どんなやつでも勝ってやる」

「うん……ありがとう」

 

 カンネは微笑みながら、ラヴィーネの頭を撫でる。

 

「ラヴィーネ……第二次試験、合格だよ」

「そうか……無茶したかいが……あったな」

「そうだね」

「……カンネ」

「なに?」

「しばらく……このままでいたい」

「うん……いいよ」

 

 フリーレンたちが来るまでの間、カンネは自分の膝の上でラヴィーネを休ませた。

 休んでいる間、ラヴィーネは幸せそうに微笑んだ。




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