宝物庫の扉の前にある広い部屋。
そこで偽フリーレンと偽カンネは戦っていた。
ありとあらゆるものを凍結させる氷の化物と。
「……」
「……」
偽フリーレンは無数の魔法陣を展開し、白い光線を放射。
偽カンネは無数の水の槍を生み出し、飛ばす。
迫りくる光線と水の槍。
だが氷の化物―――ラヴィーネは恐れない。
「凍れ」
ラヴィーネは冷気を纏った魔法剣を軽く振るった。
直後、巨大な冷気の斬撃が飛び、光線と水の槍を一瞬で凍らせる。
それを見て、偽フリーレンは黒く輝く球を空中に生み出した。
直後、ラヴィーネは一瞬で偽フリーレンに接近し、黒い球を切り裂く。
切り裂かれた黒い球は凍結し、粉々に砕け散る。
「遅い」
ラヴィーネは氷に覆われた左手で、偽フリーレンの顔を掴んだ。
そして左手から冷気を放射。
零距離から冷気を受けた偽フリーレンの身体は一瞬で凍結し、甲高い音を立てて砕け散った。
「まずは一体だ」
口からフシュ―と白い冷気を漏らしながら、ラヴィーネは偽カンネを睨む。
「……」
偽カンネは槍のような杖を軽く振るった。
直後、偽カンネの身体から水の竜巻が発生する。
やがて水の竜巻が収まると、そこに立っていたのは水の女王となった偽カンネ。
頭には水の王冠が乗っており、身体は水のドレスで覆われていた。
彼女の周囲にはいくつもの水の球が浮かんでいる。
「そう来るよな……だが」
ラヴィーネは冷気を纏った剣を静かに構える。
「偽物なんかに私は負けない」
蒼い瞳を怪しく光らせて、ラヴィーネは駆け出す。
偽カンネは巨大な水の蛇を生み出した。
水の大蛇は口を大きく開けて、ラヴィーネに襲い掛かる。
「邪魔だ!」
ラヴィーネは巨大な氷の狼を生み出す。
「行け!」
ラヴィーネの言葉を合図に、大きな氷狼は水の大蛇と激突する。
狼は氷の爪で切り裂き、蛇は太長い胴体で敵の身体を締め付けた。
水蛇と氷狼が戦っている間、ラヴィーネは偽カンネに距離を詰める。
「……」
偽カンネは無数の水の槍を生み出し、飛ばす。
それに対し、ラヴィーネは無数の氷の剣を生み出し、飛ばした。
水の槍と氷の剣が何度も激突し、消滅する。
「シッ!」
偽カンネの懐に入ったラヴィーネは舞うように剣を振るう。
冷気を宿した刃が偽カンネを切り裂こうとした。
だが偽カンネは水の盾で、冷気の斬撃を防ぐ。
冷気の斬撃を受けた水の盾は一瞬で凍り、砕け散る。
僅かに生まれたラヴィーネの隙。
その隙を狙って、偽カンネは動く。
「……」
杖の先端をラヴィーネに向け、そして圧縮した水のレーザーを放射。
レーザーは見事にラヴィーネに直撃した。
しかし……貫かれなかった。
ラヴィーネの身体を覆うぶ厚い氷の装甲が、圧縮した水のレーザーを防ぐ。
「私の……勝ちだ」
ラヴィーネは冷気を纏った剣を振り下ろし、カンネの身体を切り裂いた。
切り裂かれたカンネの身体は一瞬で凍り付き、砕け散る。
二体の複製体を倒したラヴィーネは宝物庫の扉を開け、中に入った。
宝物庫の中は金銀財宝……宝の山。
その宝の山の上に浮かぶのは、紫色に輝く宝石。
ラヴィーネは氷の剣を生み出し、飛ばす。
飛ばした氷剣は宝石を破壊した。
「これで……終わっ……た」
ラヴィーネは両膝を地面につき、倒れた。
彼女の身体を覆っていた氷は消え、氷の化物からただの少女へと姿を変える。
「ハハハ……無茶…しすぎたな」
ラヴィーネが使った“
強力すぎるため、肉体の負担も大きい。
“
すでにラヴィーネには立つことするキツイ状態。
「……ラヴィーネ」
ラヴィーネの耳に、聞き覚えのある声が聞こえた。
その声を聞くと、ラヴィーネは胸が温かくなるのを感じる。
「カンネ……」
いつの間にいたのか、ラヴィーネの視界にカンネの姿が映っていた。
「ラヴィーネ……じっとしてて」
カンネは地面に座ると、ラヴィーネの頭を自分の膝の上に乗せた。
膝枕だ。
「……凄いね、偽物とはいえフリーレンと私に勝っちゃうんなんて」
「……お前を取り戻すためなら、どんなやつでも勝ってやる」
「うん……ありがとう」
カンネは微笑みながら、ラヴィーネの頭を撫でる。
「ラヴィーネ……第二次試験、合格だよ」
「そうか……無茶したかいが……あったな」
「そうだね」
「……カンネ」
「なに?」
「しばらく……このままでいたい」
「うん……いいよ」
フリーレンたちが来るまでの間、カンネは自分の膝の上でラヴィーネを休ませた。
休んでいる間、ラヴィーネは幸せそうに微笑んだ。
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