魔剣のカンネ   作:グレンリアスター

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氷の魔法剣士VS大魔法使い

「最初から本気で行かせてもらう」

 

 蒼い瞳を輝かせて、氷の魔法剣士は必殺技魔法を発動する。

 

「“氷の鎧を纏う魔法(アイス・アーマー)”“氷の怪物になる魔法(コキュートス)”!!」

 

 二つの魔法を発動した直後、ラヴィーネの身体から冷気の嵐が発生した。

 広い草原は一瞬で凍り、冷たい風が激しく吹く。

 ラヴィーネの身体が氷の鎧に覆われ、さらに鎧の上に鋭利な氷の装甲が覆われた。

 氷の化物となったラヴィーネは口から白い冷気を漏らしながら、大魔法使いであるゼーリエを睨む。

 

「ほう……」

 

 ゼーリエは興味深そうにらヴィーネを観察する。

 

「喰らえ」

 

 ラヴィーネは地面を強く踏んだ。

 直後、地面から無数の氷の棘が勢いよく出現し、ゼーリエに襲い掛かる。

 しかし無数の氷の棘はゼーリエに当たる直前に、砕け散った。

 まるで見えない壁にぶつかったかのように。

 

 

「チッ!」

 

 舌打ちしたラヴィーネはすぐに別の攻撃を仕掛ける。

 

「来い!」

 

 ラヴィーネがそう言うと、なにもないところから大きな氷の狼が現れる。

 しかも一匹や二匹ではない。

 その数……十匹以上。

 

「行け!」

 

 主の命令に従い、氷の巨狼たちは一斉にゼーリエに襲い掛かる。

 

「面白い……だが」

 

 ゼーリエは左手の人差し指を上から下に動かした。

 直後、とてつもない圧力が氷の巨狼たちに襲い掛かる。

 圧力に耐えきれず、氷の巨狼たちは甲高い音を立てて砕け散った。

 

「ん?」

 

 氷の巨狼達をを倒したゼーリエは、ラヴィーネから視界に消えていたことに気付いた。

 次の瞬間、ゼーリエの背後にラヴィーネが現れる。

 

「もらった!」

 

 ラヴィーネは冷気を纏わせた魔法剣を振り下ろす。

 冷気の斬撃はゼーリエの身体に直撃した。

 するとゼーリエの身体が花びらとなり、舞い散る。

 

「なっ!」

「素晴らしい。魔法と剣技、そして移動術はどれも一流だ」

 

 ラヴィーネの背後から聞こえたゼーリエの声。

 慌ててラヴィーネが振り返った直後、無数の炎の槍が彼女に直撃した。

 爆発音が鳴り響き、爆炎が舞い上がる。

 それを少し離れたところから見ていたゼーリエは……静かに告げた。

 

「だが……私には勝てない」

 

<><><><>

 

「ラヴィーネ!」

 

 ゼーリエ様とラヴィーネの戦いを見ていた私は、思わず声を上げた。

 やっぱりゼーリエ様は圧倒的すぎる。

 こんなの勝てるわけ……、

 

「そう騒ぐな……カンネ」

 

 優しい声が聞こえた。

 直後、爆炎が吹き飛び、冷気の嵐が巻き起こる。

 冷気の嵐を発生させたのは他でもない。

 ラヴィーネだ。

 

「この程度、大した事ねぇよ」

 

 蒼い瞳を輝かせながら、余裕の笑みを浮かべるラヴィーネ。

 だが私は気付いていた。

 氷の鎧のおかげで重傷は負っていないけど、ゼーリエ様の魔法攻撃でそうとうダメージを受けている。

 

「ラヴィーネ……」

「安心しろ……絶対に勝つから。だから……見守っていてくれ」

 

 ラヴィーネは静かに息を吸い、冷気を宿した剣を構える。

 そして彼女は地面を駆けだし、ゼーリエ様に突撃した。

 

「無駄だ」

 

 ゼーリエ様は炎の槍をいくつも生み出し、飛ばす。

 迫りくる炎の槍を冷気の刃で凍らせ、切り裂きながらラヴィーネは前に進む。

 

「ッ!」

 

 私は胸が苦しくなるのを感じながら、祈った。

 愛する人の勝利を。

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 ゼーリエ様の懐に入ったラヴィーネは怒涛の連撃を放つ。

 その剣技はとても美しく、神秘的だった。

 しかし……そんな剣技を嘲るかのようにゼーリエ様が魔法で迎撃する。

 

 パチンッ!

 

 ゼーリエ様が指を鳴らした直後、彼女の目の前に何十層にも重なった半透明なバリアが出現。

 バリアはラヴィーネの美しき連撃を完全に防ぐ。

 そして、

 

「終わりだ」

 

 ラヴィーネの周囲に赤い魔法陣がいくつも出現。

 魔法陣から炎の竜の頭が現れ、ラヴィーネの腕や肩、脚、腹などに噛みつく。

 竜の炎の牙は氷の鎧を貫き、肉を焼く。

 

「ガアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

 激痛の悲鳴を上げるラヴィーネ。

 そんな彼女を見て、私は黙っていられなかった。

 

「もういい!ラヴィーネ!もう負けでいい!!私のことはいいから、負けを認めて!!」

 

 もうこれ以上、ラヴィーネの傷つくところを見たくない!

 お願い……戦わないで!!

 あんたがこれで死んだら、私は……!!

 

「だ……そうだ?どうする《氷剣のラヴィーネ》」

 

 ゼーリエ様は笑みを浮かべながら、ラヴィーネを問い掛けた。

 もう彼女は自分が勝利をすることが分かっている。

 だけど……ラヴィーネは、

 

「誰が……負けを認めるか!」

 

 痛みで顔を歪めながらも、ラヴィーネはゼーリエ様を睨んだ。

 

「お前に勝つまで……私は負けねぇ!」

「ほう……だがどうやって勝つんだ?」

「……私は……なにがなんでもお前に勝って、カンネを取り戻す。そのためなら……」

 

 

 

 

 

 

 

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