剣術を磨き、魔法を作り、肉体を鍛え数年。
私は十二歳になった。
時が流れるって速いね。
魔物との戦闘も慣れて、だいぶ強くなったかな。
「おい、カンネ。お前……髪型を変えたのか?」
家に遊びに来たラヴィーネが私の髪を見て、そう言った。
ふふふ、実はそうなの。
今まではアニメと同じくツインテールにしてたけど、今日からはポニーテイルにしたの。
ちょっとしたオシャレ。
まぁこっちのほうが戦いやすいというのもあるけど。
「そうだよ。どう?似合う?」
「バカが余計にバカに見える」
「喧嘩売ってんの!?」
本当、私……この子、嫌いだな。
いつもいつも私をバカにして。
魔法学校でも私の髪をよく引っ張るし……。
「そんなことよりカンネ。お前……これからどうするんだ?」
「どうって?」
「今日も魔物と戦うのか?」
「うん、そうだよ」
「まだ……引きずってんのか?」
「……うん」
私は頷いて、肯定した。
「あれは無理だって。逃げて正解だ」
「…うん。そう……だね」
分かっている。ラヴィーネが私のことを慰めてくれているのを。
でも私は忘れられない。
あの時のことを。
今から一ヶ月前のことを……。
<><><><>
一か月前、私とラヴィーネは森で魔物と戦っていた。
私は刀で魔物を斬り殺し、ラヴィーネは魔法で生み出した氷柱で魔物を撃ち抜く。
周囲には赤い血が飛び散り、塵とかして消滅していく魔物を死体が転がっている。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
「ラヴィーネ。大丈夫?」
「平気……だっつうの」
ラヴィーネは荒い息を漏らしていた。
まぁしょうがないよね。
私は毎日身体を鍛えているお陰で、体力はある。
けどラヴィーネはあまり身体を鍛えていない。
どちらかというと魔法の腕を鍛えている。
魔法剣士を目指す私とでは、体力が違う。
あと戦闘経験も私の方が上だし。
「やっぱり今日はこれぐらいにしよう?」
「だから…平気……だって」
「そんなハァハァ言っても説得力ないよ。ほら、手を貸すから」
私はラヴィーネを連れて、街に戻ろうとした。
その時、足音が聞こえた。
振り返って後ろを見た私は……素早く鞘から刀を抜き、構える。
どうしよう。
まさかこんな奴が現れるなんて。
今、私は……今まで戦ってきた魔物以上にヤバいやつと合ってしまったみたい。
「へぇ……こんなところに人間がいるんだ」
私の視線の先にいたのは、赤い髪を伸ばした少女。
歳は十六ぐらいだろう。
だがその少女は、普通の人間ではないものを持っていた。
角だ。
黒い角を頭から生やしていた。
「魔族」
目の前にいたのは魔族。
魔物より強い化け物が……今、私たちの前に現れた。
「落ち着いて。別に私はあなた達を殺しわ……」
魔族の少女はなにか喋っているけど、無視する。
私は無数の魔法で己を強化し、魔族に接近。
迷わず首を狙って刀を振るった。
ガキン!
しかし私の斬撃は半透明なバリアによって防がれてしまう。
「私は戦うつもりはないよ?」
「嘘を言わないで。あなた達は言葉で人を騙し、人を喰らう魔物……そんな奴が私達を殺さないはずがない」
魔族は人の言葉を喋る魔物。
人間とは共存できない存在。
戦わなければ私達が死ぬ。
だから……今、ここで彼女を殺す!
「しかたない」
魔族の少女は掌から竜巻を発生させた。
私は竜巻を躱し、魔法を発動する。
「“
刀に炎を纏わせ、私はもう一度刀を振るった。
魔族の少女は半透明のバリアを発生させ、防ぐ。
しかし半透明のバリアは甲高い音を立てて砕け散り、刀の刃は魔族の少女の頬に傷を付ける。
よし、このまま!
「甘いよ」
魔族の少女が掌から風の刃を飛ばした。
その風の刃を受けた私は血を流す。
「ガハッ!」
血を流し、私は片膝を地面に付ける。
痛い……まさか攻撃を受けるなんて。
「終わりだよ」
魔族の少女は掌を私に向けた。
その直後、無数の氷柱が魔族の少女に襲い掛かる。
「カンネ!」
氷柱を連射しながら私の元へ来るラヴィーネ。
魔族の少女は氷柱を躱し、距離を取る。
「そういえば君もいたね。いいよ。君も相手に……」
「“
魔族の少女がラヴィーネに意識を向けている間に、私は魔法を発動。
私を中心に煙が発生する。
これでなにも見えないはず!
その隙に、ここから逃げる。
「ラヴィーネ!しっかり摑まって」
「え!ちょ!」
私はラヴィーネを背負い、全力でその場から逃げた。
血を流しながら、痛みを感じながらも……魔法で強化した筋力と速さで逃げる。
悔しいけど、今の私では魔族には勝てない!
今は逃げるしかない!
その後、なんとか私達は魔族から逃げることができ、街に到着した。
街に到着した私は血を流しすぎたせいで、意識を失ってしまい……病院送りに。
<><><><>
「あのあとお父さんとお母さんに怒らてたっけ」
「そうだな……なぁ、しばらくは森に行かない方が」
「ごめんね、ラヴィーネ。心配してくれてありがとう。……でも、私…少しでも強くなりたいの」
私は初めて敗北した。
悔しさが今も胸に残っている。
もっと強くなりたい。
もっと剣の腕と魔法の腕を上げたい。
今度こそ……あの魔族に勝ちたい。
「次は……絶対に勝つ」
私はまた森に向かった。魔法剣士になるために。