魔族に敗北してから……私は魔物との戦闘を多くした。
それだけじゃない。
あの魔族に勝つために新たな魔法を作ろうとしていた。
しかし、
「ダメだ~。なかなかうまくいかない~」
自分の部屋で魔法製作していた私は、文字や魔法陣を書いた紙を丸めて床に投げ捨てた。
床には丸まった紙がいくつも転がっている。
徹夜して頑張ってるけど……なかなか対魔族用の魔法が完成しない。
今まではなんとか魔法を作れてたけど、今回は違う。
「そもそも私が作った魔法はあまり性能がよくないんだよね」
魔法は便利だが、万能ではない。
必ず欠点がある。
そして私が作った魔法にも欠点がある。
私が作った魔法は魔力の消費が少なく、長時間使えるのがメリットだ。
これは無数の魔法を使っても問題ないようにしているから。
だけどデメリットは性能がそこまで高くないということ。
魔力の消費と長時間の戦闘を考えると、どうしても性能が低くなってしまう。
魔法一つ一つの性能を上げることはできる。
だけどその分、魔力消費量が激しくなり、短時間しか使えない。
無数の魔法で自分を強化し、戦う私には厳しい。
そもそも魔力量がそこまで高くない。
私の魔力量は平均。
少なくもなければ、多くもない。
魔法を作る才能はあっても、魔力の量は普通。
「はぁ……どうしよ」
私は悩んだ。
あの魔族と戦わないっていう選択肢もあるけど……それはダメ。
魔法剣士になるには、あの魔族を倒さないといけない。
じゃないと前に進めない。
次は絶対に勝つ。
「せめて魔力が多ければ……」
私は考えた。
考えて、考えて、考えて……あることを思い付いた。
「……作ってみるかな」
私は新しい紙にペンを走らせた。
<><><><>
「で、できた……」
三か月を掛けて、私はついに新しい魔法を完成させた。
それも三つも。
だけどその三つの魔法は……諸刃の剣。
下手をすれば死ぬかもしれない。
今まで作った魔法よりも強力だが、その分……扱いに難しい。
「試しに使ってみようかな」
<><><><>
私は新しい魔法を試すために、森にやってきた。
今回、戦う魔物は……今までの魔物とは違う。
見つけたけど、ずっと戦うのを避けていた魔物。
「こうしてみるとでっかいな~」
私の視線の先にいたのは、体長十メートルはある大きな魔物。
緑色の鱗に覆われており、鋭い牙と爪を生やしていた。
背中から生えた翼。
長く、太い尻尾。
ドラゴンだ。
今日、私は……ドラゴンと戦う。
「ドラゴンスレイヤーになる日が来た」
ドラゴンは鋭い目で私を睨みつけている。
口から火を漏らしており、殺気を放っていた。
私は静かに鞘から刀を抜き、構える。
そして、新たな魔法を唱えた。
「“
次の瞬間、私の身体からオレンジ色の粒子が発生した。
“魔力を無限にする魔法”。この魔法は文字通り、魔力を無限にする魔法。
しかし魔力を無限にするのは一分間だけ。
一分を過ぎれば、全ての魔力は失うことになる。
まさに諸刃の剣。
だけどこの一分間は……私は魔法を使い放題!
「“
別の魔法を発動すると、私の身体が赤黒い鎧に覆われた。
その鎧は禍々しく、赤黒い稲妻を放電している。
“狂戦士の鎧を纏う魔法”。強力な鎧を纏い、戦闘能力、身体能力、攻撃力、速度、防御力などを爆発的に強化する魔法。
ただし膨大な魔力を常に消費しなければならない。
つまり“魔力を無限にする魔法”を発動している間しか使えない。
「行くよ!」
私は地面が砕けるほど強く蹴り、ドラゴンに突撃。
稲妻の如き速さで近づいてくる私にドラゴンは目を見開く。
「グアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンは口から炎を勢いよく吐き出す。
迫りくる業火を刀で吹き飛ばす。
「ハァ!」
赤黒い稲妻を纏わせた刀を振るい、ドラゴンの右腕を斬り飛ばした。
片腕を失ったドラゴンは空気が揺れるほどの悲鳴を上げる。
だが私は止まらない。
止まるわけにはいかない!
「ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
赤黒い稲妻を放ちながら私は縦横無尽に動き、ドラゴンの身体を切り裂く。
硬い鱗も豆腐の斬るように切り裂き、深い傷を付ける。
なにもできず、悲鳴を上げることしかできないドラゴン。
そんなドラゴンを殺すために強力な一撃を放つ。
「“
魔法を発動した直後、上段に構えた刀が白く輝き出した。
私は白く輝く刀を振り下ろす。
重く、強力な一撃を受けたドラゴンは真っ二つになる。
“一撃必殺を放つ魔法”。これは剣に膨大な魔力を宿らせ、強力な一撃を放つことができる必殺技。
“魔力を無限にする魔法”を使っている時しか使えない魔法。
ドラゴンを倒した私は、地面に倒れる。
ハハハ。ダメだ……もう魔力も体力もないから動けない。
だけどできた。魔族を倒す魔法が。
あとはこの三つの魔法を使いこなすだけ。
「待っててね、魔族。次は……私が勝つから」