VAMPIRE ARCHIVE   作:個々易々地

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これからも駄文を垂れ流していくのでよろしくお願いします


夜の香り

店を出た後ユメとアーカードはその足で商店街を巡り歩いていた

ユメは思ったより高かった銃の代金を払ったことで懐が寂しく

アーカードは早く試し打ちがしたいとのことで商店街で指名手配犯を探そうという結論になった

 

「とは言ってもやっぱりなかなか見つかんないね」

 

手元の手配書を見ながら周囲をキョロキョロ見回す

手配書に書かれていたのは寿司を頭に乗せた五人組 カイテンジャー

正義のためと称して強盗を繰り返す重犯罪者であり、一度現れば周囲が焦土と化すという

どうやら他自治区で問題を起こしてアビドスに逃げてきたらしい

アーカードは手配書の写真を見てなんとなく相手がどんな連中か理解した

 

「やっぱ他の自治区まで探しに行くべきかな?」

『いや、その必要はないようだ』

 

アーカードがそう言うと先の曲がり角から爆発音が聞こえ、そして食パンを咥えた女子高生よろしく寿司を乗せた女子高生達五人組が現れた

 

「どいた、どいたー!正義の味方、カイテンジャーのお通りじゃー!」

 

それぞれマグロ、穴子、カリフォルニアロール、玉子、エビを頭に乗せ

邪魔する物を破壊しながらこちらに向かって来ていた

大きな荷物を抱えていることから強盗した後、逃げている途中のようだ

 

「うわ~ほんとにあんな格好してるんだ」

『感想は後だ、縄の準備をしておけ』

 

右手に白銀の拳銃を構えたアーカードは手始めに先頭の玉子へ454改造カスール弾をぶち込んだ

 

「痛ったぁ‼️」「どうした?」「誰にやられた?」「あいつだ!あの背の高い不審者だ!」

『クックックッあれを痛いで済ませるか、やはりこちらの人間たちは硬いな』

 

多少驚きながらも手を止めることなく引き金を引いていく

 

「ったぁ‼️また私⁉️」「野郎ぶっ殺してやるぁぁぁ!」「待て!早まるなレッド!」

 

マグロを頭に乗せた生徒がアサルトライフルを乱射しながらこちらに突撃してくる

それに対しアーカードは何度か撃ち込むが止まる事なく突っ込んでくる

 

『ならばこっちを使おう』

 

そう言ってアーカードは左手に、もはや『砲』と呼ぶほうがふさわしいほどの拳銃

【ジャッカル】を構え引き金を引いた

 

ドンッ

 

拳銃とは思えない音を出しながら放たれた弾丸は吸い込まれるようにカイテンレッドに迫り

眉間を正確に撃ち抜いた

 

「あべしっ!」

 

そしてカイテンレッドは呆気なく気絶した

 

「うわぁ!レッド!」「早く助けなギャッ!」「おいピンクどうしタワバッ!」「お前!なにし…ブハッ!」

 

カイテンレッドが倒されたことで他のメンバーが動揺している隙に何者かが一発も撃たせることなく全員を気絶させた

 

『はぁ…もうちょっと撃ちたかったんだがな。縄の準備は終わったのか?ユメ』

「はいはい、終わってるよ。大体、マスターの場合素手のほうが強いんじゃないの?」

 

一瞬で四人を制圧したユメは早速縄を使って気絶したカイテンジャーたちを縛っていた

 

『毎回それじゃ疲れるんでな。それよりお前こそなぜ銃を使わない?』

「えっと、私が撃ってもが全然当たんなくて。素手のほうが楽で強いからね」

 

それを聞いたアーカードはまるでなってないという風に首を横に振った

 

『人間の頃のクセは全部忘れろ、人間のように撃っても人間のようにしか当たらん。自分の額に3つ目の目がついているように狙え』

「ええ〜それこそどうやるのさ」

『今度教えてやる』

 

そうしてカイテンジャーをヴァルキューレへ引き渡した後

ユメたちはアビドス高校に戻ることにした

 

「う〜んこのまま帰ってもいいけどせっかくだからみんなになにか買って帰ろうかな。懸賞金、けっこうもらえたし」

『なんでもいいが早くしてくれよ?流石の私も眠い』

「もう、わかってるってば」

 

ほとんどがシャッターで埋まる商店街にも少なからず【Butler】のような店も残っており

ユメが向かったのはアビドスで唯一営業中の()()()()()である。

スイーツショップ【Sweet Seet】 この店はアビドスという辺境にありながらも他校の生徒がわざわざこの店のために訪れるほど評判のいい店であり、ユメはその店のチョコレートケーキが大好物であった。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ私はケーキ買ってくるけど、マスターはどうする?」

 

店の前まで来た私達だったがどうやらマスターは外で待ってるみたいだ

マスターがケーキ選んでる所なんて想像つかないな

 

「じゃあマスターはここで待っててね」

 

無言で首を振るアーカードに大丈夫かなと思いつつもケーキに気分が高鳴る

店のドアを開けるとロボットの店員に快く迎え入れられ早速ケーキを選ぼうとする

 

「う〜ん、そうだな〜ヘルメット団の人達もいるしじゃあここはこの特大シフォンケーキで!」

「お買い上げありがとうございます!お客様、ご一緒にチョコレートケーキはいかがですか?」

 

みんなの分のケーキを買った後

大好物のチョコレートケーキを店員から勧められる

借金の関係上たまにしか食べられないチョコレートケーキを前にそれをじっと見つめ

 

「あ~ごめんなさい!私今ダイエット中だからあんまり甘いもん食べれないんだよ〜」

 

私はそれを遠慮した

いつもなら美味しそうに見えるケーキがひどく不味そうに見えてしまった

なんでそう見えたかはあまり考えないようにした

 

「マスター帰るよ」

 

店を出てマスターと並んで歩く、マスターからはいつも血の匂いがする

それが今は少しありがたかった

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「みんな〜ただいま〜!」

 

アビドス高校に帰ってきたユメたちを迎えたのは、無数の屍とその上に立つホシノであった

違った、元ヘルメット団員とその上に立つホシノであった

 

「あっおかえりなさい先輩。そいつの武器はどんなかんじでした?」

「いやいやいや、ホシノちゃん!そんな事気にしてる場合じゃないよ!その下の子たちは大丈夫なの⁉️ていうか何があったの!」

「ああ、この人たちにちょっと格の違いを教えてあげてたんですよ。あっケーキ買ってきたんですね。部屋に戻って食べましょっか。ちょうどヨウカさんから買ってきた紅茶があるんです」

「ホシノちゃんってそんな事言う子だったかなぁ⁉️後いつの間にそんなの買ってきたの?」

 

どうやらホシノは今までふたりきりだった高校に人が増えてテンションが上っているらしい

案外こちらのほうが素なのかもしれない

 

『私は寝る、日没まで起こすなよ』

「そのまま永眠してきていいですよ」

 

相変わらず辛辣なホシノに見送られながらアーカードは自室に戻る

その際にちらりとユメを見たが何も言うことなくそのまま戻っていった

 

「さっ先輩、教室でお茶にしましょう」

「ホシノちゃん…その前に他のみんなの手当だよ」

 

結局ホシノとユメがケーキを食べれたのは十数人分の介抱をした後だった

 

 

 

 

 

 

 

「姐さん!こちらおしぼりです!」

「うん、ありがとね」

 

教室に戻ったユメは買ってきたケーキを食べる準備をしていた

起きてきた生徒たちは皆、ホシノを姐さんと呼ぶようになっていた

ユメは、自分たちがいない間に何があったかを聞いてみたが思い出そうとすると頭痛がするらしい

一体何をされたのかはもう聞かないことにした

 

「それにしてもこんな大きなケーキよく買えましたね。へそくりでもあったんですか?」

 

ホシノたちの前にはその場の全員で分けても余りそうなほど巨大なケーキがあった

 

「えへへ、実はアーカードさんに手伝ってもらって指名手配犯を捕まえたんだ、それで懸賞金が結構もらえてね。そのお金で買ったの」

「ふーん…まっ良いでしょう以前ならそのお金を借金返済に充てろと言うところですが、今はもうかなり余裕があるので許してあげますよ」

 

そう言いながらもケーキを見る目はキラキラと輝いている

歳の割には大人びているホシノもやはり学生だということか

 

「じゃあみんな手を合わせていただきまーす!」

「「「「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」」」」

 

そうしてみんなが幸せそうな顔をしてケーキを食べるのをユメはニコニコしながら眺めていた

それに気づいたホシノが切り分けたケーキを渡そうとする

しかしユメはそれを断った

 

「先輩、食べないんですか?」

「うん、今はあんまり食欲なくて」

 

ユメの様子に少し疑問に思ったホシノだったが

そういう日もあるかと気にせずケーキに戻る

口いっぱいにケーキを頬張るホシノを微笑ましく見守るユメだったが

突然立ち上がると教室の扉に手をかけた

 

「ホシノちゃん、私ちょっと用事が出来たから行ってくるね。そのケーキはみんなで全部食べちゃっていいから」

 

そう言って出ていってしまうユメをホシノは心配するが、その思考は残ったケーキの争奪戦へと移ってしまい深く考えられることはなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室から抜け出したユメは校舎裏で壁に手をつけていた

その周りには大量の栄養ゼリーやカロリーバーの()()()()が散乱していた

 

「はぁ…はぁ…ウッ」

 

胃の中身が地面に吐き出される

 

「はぁ…これももう食べれないか…」

 

手に持っていたカロリーバーを投げ捨てる

 

「あと食べれるのはこれだけか…」

 

新たに手に取ったのはほとんど味がないタイプの栄養ゼリーだった

それを開けて目をつぶり一気に飲み干す、すぐに吐き気がするが口を抑えて無理やり飲みこむ

 

「…ング…ング…ゴクン。ッ!ゲホッゲホッゲホッ……はぁ」

 

なんとか吐かずに済んだがユメの気分は最悪だった

故にユメは、近づいてくる人影に話しかけられるまで気づかなかった

 

『辛そうだな、ユメ』

「ッ⁉️…マスターかびっくりさせないでよ」

『その顔を見るに本当に余裕がないようだな』

 

アーカードを見る顔は化粧で隠してはいるが大きな隈があり、頬も少しこけていた

その姿は他人の前で見せる姿とは別人かと思うほど衰弱しきっていた

 

「…なにか用?今はあんまり構えないんだけど」

『苦しそうにえずく眷属の声が聞こえてきたんでな。心配で様子を見に来たというわけだ』

 

そう話す顔はどことなく人を心配するというよりも怒った表情であった

それを見てもユメはアーカードを無視して周りのゴミを拾い始めた

かがんだユメの前に輸血パックが投げられる

 

『そいつを飲め。いい加減自分(吸血鬼)を受け入れろ。生きていればなんとかなるんじゃないのか?血を飲まなければお前いつか死ぬぞ』

 

ユメは輸血パックを前にしてそれに手を伸ばすが手が触れる寸前で止まる

長い間逡巡した後、苦しそうな顔をして手を引いた

 

『…拒んだな。()を拒んだな、ユメ。そうまでして朝を望むか。それならば私に助けなど求めなければよかったじゃないか しかしお前は夜を選んだ いくらお前があの日の光を渇望しようとも もはやお前の体を蝕む光でしかない いいか言っておくぞユメ 一度朝日に背を向け夜を歩き始めた者に日の光は二度と振り向きはしない!』

 

アーカード(化物)は怒っていた化物となったのならば化物らしくあれと怒っていた

それでもユメは血を飲まなかった

 

「…わかってるよ、もう私は戻れないってことは。けどせめてあの子の、ホシノちゃんのまえではいつもの先輩でありたいんだよ。だから少なくとも私が卒業するまでは血を飲むつもりはないよ」

『…半端者め』

 

アーカードは輸血パックを取り上げるように拾い上げ、踵を返した

 

『ならお前はこの学校を去るまで一滴たりとも血は飲ません。どんなに苦しくともそれがお前の選んだ道だ』

 

そう言ってそのまま立ち去るが、数歩進んだところで立ち止まった

 

『…この学校の木材を使って棺桶を作れ、それで寝れば幾分かマシにはなるだろう』

 

思わぬアドバイスに少し微笑むユメ

 

「ふふ…ありがとうマスター。やっぱり優しいね」

 

ユメの言葉に反応せず、アーカードは今度こそ止まらずにそのまま行ってしまった

 

 

この日の夜

教室の床板を剥いで作った棺桶の中でユメは普段より心地よさそうに眠りについた

 




天啓を授かりました。ウォルター(クソガキ)がティーパーティーの給仕をしている作品を書きなさいと
実際面白そうなのでいつか書きたいと思います

アーカード:眷属が自ら苦しんでるのを見てお説教した。外の世界では眷属(セラス)に棺桶を用意していた
梔子ユメ:夕方どころか真っ昼間を歩き続ける吸血鬼。腹は空くが久々に快眠できた

小鳥遊ホシノ:姐さん。なぜこうなったかはわからないユメパイがまだいるからねしょうがないね

元ヘルメット団の皆様:本日の被害者。ヒヅカももれなくのされた。ケーキは美味しかった
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