間桐の親戚さん   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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そうだ、写真を撮ろう

 手に持つ紙切れ一枚を頼りにして冷たい夜の街を進む。

どこぞから嗅ぎつけたのかこの街に巣くう妖怪は自身の元へとメッセージを届けた。

 

『マキリに連なるのであればマスターとして馳せ参じろ』と

 

そんなメッセージを受け取ったは良いが、正直に言えば彼女に取ってマキリなんて何代か前の当主が子をなした存在であって己にはどうでも良い存在なのである。

どうでも良いなんて事はないが彼女にとってはそういう存在なのだ。

 なのに何故こうも唯々諾々と従ったのかと言えば。

単純にして明快に。

 

「わくわくするね。英雄に会えるなんて、写真取ってくれるかな。ツーショットが良いね、そうしよう」

 

英雄って響きがかっこいいよねと。

こうして彼女、アナ・クレメットは間桐邸へと到着した。

 

 

 

 

 

 

 家の記録にある姿とは随分と様変わりをした老翁へとアナは視線を巡らせる。

 

「貴方が参戦すれば良かったでしょうに」

「儂の本命は次々回の聖杯戦争じゃ。故に今回は貴様に遊ばせてやるのよ」

「こちらも研究で忙しいの」

「しかして貴様も聖杯を望む故に足を運んだじゃろうに。案ずるな触媒は用意してある」

「好意として受け取るわ」

 

マキリ・ゾォルケン、今は間桐臓硯だったか。老人は楽しそうに笑う。

 

「その布の下は代が変わろうと輝きは衰えておらんようだな」

「うらやましい?」

「生意気を言うでないわ」

 

そちらと違って衰えることを知らぬこちらの血がうらやましいからそのような事を口にしている癖にと、アナは思いながらも英霊召喚を行うための触媒を受け取る。

 

「円卓の欠片・・・。本命じゃないくせに随分な物を用意したのね」

「本来なら不肖の息子めが使うと意気込んでおったが、奴には終ぞ令呪は宿らなんだ。所詮は魔道から逃げた落伍者よ」

「そ、興味ないわ。ただ触媒の代金は振り込んでおくわ」

「可愛い妹の裔じゃ、貰っておくが良い」

「言葉に何の気持ちも込めてない癖に」

 

表面上は親しげな遣り取りが終りアナが間桐邸より去って行く。

 

「カカカ・・・。雁夜よ、貴様の望んでおった令呪が去って行くぞ」

「黙れ・・・。例え令呪がなくとも俺は・・・俺のやり方で桜ちゃんを救ってみせるッ!」

「そうか、励むが良いぞ。この一年を無駄にせなんだ為にもな」

「そうさせてもらうさ」

 

廃人寸前いやもう壊れている男、間桐雁夜はアナを追っていった。

 

 

 

 

 

 

 根源に至るために行われるという名目で聖杯戦争は開催されるアナは家に記されている記録より知ってはいる。

だが、彼女自身に根源への興味は無い。

彼女の興味はただ一つ、今は己の両目に収まっている魔眼。

それを始めに持っていたとされる存在に会いたい。

ただそれだけなのだ。

 

「まぁ、そういう訳だから私には聖杯への興味ないんだよね」

「だったら・・・」

「皆まで言わなくて良いさ、あの方には聖杯なんてズルであうなんて合わせる眼がない。私が勝ち残ったらあげるよ聖杯」

「本当だなッ!」

「うぉ、すっごい必死」

 

若干引きながらもアナは興奮している雁夜を宥める。

 

「まぁでも、ただじゃ駄目だよね」

「俺がくれてやれるものならなんでもやるさ!」

「じゃあさ、カメラマンよろしく」

「は?」

 

アナはそう言い雁夜にカメラを渡すと先ほど召喚したバーサーカーを実体化させるとその横でポーズをとる。

 

「何してんのさ。バーサーカー出しとくの割ときついの。貴方記者なんでしょ?ほら、聖杯欲しいんでしょ?」

「ああ、やってやるさ。このくらい」

 

パシャリと落ちたシャッター音こそがアナの聖杯戦争開始の合図であった。




アナちゃんは魔眼を魔術的処置を施した包帯で覆って封印してます。なので視界なんて基本見えてません。空気の流れで周囲を見てます。
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