間桐の親戚さん   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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動向

 暗い部屋の中で指を曲がらない方向に曲げられた間桐鶴野の悲鳴が響く。

 

「もう一度聞く。アナ・クレメットは何処に居る」

「し、知らない。本当に俺は知らないんだ・・・」

「なら誰が知っている」

 

まだ無事な指を切嗣が掴んだ事で、鶴野はヒュッと息を漏らす。

 

「雁夜だ!!アイツなら知ってる!!」

「そいつは?」

「知らない!!俺はこれ以上なにも――。がぁぁあああ!!」

 

またもやの知らないと言う回答に、切嗣は指を折るのではなく、切断する。

傷口を抑えようにも、拘束されている状態ではそのような事はできない。

そのために、鶴野は自ら関係ないから許してくれと、切嗣に助けを求める事しかできない。

 しかし、そのような様子の鶴野を見ても、切嗣は眉一つ動かさずに同じ質問を問いかける。

ただし、今回は事前に一発撃った後に。

そして次に弾が当たるのは、頭部であると告げるように、銃口を額に押しつける。

 

「最後だ」

「本当に知らないんだッ!俺はただのお飾りで、間桐の事なんて本当にッ!」

 

撃鉄が落とされる音と共に鶴野の意識はブラックアウトする。

 

「お飾りか・・・」

 

どうやら始めから殺すつもりはなかったようで、弾がもう入っていなかった銃をしまい、切嗣は間桐邸を後にした。

 

「舞弥そちらはどうだ」

 

 別行動を取り始めて既に数時間、アイリスフィール達も首尾を進めていることだろうと、切嗣は連絡を取る。

 

「舞弥、そちらはどうなった」

『ランサーですが、どうにも既に敗退しているようです』

「なに?」

『ケイネス・エルメロイの拠点にも足を運びましたが、既にもぬけのからとなっていました』

 

魔術師らしく痕跡を残さずに立ち去っていたと報告を受けた、切嗣はケイネスが拠点を移した可能性を指摘する。

それにより返ってきた答えは、ケイネス達が既にイギリスへ向けて出国した事であった。

 

「そうなると。なら、セイバーは聖剣を放てる状態か」

『いえ。それが、セイバーの左手はまだ回復していません』

 

左手は未だ癒えず。

つまり、ランサーは敗退せりとも宝具は残っている。

 

「バーサーカーか・・・。つくづく厄介な事をする女だな」

 

真名は依然判明せずとも、宝具については判明しているために、ランサーを降した犯人がバーサーカーであると、切嗣は予測をつける。

 

「間桐鶴野はアナ・クレメットの行方を知らなかったが、この街には居るはずだ」

『了解しました。こちらでも捜索を行います』

「頼んだ」

 

煙草を吹かしながら切嗣は、アナを探しに向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 ランサーが敗退し、ケイネスが帰国したことなど露知らず、ウェイバーは潜伏先としているマッケンジー夫妻の家で身を休めていた。

 

「なあライダー、お前の宝具があればさ。あのバーサーカーも楽勝なんじゃないか?」

「そうだなぁ、確かに余の王の軍勢であれば。バーサーカーの宝具があれだけならば勝てるな」

「なんだよ含んだ言い方して」

「なに、業腹であるがな。対軍宝具を奴めが持っておれば、楽勝とはいかんからな」

「勝てないってのは、言わないんだな」

「当然に決まっておろう。余は王だ。王が負けると思ってしまえば、臣下の命が無いも同然だ」

 

テレビゲーム(ウェイバーの財布で購入)をしながらも、屹然とそう言うライダーに対して、ウェイバーはこの英雄ならば大丈夫なのかもしれないと、考える。

 

「だがまぁ、バーサーカーよりも何とかしてやらねばならん奴がおるしな」

「アーチャーだろ?」

 

確かに、あれ程強力なサーヴァントならば真っ先に叩かねばいけないだろうと、考えたが故にそう言うが、ウェイバーの返答にライダーは首を横に振る。

 

「セイバーの奴よ」

「確かに、アイツも強いと思うけど。アーチャー程かあ?」

「強さ云々ではない、余が王としてせねばならんのよ」

「王として?」

 

ゲームのプレイを取りやめそう言うライダーは言葉を続ける。

 

「セイバーめは、王に成るべきではなかった。ただの小娘よ、だからな余が醒ましてやるのだ。故国の救済などという妄執からな」

「説得なんて無理だろ、あのセイバーかなり頑固そうだったぞ」

「語って駄目なら、征服するまでよ!」

「お前らしくて良いんじゃないか?」

 

聖杯戦争の方針は任せると、そう言う旨を込めてウェイバーはゲームを再開したライダーに告げた。

 

 

 

 

 

 

 ランサー陣営の元拠点を後にしたが、結局アナを見つける事ができなかった、アイリスフィール達は切嗣に連絡を入れようとする。

瞬間であった、セイバーが突然鎧を纏いアイリスフィールを押しのけると、空が煌めくと無数の宝具が降り注ぐ。

 

「ッ!アーチャー!!」

「流石にこの程度は凌ぐか。まあ、王を名乗るだけはあるか」

 

戦場に現われるならば、常と纏っていた黄金の鎧を纏わずにラフな格好で現われたアーチャーは、手を掲げ黄金の波紋を幾門も展開する。

 

「どれ余興だ、凌げよセイバー」

 

波紋より覗く宝具の照準、その全てがセイバーへと向けられているうえに、もし回避など取ってしまえば背後の二人は瞬く間に肉塊となるのは必定。

 

「セイバー!」

「今のうちに退避をッ!」

「・・・分かったわ」

 

放ち続けられる宝具を捌きながらも答えたセイバーに従い、アイリスフィールは戦場から撤退しようとしたが、舞弥の胸部から前触れなく黒鍵が生えた事で、足が止まってしまう。

 

「舞弥さん!!」

「私に構わず、早く・・・!」

 

言い終わらぬ内に、舞弥は黒鍵ごと投げ捨てられ地面を転がる。

 

「この女に構うべきでは無かったな、人形」

「言峰綺礼ッ!」

「貴様には問わねばならん事がある。着いてきて貰う」

「嫌と言えば、どうするの」

「無論、力尽くだ」

 

回答と共に、黒鍵を構え襲い掛かってくる綺礼に対応すべく、アイリスフィールも魔術を行使するが、以前森にて見られてしまっているために容易く突破され、黒鍵にて太ももを貫かれ移動を封印される。

 

「あぁッ!」

「アイリスフィールッ!」

 

アイリスフィールが悲鳴を上げた事で、セイバーはアーチャーに風王鉄槌を放ち宝具を射出を一瞬止め、アイリスフィールの元へと行こうとするが、直ぐさまに放たれた行動を阻害する宝具に四肢を貫かれ地を舐める事になる。

 

「アーチャー・・・!」

「そう睨むな。なにもあの人形を壊しはせんさ」

 

アーチャーがそう言っていると、肉を裂く事で黒鍵の戒めから解き放たれたアイリスフィールは、綺礼に対して至近距離で魔術を使用することで吹き飛ばすと、倒れている舞弥に駆け寄る。

 

「舞弥さん、これを切嗣に」

 

そう言いアイリスフィールは、頷いた舞弥に自らの内に留められていた遙か遠き理想郷(アヴァロン)を移し替える。

 

「あれは・・・」

 

光の状態であっても、それが何かを認識したセイバーは思わず声を漏らす。

 

「舞弥さんとセイバーを、これ以上傷つけないなら。私を連れて行きなさい」

 

自身の肉体の重要性を知りながらも、アイリスフィールはこの場において助ける事のできる命を助ける選択を取る。

 

「駄目です・・・!」

 

遙か遠き理想郷の効果で、傷を癒やした舞弥が制止するが、アイリスフィールは真っ直ぐに綺礼を見据え続ける。

 

「どうする綺礼、取引だそうだ」

「・・・。良いだろう、元より目的は貴様だけだ」

 

数瞬の思考の後に、綺礼はアイリスフィールに正拳突きを放ち意識を刈り取ると、担ぎ上げ去って行く。

 

「変な気は起こすなよ雑種」

 

アーチャーからの警告に、舞弥は構えた銃の引き金を引くことはできなかった。

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