間桐の親戚さん   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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王、故に

 蛇が噛みつくことによって物理的にも、アナとバーサーカーは繋がる。

 

「抵抗しないで、受け入れて」

「A・・・Aaaaaaa・・・」

 

蛇を引きちぎろうとしたバーサーカーに、まさかの令呪までをも行使すると、バーサーカーの霊基がアナが固有結界に取り込んでいたアサシンによって増強されていく。

アサシンクラスの特徴である気配遮断スキルが、バーサーカーの所有するフォー・サムワンズ・グローリー(己が栄光の為でなく)が強化される。

 

「抵抗しなくて良かったでしょ?だって、貴方強くなったんだから」

 

狂化している為に、本来の用途ではなく。ただステータスを隠匿するためにしか、使用できなかった己が栄光の為でなく。

しかし、今の霊基増強に伴う強化によって令呪の補助無しに他者へと変身することで可能となる。

それを示すかのように、バーサーカーはランサーや生前の知己の姿に変身した後に、元の姿に戻ると霊体化した。

 三騎のサーヴァントは既に脱落し、聖杯戦争は終盤へと差し掛かっている。

残るサーヴァントは、四騎その全てが強力無比な存在であり、故にアーチャーが頭一つ抜けているとは言え。

どの陣営が聖杯をその手に掴むかは、分からないと言える。

 

 再び夜が来たことで、アナは街中に繰り出す。

すると彼女の近くで蟲の羽音が響く。

 

「・・・臓硯ね」

 

何か用があるのだろうと大人しく着いていき、人気の無い公園に辿り着くと蟲が寄り集まり臓硯を象る。

 

「久しぶりと言えるほど時間は経ってないけど、体感は久しぶりね。それで何のよう?」

「カカッ、何既に聖杯戦争も終盤。どうやら聖杯が現われる霊地が定まったようでな」

 

柳洞寺、遠坂邸、冬木教会、冬木市民会館の四つからなる霊地が、聖杯降霊の地である。

どうやら臓硯は、アナがいたずらに疲労を重ねずとも良いように、既に聖杯が降りる地を調べてあるらしい。

 

「市民会館に向かうと良い」

「随分と親切なのね」

「なに、まさかお主が此処までやるとは思っておらなくてな。儂も期待を持ってしまうと言うものよ。聖杯を手にしたときはどうじゃ、雁夜を婿にやっても良いぞ」

「雁夜くん、あの人伴侶としては駄目じゃない。それに彼、もうすぐ死ぬでしょ」

「なに聖杯を使えれば、奴も人の肉を取り戻すぞ」

 

バーサーカーの思い通りに戦わせても、容易くガス欠を起こさない魔術回路を持つアナが欲しくなった臓硯であるが、当のアナ本人ににべもなく断られる。

だが桜と言う、次世代の間桐の胎盤がある余裕からか、対して落胆もせずに臓硯は不気味に喉を鳴らす。

 

「まあ、お主が乗り気で無いならそれで良いわ。おお、そうじゃ雁夜の奴めも市民会館へと向かわせておる。向かう途中で合流できるじゃろうて」

「そ、分かった。此処まで勝ってきたもの聖杯は雁夜くんが持って帰ってくると思って良いわ」

「なんだ、お主はいらんのか」

「言ったでしょうに、私は聖杯に興味は無いわ」

 

アナの回答に、臓硯はただ頷くと闇に消えて行った。

 

「市民会館か・・・」

 

確かに冬木市民会館の直上は、濃度を増してきている魔力によって歪んでいた。

 

 

 

 

 

 

 愛を知るお前には分からない、切嗣は愛を知っているからこそ、もう二度と人が争いを起こさない世界を聖杯で持って作り上げる。

例え、今持っている愛を自ら泥中に捨てたとしても、切嗣は止まらない全ては恒久的世界平和の為に。

 

「ふざけるな・・・!!奴は、衛宮切嗣は私の同類の筈だッ!!」

「同類?ふざけないで、貴方のような人が切嗣と同じ筈が無いわ」

「黙れ女ッ!」

 

己から疑問を投げかけたが、望んだ回答が得られなかった事で、子どものように癇癪を起こした綺礼は、アイリスフィールの首に手を掛けあろう事か首の骨を折ってしまう。

 

「・・・やってしまったな」

 

まだ息をしているがこのままでは死ぬのは時間の問題である。

故に本来なら、此処に来るであろう切嗣自身に殺させるつもりであったが、その計画がご破算になったことで、綺礼はため息をつく。

 

「綺礼、我はセイバーめと遊ぶ前に、準備運動をしてくる」

「準備運動だと?」

 

アイリスフィールから手を離した綺礼はジャージ姿のままに、出掛けていくアーチャーを見る。

 

「なに、狂犬を躾てくるまでよ。飼い主は貴様に回してやらんこともないが」

「変な気は回すな。私は、衛宮切嗣を殺す。それだけに全力を注ぐ」

「クク、そうか。まあ、頑張ると良い。王の激励だ、受け取っておけ」

 

 いつにも増して顔色の悪い雁夜と合流し、市民会館へと向かうアナ達。

 

「一つ頼みがある・・・」

 

挨拶も無く、此処に至るまで無言であった雁夜が口を開く。

 

「頼み?」

「ああ。なあ、俺達此処まで上手くやって来たじゃないか。だから、俺を愛してくれ・・・」

「・・・?・・・・・・は?どうしたの雁夜くん、臓硯に吹き込まれたの?」

 

上手くやったとは言っているが雁夜のやったことはただ写真を撮っていただけであり、戦闘面で役に立った事なぞ一度も無し。

 

「愛してくれ、それで桜ちゃんの――」

 

唖然とするアナに我関せずに雁夜が言葉を続けようとするが、圧が発された事で止まる。

 

「喜べ雑種、王たるこの我直々に出迎えてやるのだからな」

「アーチャー・・・。悪いけど雁夜くん、話は後だ。と言うよりも、私は愛なんて分からないわ」

 

バーサーカーを実体化させ応戦の準備を終らせたアナを一瞥した後に、アーチャーは雁夜に視線を向ける。

 

「雁夜と言ったか、貴様は良い物を見せてくれた。故に聖杯が現われる瞬間でも見てくるが良い」

 

アーチャーの意図が読めずに硬直している雁夜を、アナが行くように促す。

 

「行ってきなさい」

「・・・ああ」

 

それによって市民会館へと雁夜が向かって行った事で、アーチャーは黄金の波紋を展開する。

 

「さて、あの時は時臣めに止められたが。今宵はそうさなぁ、ノンストップと言う奴だ」

「Archeeeerrrrrrr!!」

 

 

宝具が射出されると同時に、影より飛び出した双槍を掴んだバーサーカーが宝具を弾きながらアーチャーへと迫る。

 

「どれ倍だ!!」

 

空間が徐々に黄金へと染まって行くが、影もまた広がっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 舞弥が遙か遠き理想郷を切嗣に渡しそのまま彼が使用していることには、マスターの生存が第一として何も口に出さなかったセイバー。

そんな彼女は今、アイリスフィールの行方を捜す為にバイクに乗り冬木中を走り回って居た。

アイリスフィールの肉体が聖杯降霊の為に必須となる、小聖杯と伝えられ。

その聖杯を降霊させる為の土地は四つあるとしてセイバーは、その内の一つである柳洞寺に向かったが。

まあ、綺礼が居るのは冬木市民会館であるのでスカを掴んだ。

 

『セイバー、冬木市民会館へと向かってください。私と切嗣も、外しました』

「了解した」

 

念話による舞弥からの指示で、セイバーは法定速度を超過したスピードで道路を走らせるが、雷鳴と共にライダーが現われる。

 

「よう、セイバー」

「ライダーッ!悪いが、貴方の相手をしている時間は無いッ!」

「まあ、そう連れんことは言うな」

 

神牛の吠え声と共に大地に稲妻が迸る。

 

「クッ!!」

 

それにより、道路が滅茶苦茶になっていくことでセイバーはスピードを落とさざるを得なくなる。

 

「なあセイバー!!貴様、苦しいだろう!!なら故国救済など諦めてしまえ!!」

「ふざけた事を!!」

「何もふざけとらんわ、余は貴様のわがままで。騎士王を信じ着いていった者どもを裏切るなと言っている!!」

「裏切りだと!?」

 

めくれ上がったアスファルトをジャンプ台にして飛び上がった、セイバーが剣を振るうと、ライダーもそれに応じ剣を振るいセイバーを弾く。

 

「私はただ、民に幸福に成って欲しいと願っている。それの何がいけない」

「ならよセイバー、そこにお前という個人の幸せはあるか?」

「ある」

 

即座に言い返したセイバーに対して、ライダーは盛大にため息をつく。

 

「とてもそうは見えんがな」

 

己を殺し国を救おうとするセイバーに、ライダーは痛々しい者を見る目を向ける。

 

「なあ、ライダー」

「なんだ坊主」

「お前、此処は絶対に譲れないんだろ」

「おうとも」

「だったら、お前らしく。セイバーを征服しろ、その後はアーチャーとバーサーカーだ」

 

何か覚悟を決めてそう言うウェイバーに、ライダーはセイバーと併走し戦いながら耳を傾ける。

 

「僕はお前と一緒に果てが見たい!!今からはマスターってだけじゃなく、貴方の臣下として着いていきたい!!」

「ハハハハハハハ!!」

「な、何かおかしいかよ!!」

「おかしくないわ。ただ嬉しくてな、良いだろう!!坊主、今よりお主は余の臣下であり友だ!!」

 

二人のその様子にセイバーは無自覚に顔を歪ませる。

 

「ありがとうライダー、我が王。・・・三画の令呪を持って勅令とする、世界を征服しろライダー!!」

「言われずともだ!!」

 

令呪三画を使用しての勅令により、ライダーに莫大な魔力が供給される。

 

「来たれ友よ!!共に果てへと駆けようぞ!!王の軍勢!!」

「固有結界ッ!」

 

砂塵が巻き起こりセイバーは、ライダーの展開する固有結界へと引きずり込まれる。

これによってライダーを撃破するまで、冬木市民会館へと進む事ができなくなってしまう。

 バイクから降りたセイバーの先には、ライダーを先頭とした英霊の軍勢が立ちはだかる。

 

「見せつけているつもりか、征服王・・・!!」

 

倒さねば聖杯は手にできない、例え最大の切り札が封じられていようとセイバーは常勝の王として聖剣を手に軍勢へと駆けていく。

 

「相手は一人!!だが、一騎当千の名高き騎士王!!相手にとって不足無しよ!!」

 

ライダーの出した合図によって軍勢はセイバーを打ち倒す為に駆けだして行った。

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