「先生と生徒を困らす外道は丸焼きじゃあああぁぁ!!」“うわぁ、この人でなしィ!!”   作:サンタが轢き逃げ

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0章 ドンク島 ⇒ キヴォトス
0-0.俺達の夢は終わらねぇ!!(終焉)


  ≁早朝一時半 "Isle of Donkk(ドンク島)"沖。≁

 

 

 某日。

 

 ドンク島近くの『オブ灯台病院』のベッドに水難事故で救助した要救助者を叩きつけた後の俺達は、せっかくなのでこれまた近場の『カモド貨物ターミナル』へと向かった。

 なんで貨物ターミナルなんかへ来たかといえば、実はターミナルのドックに俺の自慢の船と兄弟が乗るジェット機が待っているからであって……あと俗にいう仕込みってやつの成果を見せる為でもある。

 

「そっちはどうだ兄弟、上手く制御出来てるか!?」

 

『当然だぜ相棒、やっぱいつ乗っても最高だなこのボート!もう既にマッハ1は出てやがる!!』

 

「ちなみに新機能を搭載したおかげで値段は1.5倍に跳ね上がってる、試してみるか?!」

 

『1.5倍…絶対に壊せねえな……。当然だ新機能は試させてもらう、どうすりゃいいか教えてくれ!』

 

 食いついてきた兄弟に「足元近くにある見慣れないスイッチを押せ」と伝える。

 クリック音が一度だけ聞こえた次の瞬間、ボートの方の速度がさらに早くなった。

 

『信じらんねぇ!見ろよ相棒、どんどん速度が上がってってる!!』

 

「嬉しそうで何より!!けど俺のジェット機だってなぁ、アホみたいな速度出せンだよ!!!!」

 

『それ制御できんのか!?!?』

 

「駄目なら潔くだ!」

 

 

 洋上を往く船のシルエットと青空を駆ける飛行機のシルエットが、僅かなずれのあるまま重なる。

 

 そのまま俺達は接戦を―――行う前に、俺がミスをした。

 操縦ミスではない。ただ純粋に早すぎたからこそ…元より人が扱う事を想定していなかったからこそ起きた、姿勢制御面でのちょっとしたミス。

 

 だが、そのちょっとした制御ミスが命取りだった。

 

「兄弟!!」

 

『なんだ!?』

 

「俺がライト兄弟だ!(????)」

 

『はぁ??』

 

 揺れが激しくなる。同時にジェット機自体の挙動も不審なものに変わる。

 

『緊急着陸だ、急げ!!』

 

 操縦桿を気持ち若干動かして着陸姿勢を取ろうとしたが、思った以上に機首が下がったばかりに橋に直撃。

 

 直後、兄弟の船から急にデカい炎が上がった。二人揃って運が悪いってのも珍しい。

 

 

 

 兄弟の声が聞こえた。

 

 

 

『相棒…そっちはどうなってる?』

 

『―――ああクソ、エンジンルームからバカデケェ火柱が立ってやがる……』

 

『悪いな相棒、俺もお前を助けられそうにない。このあと沈んでから近場の陸地に泳いでいくつもりだけど――――――』

 

 言い切るまでもなく、あいつの言葉はズドンッという爆発音に掻き消されてしまう。

 

 意識を失う寸前。

 炎上したままどこかへ進み続けるボートの爆発で漏れたオイルにより、堂々と海洋が汚染されるなかで。

 

 

 あいつ(兄弟)らしき姿が吹っ飛んだ。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「起きろ相ぼっ―― うおぉ、ハチャメチャにかわいい面じゃねえか」

 

「……写真にでも…いや、それよりもまずは意識があるかどうかだな。コックピットから突っ込んだんだ、下手すりゃ死んでないまでも何らかのダメージを負ってる可能性がある。」

 

 女性の声が聞こえる。誰だ。

 

 

「お、気が付いたか!見てくれ相棒、今俺が手を振ってるけど指は何本に見える。つーかそもそも喋れそうか?」

 

「ああ兄弟………………ここは何処だ?あとどさくさに紛れて中指をおったてるな。」

 

「ここは上等なデカさのキャンピングカーだ、俺も気が付いたら上の段のベッドに寝っ転がってた。あぁこの姿は気にしないでくれ。どうしてかは分からんがまあ…こういうのもファッションと思えば悪かない」

 

「そうか……指は五本に見えてる、特に問題はない。怪我や火傷なんかが見当たらないが恐らくこれは、いや確実に転生だ」

 

「だな、あのサブカルオタクなサメ頭の知識もたまには役に立つ」

 

 異世界転生。

 

 日本人の仕事仲間(プレイヤー)が好き好んでいた、おススメもしてきた『異世界ファンタジーモノ』に分類されるらしいマンガ……いや、小説か。

 ともかくそいつで出てくる概念であるらしいそれは、確か自分たちが居た所とは違う別世界に飛ばされるというものだった覚えがある。

 

 色々と面倒ごとに巻き込まれたり冒険の道中で軽々しく偉業を成し遂げるのがテンプレ、つまりはよくある展開らしいが俺達にどうしろと??

 しかも正直な話をすると何故飛ばされたのかが分からない、主が俺達のアホさ加減に頭を抱えたからなのかもしれんが。

 あとそういや肉体はアジア系の子供の姿に変わっている。おお神よ、我らが探求心はクソガキのオツムと同程度なのですか?!

 

 ・・・取り乱したとはいえ、以前と異なる点や違和感のある部分を必要最低限並べるならこのくらいか。

 

 

 

 

 

 

 

 ひとまず身の周りの確認だけ済ませたので車の扉を開けると、外は独特な臭いがする閉鎖空間だった。

 

「……ガレージか?」

 

「らしいぞ。一応外に出てどこなのか確認しようと思ったが、相棒が起きる前に出歩くのは色んな意味で危険だろうからやめといた」

 

「まったく…暗くて周りが見えずらい、おまけに最低限の光を取り込める窓すらないとかどういう了見だ!」

 

 出口はどこだと手探りで探せば何か不思議な物に手が触れる。

 金属の冷たさと、蛇腹構造に似た形と手触りから察するに――

 

「あった。シャッター、随分と錆びてるな」

 

「開くのかこれ?」

 

「開けるんだよ!外に出ないことには俺達は何もできやしないだろ、やってみろ」

 

ガララッ!!

 

「・・・おぉ、すげえや。」

 

「古いがやけに迫力のある一軒家だ、拠点として機能する条件も十分に満たしてるだろう。」

 

 

 ガレージのシャッターを開けてまず目に飛び込んできたのはアンティークな家。

 この家はなかなか見栄えが良かった。これでもかと建物の壁を這っているツタが一切気にならない程、とても美しい装飾が施された外壁をしている。

 噴水もあった。まあ小さいやつだけどな。でも景観としては悪くない、ここの前の住人は芸術好きだったんだろうか。

 しっかし惜しいのはこのガレージ、非常に長い間放置されていた以外に考えられない状態で佇んでるこいつは…あまり綺麗とは言い難い。

 

 けどまぁいいさ、どうせ一回買った土地を全部軍隊に盗られてその辺にポンと置いた(スポーンさせた)ベッドパーツで何年も過ごしたこともあったんだ。あの時と比べれば贅沢ってもんだろ。

 

「玄関あったぞ、鍵も開いてるみたいだがマジでここ拠点に使おうって考えちゃいないよな。」

 

「・・・・・・・・どうやら売地らしい。ベッドだけで我慢するかそれともそのへんの鉄くずなりなんなり集めて工夫するか、どっちがいい?」

 

「そりゃ工夫した方がいいだろ、野郎二匹ならともかく今は少女が二人だぜ?」

 

「紳士協定を結ぼう。お互い全力で使えるもん探し回るぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫くして。

 パーツと工具が集まり、簡易水生成器に貯水タンクやボロい野外バスルームもどきが出来た頃には、すっかり日は落ちていた。

 しかしそれでもまだ俺達はシャワーひとつ浴びちゃいない。というのも、ふと気になってガレージ内と車の中を荒らしたら、ある物を見つけたんだ。

 

「こっちは身元証明、いや…学生証かIDだろうな。俺の写真が貼ってある」

 

「カバンもあったぞ、それより学校がどこか分かったか?」

 

「いやこれ……あああれだよ、要するに俺ら不良だぜ!?学校名がねぇんだよ!!」

 

「マジか、今後が期待できる超大物とかすげえな」

 

「言ってる場合か!?」

 

「悪いがな兄弟。俺はもう眠いんだ、また明日な」

 

「あっおい、工夫した意味は何だったんだよ!おい、寝んなってまだ……おいこら、オイ、起きろってんだこのッ…………。」

 

 "そういや晩飯を食ってなかったな"なんて思いながら、とっとと目を閉じる。

 

 

 

 感覚にしてわずか数分後。どこからともなく即席シャワーの水の音が、しっとりとした発音の放送禁止用語(Fワードの数々)と混ざりながら聞こえてきた。

 真面目な奴だアイツは。

 

 ちっとばかし気になって目を開けてから自分の掌を観察し、新しい姿の弱さを確認。向こうでやってきた無茶は―種類によっては可能だろうが一応―できないなと実感する。

 

「色々必要なものや準備がある、でも同時並行で武器の準備もしねぇとならねえ」

 

「はぁ~…全部最初っからか。」

 

 

 

 呟いた直後、噴水近くの机に寝っ転がったままの俺は。

 

 すっと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

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