「先生と生徒を困らす外道は丸焼きじゃあああぁぁ!!」“うわぁ、この人でなしィ!!” 作:サンタが轢き逃げ
俺達が此処に転生してきて二日目の天気は大雨、湿気のせいかグルーガンで接着剤を垂らしたような気持ち悪さが髪に現れる。
こんな土砂降りだと何もできない……というよりも今の身体の小ささを鑑みるに、野外活動の雨天決行は風邪や体調不良等のリスクがデカい。
ぶっ倒れちまったら意味がない以上、なんとしても避けなければ。
しばらく活動可能期間が若干制限されちまうのは悲しいが…だからって暇というわけでもないんだな、これが。
具体的にはガレージや当分の目標のひとつであるアンティークハウスを行き来して使える物を探し、いくつか目標を立ててから道路も探さないといけない。といった具合に、たとえ状況がどうあれ、諸々が安定するまでの間は忙しくなる。
「とりあえず学校に行ってないあっぱらぱーって点を除けば好待遇だな、兄弟」
「そうだな相棒。金は日本円と酷似、見つかった財布がおれたちの物だと仮定し双方の資金を合わせて一万五千、更にガレージ内の棚にキャンピングカーの鍵だったりも当然置いてあった。ここまでいいか?」
「オーケー。あとこの売地は大安売りされていて、看板に書かれてた売り文句の通りなら、今の俺達でも買える一万と二千五百で現時点での目標の範囲内に入る。覚えといてくれよ、どっかで計算ずれてたら不味いからな・・・・」
「奇遇だな!俺もレジ打ちミスってガムを高級フレンチに変えちまったことがあるんだ!!」
一気に不安が増したが諦めよう。
「これからしばらくは雨天時の作業は室内と移動などの例外を除き原則中止、よって今日一日は会議と物資集めとあと――――」
一度切り上げてからキャンピングカーの方を見た。
「―――あと、こいつが動くかどうかも見なきゃならん。」
昔ホルトタウンで車中泊をした時の愛車に似て、無駄に頼もしい存在感がある。
「・・・メンテナンスか?」
「そうだ、メンテナンスだ。俺達のいつもの作業だな」
「なぁそれってつまりよ、ジェットエンジンでも積むのか?」
「できればロケットをポン付けしたいがンなモンはない、よってこの会議が終わり次第、普通のメンテを施してからどっかと繋がってる道を探すべく試運転も兼ねて動かす」
シャッターの近くにある電気のスイッチを押し、ライトをつける。
「じゃあはじめよう。会議の題材と工具を用意しろ。」
新天地での仕事の準備は、まだはじまったばかりだ。
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≁数日後 "Old Eagle Garage"ガレージ≁
はっきりいって俺達の計画は無理があったようだ。
物資は潤沢、工具はある、徒歩で業者を探し回って家も買ったってとこまでは順調だった。キャンピングカーの問題だけがまだ解決していない。
「・・・
綺麗なのは車内とガワだけで、
「やべーぞ相棒!!エンジンがイカレてるどころの騒ぎじゃない、なんでか知らねーけど中まで真っ黒だ、中が真っ黒じゃねぇぞ
「焦げ臭いならぶっこ抜けよな、多分駄目になってるだろうし。あーあモジュラーエンジンが組める環境じゃねえもんなぁこのガレージ…………」
たかが数日、されど数日。
俺達はある程度こっちの
「なんだこれ、ペンタブラックの塊か?」
「オレ、エンジン無いか探してくるよ。まぁ無いんだろうけどさ。」
「いやいい。どうせここの家はもう俺達のなんだし派手に水ぶっかけて洗浄しちまえ、バラしゃ別に雑に洗ったっていいさ客の車でもないんだから!」
兄弟が自慢のバカ力でエンジンを庭に運んでいく姿を尻目にタイヤを外す…はず……は……。
「外れねーんだけど?」
ホイールをよく見れば、なんと全体がさび付いているじゃないか。
「マジかよおおおぉもおおおおおおおおぉぉ!!」
最悪だ、こんなんじゃまともにレンチが回らない。
回らないだけならまだいい、酷いとだいたい何かしら駄目になる。
なので俺はこうする。ミレニアム印の
コイツは主にホイールの錆に親と愛すべき妻と子供と全ホイールを殺された世界中の車乗りにおススメしたい超兵器である。
ちなみに余談だが、俺達が地元で活動していた頃は作業前に全力で修理や錆取りを行っていた。それはもう全力でだ。
一刻も早く現場に駆け付けないと原子炉は燃え盛り、要救助者はクラーケンかサメか猛獣に食われるかダメ押しの如く轢き逃げされ、業者は「配達されんし荷物はもうええわ」などとぬかすブラックな環境下で、まさかまさかの整備作業も爆速でこなさなきゃいけないあの地獄には二度と戻るものか。
もう二度と戻らない、そう唱えながらホイールに錆取り剤をぶちまける。
「っし、だいぶ綺麗になった」
「黒いの全然取れな~い!!!!」
「うるせーぞ兄弟!後で手伝ってやるからまだ洗ってろ!!」
再びレンチを持つ。
「よしよし…いいぞぉーそのまま上手く回転してくれ~……」
一つ取って分かりやすい場所に置いてから、また回す。
車から取り外したホイールから更にタイヤを取り外してその辺に転がっていた錆びていないホイールに装着、ひとまず足回りはこれで解決した。
しかし、床から臭う燃料臭に気が付いてしまう。
延長戦が始まった。ジャッキやカースロープなんかが無いかと悩んだが「無いに決まってる」と判断し、細心の注意を払いながら車体を横倒しに。
正直とんでもないやり方だが、燃料漏れの恐れがある状況下でちんたらしている暇はない。何故なら――――――
このガレージ内には気でも狂ったのか、あちこちに大量のマッチ箱(中身ギッシリ)やライター(燃料満タン)とかが転がっているから危ないんだよね。
いつどこで何が発火するか分からない地獄の空間だからこそ許される命がけのご法度行為である。頼むからゆっくりと整備させてくれ。
「燃料タンクよし…じゃあなんの臭いだったんだよ。」
ふと、山積みになったジャンクや鉄くずで陰になっている場所に、何か悍ましい気配を感じてそちらへと目を向けると・・・・・・・・・
「嘘だろお前ェ!!!!!!!!」
とんでもないくらいに破損した、バッキバキに割れた燃料臭の凄まじいポリタンクが、床に討ち捨てられていた。
【星元ユイ】
・今回一番の苦労人その1。
・壊れたポリタンクを許すな。
・好物はコーラと巨大なバーガー。
『俺はミレニアムの一年、"Old Eagle Garage"所属の星元ユイ。乗り物や一部の装置に限って言えばキヴォトス中のどの技術者よりも得意だから、整備くらいは手伝ってやるよ』
【星元セイ】
・今回一番の苦労人その2。
・どうしてこんなに黒いのか(エンジンが)
・好きな物はシカゴピザとコーヒー。
(アコが淹れたコーヒーへの耐性◎)
『オレはミレニアムの一年で"Old Eagle Garage"所属の星元セイだ、多脚戦車ぐらいならパパッと作れるから乗り物が欲しけりゃ言ってくれ。今後ともよろしく頼むぜ先生!』