「先生と生徒を困らす外道は丸焼きじゃあああぁぁ!!」“うわぁ、この人でなしィ!!”   作:サンタが轢き逃げ

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0-2.ストームワーカー出動!(1)

 突然だが、お前らはキヴォトスにおける最高峰の何でも屋って知ってるか?

 ……あぁ分かってる。何でも屋ったって『便利屋68』みたいなのも居るから、一つに絞れ、つっても困るよな。

 

 じゃぁ聞き方を変えよう。

 

 配達輸送・救助活動・その他諸々を請け負ってる奴等の中で、キヴォトスの最高峰の何でも屋って知ってるか?

 

 

 

 

 そうだ。

 俺達相棒(兄弟)二人組だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ≁某日早朝4時 "星元家 実家"

  "Old Eagle Garage" 地対地輸送用マスドライバー≁

 

 

 

「さて兄弟、遂に出来たぜ・・・・・・・・・」

 

「ああ、ここまで長かったよな。ワークベンチと同じレベルの使い勝手のいい作業台を用意したり…………あぁまずい、俺泣けてきちまったよ・・・・・!」

 

 

 とても長い道のりだった。

 

 ガレージは一度燃えたしキャンピングカーの状態にいたってはテセウスの船ですら物足りない、数え間違てなければ同じパーツはたったのネジ一本だけだろう。

 

 この土地を購入した業者からは変ないちゃもんを付けられたんで火炎瓶連投装置を作って燃やしてやったし、なんか来たカイザーとかいう企業の連中はめんどくさかったが丁度いい鹵獲品が手に入ったからいいとしてもだからって事が起こりすぎだ。

 

 このマスドライバーだって最初の内は問題だらけだったんだ。特に試験的に動作させたときなんか、あらぬ方向へとすっ飛んでいったコンテナがどこかのタワーにぶつかって軽い騒ぎになったらしい。お陰でいろんな手続きで無駄に時間を食っちまった。

 

 だが俺は許す、何故ならば――――――

 

 

「乾杯と行こうか」

 

「・・・・いいよなコーラって。俺はコーヒーの方が好きだけど悪かない選択だと思うぞ」

 

「って言いながらお前、今日何杯飲んだ?」

 

「そんなでもないぜ、このあと一三杯目だ。」

 

「……お前もうカフェインだけで生きてけるだろ!?」

 

 正直気が狂ってるんじゃないかって思う。

 一応こっちでは俺達ゃ姉妹なんだが…万が一にでも現実にこんなコーヒージャンキーの妹が居た場合、即座にノイローゼなり発狂するなりして毎晩耳元に音量100%のスマホを置いて艦砲の音を浴びせ続ける選択をするだろう。お前も狂っちまえクソッたれ!

 朝昼晩と所かまわずコーヒー啜ってんじゃねぇってんだ。しかも寝てる最中にあいつは、兄弟はコーヒーマシンを爆音で動かしやがるんだよ信じらんねェよお前しかも午前一時半だぞバーカ!!

 

「ああもう頭痛い・・・・・・。」

 

 取り乱したがとにかく。何故許すのか、それはこれから乾杯の音頭を取るからだ。

 

 今日はめでたい日だからと市販の物より高くつくクラフトコーラを買ってきたのもあり、今の気分は絶好調。これまたトリニティの区域に足を運んで仕入れたワイングラスに並々注ぎ込んで準備は万端、あとは兄弟がしくじらないか目を光らせておくだけ。

 上手く注げたらしい兄弟(姉妹)が屈託のない笑顔を見せてくれたんで、俺も笑顔になって声高くこう宣言した。

 

「ここにマスドライバーの完成を宣言する!!」

 

「おう、マスドライバーに乾杯」

 

 熱量があまりにも違いすぎているが、しかし兄弟もこの喜びを知ってか知らずかグラスを掲げて同意を示す。

 

「ここからだ・・・ここからが本番だぞ兄弟!!」

 

 これは俺達が有名になり始める、その第一歩を踏み出した瞬間だ。

 

 


 

 

 そして月日は流れ。

 『あの噂』が煙のように目立ちだした頃に時間は飛ぶ。

 

 

  ≁午前8時 "D.Uの一角"とあるバーガーショップ

 

 

「それで・・・・・・こんな所へ呼び出して何の用だ?」

 

「そういやそうだ。確かにここのバーガーは旨いが、ただ単に飯を食いに来たって訳でもなさそうだしな。」

 

 訝しむ俺達を目の前にして、どうやらお偉いらしい●ァッキンピンクはなおも笑っている。

 

「ええ。近頃「D.Uでちょっとした騒ぎを起こしたり、救護騎士団や救急医学部と一緒に働いたりしている姉妹が居る」と……そういう噂話を耳にしたものでして、ね?」

 

 

 不知火カヤ。

 

 連邦生徒会所属にして防衛室の室長の彼女がこうしてコンタクトを取って来たのは突然で、偶然近くで仕事をこなしていたところを急に話しかけられた。

 

 最初はさっさと家に帰ってグダグダと寝たいのもあって断ろうとした、けど飯をおごってくれるというんで渋々教えられた店へ来てやったのだが、果たしてコイツのお眼鏡にいったい何がかなったのかは分からん。

 分からんが多分碌な理由じゃないだろうと踏んで、とりあえず交渉を蹴った後、すぐ店から出られるように出入り口がどこだったかを目だけ動かしてこっそりと確認した。

 

 ちなみにこうして俺達が拘束されている間にも別の依頼が舞い込んでくる。スマホを見た感じ、今一番急を要するのは連邦生徒会からの依頼だろうか。

 こいつは自分のせいで俺達の出動が遅れたと知ればどんな形で誤魔化すのか楽しみだからな、さっさと話しを終わらせなきゃならん。お前ンとこのが大戦犯だぞ連邦生徒会長!

 

 

「しかも何やら興味深い装置もたくさんお持ちになられているそうじゃないですか………ですのでひとつ、お譲りいただけないかなぁと・・・・・・・」

 

「なんでまた?」

 

「SRTが少し前に解体されたのは知っていますよね? ですがはっきり言ってあれは解体すべきではなかったのです。しかし解体されたものはしょうがない、ということでどうにか防衛力をと――――」

 

悪い、連邦生徒会から仕事入ったからまた今度にしてくれ

 

「あっちょっ、待ちなさい、お金だってちゃんと用意してあるんですよ!?」

 

 金は知らん。

 

 二人同時に席を立って扉の方へと歩いてゆき、不機嫌な奴がするみたいに思いっきり開ける。

 

「くっ…これでは……が…………」

 

 依頼のメールの内容を兄弟のモモトークに転送して、ポケットにぶち込んで無理やりテイクアウトしたチーズバーガーを取り出し貪る。

 ズボンに染み付いた廃油の臭いとケチャップとマスタードの素晴らしいハーモニーが口いっぱいに広がった。

 

「ポテトも持ってくるべきだったか」

 

「ケツのポケットにぶち込んでか? まじで言ってんのか相棒??」

 

 咀嚼する度に味蕾に訪れる味を堪能しつつメールの文章を読む。

 どうやら先生と言う護衛対象を安全に目的地まで送り届けるという仕事のようで、一応他にも人員は付ける予定だが予定は未定というくらいだし期待はするなと。

 

 要約するとそんなふうに書かれているが…つまりは人員居ないけど頑張れってんだろ。

 

「はぁ~あ。今回の依頼も酷ェな、護衛任務を二人だけでやり切れってさ」

 

「しょうがない、どこだって上層部は大概アホなんだよ。俺達、どれだけ核廃棄物をトゥクトゥクしか出せる車が無い時に運ばされたか……」

 

 確かに『核廃棄物ドラム缶トゥクトゥクチャレンジ』よりはマシと考えれば苦ではない。

 だがどうしてだろうか、若干比較対象がおかしい気もする。

 

「これ以上は止そうか。」

 

「そうだな相棒。」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 ひとまず簡易事務所として使っているキャンピングカーに戻ったので、許可をもらって停めていた店の駐車場から出ることにした。

 

「不味い、収納式ベッドが逝った!」

 

「あとで直せばいいだろうが別によ」

 

 今回の運転担当は俺。しょっちゅう変わるんでそのうち兄弟が運転することになるだろう、がしかし暫くはこのまま。

 

「そこの車止まれェ! ウボアァ!!!!

 

 たまーにこの車を狙って飛び掛かってくるアホが居るけど、そういう馬鹿な問題は轢き飛ばして解決してる。この手に限るってやつ。

 

 

 直進して、曲がって、また直進してを繰り返す道中で、同じ方向を目指して歩いている四人が。

 恐らく連邦生徒会へと向かっているお客さん連中だと踏んで、開けた窓から身を乗り出して声を掛けた。

 

「よっす。皆さんも連邦生徒会の方へ行く感じスか?」

 

「あなたは確か・・・・最近噂になっている…………」

 

「ええ、StormWorks支部『Old Eagle Garage』の星元ユイっス、こっちは妹の――」

 

「ウッス、姉共々いつも皆さんのお世話になってる星元セイッス。何卒!」

 

 挨拶に笑顔は基本だ。しかし残念なことに受けが悪い。

 

「・・・どうしましたスカ?」

 

「いえその、C&Cやエンジニア部の間で話題になってた技術狂いがこんな年下だったとは思ってなかったから、つい………。」

 

「へぇ~・・・ご愁傷様。ご愁傷様ついでに乗ってく?」

 

「なんだかすっごく車体が小さいように思えるのだけど、皆が座れるスペースあるんでしょうね?」

 

「あー…多分?」

 

 青髪の奴が「ちゃんと把握しときなさいよ」と文句を垂れて来たが面倒くさいのでクレームは受け付けない。

 

 

 扉を開けてやって中に入るように伝えると、早速トリニティの方が乗り込んでくる。

 

 

「お邪魔します」

 

「あいよ」

 

 

 全員乗ったのを確認してブレーキを解除、雑談に花を咲かせながら運転をする。するとふと後ろから煽りがやって来た。

 

 煽り運転はキヴォトスに於いても許しがたい行為である。そして売られた喧嘩は格安で買わなければならない。

 つまり、ここから先『天誅』があるぞ。

 

 

「ちょっと揺れるかもしれねぇからその辺掴まっといてくれ」

 

「わかりました」

 

 

 連中が丁寧にもその辺にしがみついたのを見届けてから改めて前方と後方を見る。

 後ろについた悪趣味な車の運転手は機械頭ゆえ、ここで「とっておき」を起動させたとて面倒にはならないだろうと予測。ギアをバックに変更して一気に距離を詰める。

 

 

 ガツンッ!!

 

 

 なかなかいい音がしたが、当然これだけでは終わらない。

 ボタンを押して兄弟に操縦を行うよう促す。当然兄弟は"新しいおもちゃ"に食いついた。

 

 

「ちょっと?」

 

「待ってろ。今カメラでキャンピングカーの屋根上の装置がちゃんと動いてるか見てんだ」

 

 キャンピングカーの屋根の上で蠢く謎の影。

 

 察しの良い()()()ならきっと予想が付いたであろうこれは他でも無い、正にロボットアームである。

 

 

「ビンゴだ!」

 

 しばらくあっちやこっちへ振り回されていたアームはしかし確実に後方車両へと振り下ろされる。憐れパッシングを乱発していたスポーツカーは、ものの見事に天井が抜けスクラップ然とした姿に。

 

 なお本来の使い方はこうではなく、専用タンクやバッテリーなんかの中身や電力を他に移したり、あとは牽引なんかに使われるものではあるが…………まぁ別にこのままレッカーすりゃ使()()()()()()()()()()()()わな。

 

 

 さてとっとと着いちまいますかと気合を入れなおそうとして、今度は誰かにポンと肩を叩かれた。振り返るとさっきの四人が詰め寄ってきている。

 

 

「・・・・・・なんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただの説教だった。

 

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