「先生と生徒を困らす外道は丸焼きじゃあああぁぁ!!」“うわぁ、この人でなしィ!!”   作:サンタが轢き逃げ

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1-1.desert is desafetic.(さばくははあぶない。)

 

 アビドス砂漠の広大な砂の海。その上を疾走するクロサイの影は、確実にアビドス高等学校へと近づいていた。

 

 

「――――なぁ相棒、もうちょっとスピード上げろって!!」

 

「馬鹿かお前!!これ以上あげたらまたウィリーすんだろうがこん畜生!!」

 

「けどここで急がないとやばいよ、電話の感じから察するに状態は最悪だ!!」

 

「うるせえ、こっちの馬鹿の事ァ気にせずそのまま電話繋いどけよシロコ!!」

 

 直線を突っ切り、カーブを忙しなく曲がる変な形の軍用トラック。

 時折現れるヘルメット団へオートモードの四連装機関銃が炎を噴くが、その間もシロコはカヨリに呼びかけることをやめようとしない。

 

「カヨリ、聞こえる!?わたしシロコっ、大丈夫?息できる!?」

 

『シ…ロコ、先輩……ど、どう、したんです……?わた、し…まだ……』

 

「だめ、喋っちゃダメ!!」

 

「落ち着けよ、下手に焦るとかえって向こうにストレスがかかる」

 

 俺がそう言って落ち着かせようとした次の瞬間、近くの岩場が爆散する。

 

「F@#k!上空から敵、不発だがおそらくミサイルだクソッ!」

 

「どうすりゃいいんだよ!?」

 

「いいから遊んでやれ、デッドボールダービーだ!!」

 

 四の五の言わずに早くやれ!とセイに怒鳴って天井のハッチを開け、機関銃のコントロールを手動に切り替え。ここに死球オンリーの玉投げ大会が始まった。

 

「・・・・つってもどうしろっての?!」

 

□□□□□(回避行動)

 

 戦闘機は四つの銃口から飛ぶ弾丸をスレスレで回避、一方の『Desert-Rhinoceros MK.1』も負けじと蛇行しながら戦闘機の機銃を回避。

 セイのやつは次の手を打たせまいとより正確に狙うが、それは相手も同じようで、曲芸飛行を取り入れ射撃方法にも工夫を凝らしはじめた。

 

「ああもうっ、早く落ちろ!!」

 

「まだ終わんねーのか!?」

 

 避けて撃っての膠着状態を維持したまま、お互いにアビドス高校の敷地へと入り込んだ。

 

「もういい、お前はシロコを中まで護衛!」

 

「でも、それだと相棒……お前が残っちまう!」

 

「俺があの程度でひよると思うな、早くいってこい。ほら、早くいけ!!」

 

 

 まだ何か言いたそうな兄弟へ銃を投げ渡し、無理やり外へ追い出す。

 

 

「薬も運べよ、お前が今日のMVPだ」

 

「いろいろ言いたいがしょうがない。いいか相棒、絶対生きて帰ってこい」

 

「あぁわかってる、生きて帰ってくるさ」

 

 

「・・・・・死ぬわきゃ無ェだろあの程度で!」

 

 

 アクセルを踏み込んでハンドルをぶん回せば、上空に浮かぶ下手人と目が合う。

 

 

「さて、と・・・・・・久しぶりだな、Phantom」

 

 

□□□□□□□□□□□(これは…反応が四つ?)

 

 

 

 エンジンを吹かして相手を挑発する。

 

 

 

「ちょっくら遊ぼうぜ"vehicle(相棒)"ゥ! 」

 

 

 

 開始の合図はミサイルの着弾音だった。

 

 

 

「ファントムのデッドボールダービー・・・・プレイボール!!!!」

 

 

 


 

 

 走る。

 

 

「急いで、こっち!」

 

「急がなくったってアイツは死なないっての!……いやまあ、多分だけど!」

 

「せめてシロコが安心できる言葉をかけな?」

 

「うるさい、こっちじゃ実際に患ってる病気を隠すような馬鹿が常識かもしれないだろ、ロ●サ●トスの愉快なお友達のハゲシイ秘密みたいに!!おかげでいっつも救助作業やらなにやらと肝冷やしてんだこっちは!!」

 

 

 ただひたすらに走る。

 

 

「・・・・・なぁこの袋開けてもいい?」

 

「ちょっと、人の大事な物をかってに開けちゃだめでしょ!?」

 

「でもなんか変なんだよ、先生。ぜんそくの薬ってふつう、" ()()()()()()()() "じゃないだろ?」

 

「言い合ってないではやく!!」

 

 

 あの子の秘密を暴こうとは思ってない。ただ、どうか無事であってほしいだけ。

 

 

 けど、だからこそ。秘密のひとつを勝手に暴かれた怒りと。

 

「なんだこの薬……『救護騎士団と錬丹術研究会、ミレニアム医学部』の『共同開発医薬品:十七号』、効能は『放射能で荒れた喉の治癒』だって?」

 

「――――っ、放射能!?」

 

 

 その「秘密」の全貌が、想像を絶する暗い過去で形作られているのだと理解した直後の衝撃が、わたしの心に大きなダメージを負わせてくる。

 

 

「ねえ……放射能って、どういうこと…?」

 

「シロコは知らなくていい。便利な発電用リソースにして人間の業がたっぷり詰まったアンハッピーセット、とだけ覚えとけ」

 

「でも――」

 

「……でももクソもねェ、放射能であってたまるかってんだ。」

 

 

 セイはうつむいたまま声を零して、扉に手を伸ばした。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 ドアを開けて出迎えたのは、犬耳を頭に生やしたオレとおんなじくらいの年齢の奴だった。

 

「…………」

 

「あんたがカヨリだな。息はできるか。喋るのキツかったら頷くか首を振るだけでいい、なんか答えてくれ」

 

「……。」

 

「『息はできてる』であってるか、そうかあってるか。なら、先にこの薬だけ飲んじまおう」

 

 今動いては疲れてしまうかというほんの気づかいで、さっき開封した梱包の中からを取り出すと、死んだ目をしたカヨリがその薬瓶に手を伸ばしてきた。

 

 だが、目の前に居るコイツは手負い(傷病者)だ。

 

 それだけじゃない。これで本当に軽い症状であればまだ「あんまし動くな」と注意するだけで済んだだろうが、コイツの症状ははっきりいって意味不明。

 

「あぁいい寝てろ寝てろ……それよりもな、その隠してる首。悪いが見させてもらうからな。」

 

「……!」

 

「悪いがこれでもオレたち姉妹は勘が冴えてるんでね、観念してもらおうか」

 

 まずはこの、のど元を大火傷みたいに激しく飾るネオンパープルのフジツボもどき。たかだか放射能如きでこんな症状が出る筈ない。

 

 裂傷も、俺たちの御用達『アレ』絡みの事案――という前置きの元であれば、絶対にできないはず。

 

 というかフツーにくらったらさ、こんがりだぜ?

 

 

 …クソ *あまりにもひどいワードセンス* 野郎のやらかしは置いといて次。

 

 このフジツボもどき、脈動してやがる。

 

「いつからだ?」

 

「……わたしの、学園で…事故があってから。気が付いたら、こんな風に……。」

 

「オーケーありがとう。その時に漏れたのが、か?」

 

「プロフェッ(M r .)サーは……そう言ってた…ようなきが――――ごほッ、ゲホッケホッ!!」

 

「カヨリ?!」

 

「どうどう、無理に喋んなって。それにしてもさっきから不思議と手間取ってたけど、瓶の形がこれで飲もうに飲めないから困ってるだろ」

 

 買っといてよかったクソチビ紙コップ、あっネルパイセンは睨まないでくれ。アンタのことではないし、なにより今はそれどころじゃない。

 

「ほいよ、これでちょっとマシになったんじゃない?」

 

「ありがとう…。」

 

 話を戻して。このフジツボもどきは脈動している。

 

 これはつまり寄生生物などと近いか、あるいはそうでなくとも脈動するに足りる何らかの理由があるという確たる証拠であって……とりあえず面倒だし小難しいワードを抜きにして簡潔に済ますと、全部あんなもんで片付けていい代物じゃねーぞってとこだ。

 

 プロフェッサー、ここではカヨリの意図を汲み取って、敢えてミスター(Mr.)と呼ぼう。とにかくそのミスターとやらがいう放射能、絶対『誰もがわかるアレ』の可能性は低い。どちらかといえば『アレ』や『発電所の事故』以上にえげつないナニカという方が合ってる。

 

 では、「えげつないナニカ」に心当たりがあるのかというと、あるにはある。

 

 いつぞやのハロウィンの日、『あちら側』の世界に現れた数だけは御立派な危険存在。一般的にゾンビと呼ばれる怪物だ――けど、この線は薄いとみていいだろう。奴等の肌にゃこんな気色悪いものを見かけた覚えはない。

 

 とはいえ油断は禁物、可能性があるのであれば警戒するに越したことはない。

 

 

「となり失礼。いくつか知りたいことがあるんだけど、落ち着いてからでいいから聞いてくれないかい?」

 

「うん、わかった」

 

 

 ひとまず結論を後回しにしたオレは、カヨリのベッド近くに椅子を持ってきて座って、追加でいくらか質問を行うことに決めた。

 

 

「じゃあ、まず先にアイスブレイクをしようか。オレは星元セイ。ミレニアム学園の天才新入生とは、ずばりオレら姉妹の事だ」

 

 

 プロフェッサーだかプロセッサーだか知らんがいつか必ず後悔させてやる…と憎悪を抱きながらであろうとも、できる限り笑顔で語りかけるのがストームワーカーだ。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「まず先にアイスブレイクをしようか。オレは星元セイ。ミレニアム学園の天才新入生とは、ずばりオレら星元姉妹の事だ」

 

 

 

汚染に侵された目だと輪郭をとらえるのが限界だった。

それはそうと、初対面という重要な場面で生まれて初めて『変人が来た』と思った。

 

 

「プロフェッサー、いや、ニュアンス的にはミスターが合ってる。んで放射能がどーのこーのって話は…こんな症状普通じゃでないよな?」

 

 

独り言の所々に知的な雰囲気を感じたから、おそらくお調子者ではない……とはいえ、なんというか面倒臭い人が来たなぁと心配になる。

 

 

「私は砂狼カヨリ、あなたとおなじ一年生。下の名前で呼んでね」

 

「いい名前だ、今後ともよろしく」

 

「よろしく」

 

 

伸びてきた手も岩のような硬さのくせに柔軟。

それよりも、ここに来る前に機械の分解でもやっていたのか、髪についたオイルがツンと臭う。

 

 

「ちょっと離れて…。」

 

「ん…あぁ~オイルのにおいか!! 悪い悪い、こっちに来る前にちょっとだけ車をいじってたからな、まだシャワーも浴びてないんだわ!」

 

「おっきな声でいうことじゃないとおもう……」

 

「それもそうか。――っしょい、こんくらい離れときゃいいな! それじゃあ、さっき言ったようにいくつか質問をしてくから、答えれるとこだけ答えてくれ」

 

「まだにおう。」

 

「嘘つけ適正距離だろ、その可愛い面に銛をぶち込んでやろうか!!」

 

 

可笑しな人だと失礼なことを言いそうになって、思わず漏らした「ふふっ」という声。それを聞いたセイは、途端に神妙な面持ちでわたしに詰め寄ってきた。

 

 

「なんだよ、オレの顔に絶叫するチキンが十個くらいついてるか?」

 

「いや、なんでもない。ただちょっとだけ、面白くって…。ああほら、まえに居た場所だと楽しい事は悪いことだったから。」

 

「だったらいい。オレたちが長居するとかえってストレスがかかるかも…ってことで早いうちに済ませようぜ。えーっと、あっそうだった、プロフェッサーってのがどういう人物なのか聞いてもいい?」

 

 

セイは直感が鋭く口もよく回る。

わたしにとって『プロフェッサー』は、『ミスター』はとても恐ろしい恐怖の権化であるにも関わらず、気が付けば多くの秘密を彼女に打ち明けていた。

 

 

「それでね……ある日、『マダム』が私たちに向けてこういったの。「今日からプロフェッサー指導の下、特殊訓練を行います」って。そしたら――――」

 

「出るとこ出た方が良いクソみたいな実験のオンパレードだったと。はぇー、そのマダムってのは *某「自分の顔しか思い浮かばない」でもめったに聞けない言葉* じゃないか。オレなら迷わず鉛玉をプレゼントするってのに!」

 

「そんなこと、できたら、どんなによかっただろうね…。」

 

「いや違うんんだ相棒。決してお通夜ムードにしようってつもりは――ああもうわかった、ここ文化圏的にDOGEZAって通用する?!」

 

「ふふふっ! …大丈夫だよ、ただの冗談」

 

「冗談って、ハア!? 冗談にしちゃガチのへこみ方だったぞ?!」

 

 

 

『マダム』の事も。

 

 

 

「――アリウス・スクワッドか。それで何、オレたちがその連中をどうにかすりゃいいっての?」

 

「うん。スクワッドだけじゃなくって、アリウスの皆もお願い。みんながみんな、きっと今頃苦しんでいるだろうから。」

 

「シリアス気取ってんじゃねえぞ! オレと姉ちゃんはな、これでも戦争も救助活動も、なんなら不当な殺し以外の仕事は大体経験済みなんだよ例えば台風突っ込んでのカニ漁とかカニ漁とか」

 

「『シゴトはだいたい経験済み』? ねぇ、それって――――」

 

「オッなんだよ、お前()()()()()()か? 残念だったな、むしろ逆にそっち系をどうにかして『終焉』に持ってくのがオレらだ!」

 

「カウンターでお返しされた。シロコ先輩、この人ひどいです!

 

「おいバカ勘違いされるようなことをほざくな!!」

 

 

 

『アリウス』のみんなの事も。

 

 

 

だからなのか、いつの間にか「こんな時間が永遠に続きますように」と祈っていた。

 

でも、どこまでいっても虚しいものは虚しいままに過ぎ去っていく。

 

 

「いやマジか。姉ちゃんのやつ、いっつも「洗剤が出ねえじゃねえか、どうなってやがる!!」って叫んでたけど……。そうか、あのラベルはがさないと洗剤もへったくれもないのか…。」

 

「そうだね、あれ外さないとそもそも上のポンプが動かないから………あれっ?」

 

 

問答も終わり雑談に花を咲かせていた頃。近くの教室と外のグラウンドで騒ぎは起きた。

 

 

「いいって動くなって、首まわり患ってちゃ動かすのも一苦労、だろ、う、し、ってなんだあの奇抜なメットの変質者は。ここは変態どものガラパゴス……じゃなかった、ラスベガスか?」

 

「ガラパゴス…? ラスベガスって、なに…?」

 

「気にしなくていいけど、一応言っておくとラスベガスはカジノが有名。あとなんか様子のおかしい奴らもちょっとだけ。それこそあんな感じで――いや、やっぱベガスの馬鹿でもここまではしない!!

 

「大丈夫!?」

 

「大丈夫、でもあの女の子たち初見相手に銃をぶっ放してきた。うん、まぁその、キヴォトスじゃ当然なんだけどさ! まるで昔のポ●ット●●ス●ーだよ、クソッ!」

 

 

なんとかベッドから起き上がってグラウンドを見下ろすと、確かにヘルメットをかぶった人が何人か屯してる。というよりもなにか叫びながら校舎を目指して走ってきている。

 

 

「マジか、ってか姉ちゃん何やってんだ遅すぎんだろ! アイツどこまで行ったんだ?」

 

「まかせて!!」

 

「任せるって、いったい何を!?」

 

 

このまま放っておくとまずい。そう感じたわたしは急いでベッドからおりて、下に隠しておいた『Useful-T(MP5)ool』を取り出す。

 

 

「止せ止せッ、病人が無茶なんかするもんじゃない、体に障るから落ち着いてろ!!」

 

「大丈夫。たとえ風邪をひいていようとも、複雑骨折をしてようとも戦えるように訓練されてるから。君と先輩は他の皆へ敵襲だと伝えておいて、じゃあ行ってくるね!」

 

「バカかあんた、ここ何階だと思ってんだ?!」

 

「ちょっと待って! お願いカヨリ、ちょっと待ってってば!」

 

「ほらシロコもビビってるから、ちょっといったん落ち着け――ああくそ、あの間抜け本気で行きやがった!」

 

 

降りる。

 

下りていく。

 

訓練の時よりもはるかに低い高さから、ひらりひらりと落ちていく。

 

 

「目標、ただのヘルメット団が数人。ハンデ込みで考えても、うん……」

 

 

着地方法は自分に任せる。戦い方も、引き際も、自分自身に全部委ねてしまえばいい。

 

 

「――やっぱり数分もかからずに片付きそう。先輩にはわるいことしちゃったかな?」

 

 

あと少しで地面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカがよォ!! 肝が冷えるからダイナミックエントリーはやめろってんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面に着くといったところで、セイが滑り込んできた(スライディング)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで……!?」

 

「どうだっていいだろそんなの!! というかあの高さ、いくらキヴォトスの人間の頑丈さがあったとしても無事じゃ済まない。オレらもやる、先輩方もお冠だがとりあえずやる、だからもう……」

 

 

 

ああ、やっぱりこの人は――――

 

 

 

「…へんなの」

 

「寝言は寝ていえ。いやマジで寝ててくれ頼むから。これ終わったら戻れよ!?」

 

「わかったから。あとホシノ先輩、そんなに睨まないでほしいんだけど」

 

「うへぇ…………身投げした大バカさん太郎はねぇ、あとで叱んないとね~?」

 

 

 

この人たちは、なんだかとっても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とっても素敵だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






※ユイはまだ戦闘機に追いかけまわされています。


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