【TS】クラス全員ドラゴン娘にされて異世界転生したった!【共学】   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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たぶん10話以上続きます……場合によっては数十話になるかも


閑話の章 和田春奈の騎手人生
閑話の章 和田春奈の騎手人生 1


 和田春奈……彼女は日本の普通の学生であった。

 

 運動神経が抜群に良いわけでは無いが、頭が切れるタイプの女子であった。

 

 ドラゴンという肉体に生まれ変わり、そして馬と触れ合う中で彼女は日本では絶対になり得なかった軍人……そして騎手の道へと進むことになる。

 

 

 

 

 

 

【公国首都マクロ 軍人徴兵事務所】

 

「ほう、魔法を聖級まで扱え、騎乗技術もあると」

 

「はい、馬が好きで騎兵になりたいと思い志願しました!」

 

「しかも異国出身の身でこの国の軍人になりたいとは……女性という性差別や異国出身で嫌がらせをされることもあるだろうが……それを込みでも軍人になりたいと?」

 

「はい!」

 

「わかった。一応検査させてもらう」

 

 試験官に連れられて事務所の後ろにある広場に連れてこられた。

 

「聖級魔法の実演と後で馬を連れてくるからそれに乗ってもらいたい」

 

「わかりました」

 

 魔法の実演として石柱を生やしてそこに火、水、風、雷の魔法を発射して柱を破壊すると十分と言われ、続いて馬に乗せられた。

 

 出されたのはユニコーンで綱を2人がかりで引っ張られている暴れ馬であるが、私が顔を撫でてから背に乗るとユニコーンは暴れながらも私を振り落とすことはせずにひとしきり走り回ると落ち着いて、私の誘導に従ってくれるようになった。

 

「おお、暴れユニコーンを落ち着かせるとは……確かに騎兵としての才能があるみたいだ。試験は合格! 魔法が扱える騎兵は貴重だからな! 必ず枠にねじ込もう」

 

 そう言われて騎兵科の初期教育訓練を受ける事となった。

 

 今期の騎兵科で女は私だけらしく、20名の新兵教育が始まった。

 

 まずとにかく走らされる。

 

 1日フルマラソン並みに走らされ、筋トレも凄い数をこなす。

 

 そして騎兵科なので馬の世話と騎乗トレーニングが毎日の様に行われる。

 

 教官の手本の騎乗を見せられ、それに合わせて馬を操っていく。

 

 騎兵科希望の新兵で実際に騎兵になれるのは20人中10名……落ちた人達は厩務員や調教助手という順に回される。

 

 5名に残れれば騎手になる道が開くことが出来る。

 

 最初のうちは私を女として見ていた人達も激しいトレーニングでそれどころではなくなり、私が涼しい顔をして倍のトレーニングをこなすのを見て終いには化け物を見るような目で新兵の仲間達から見られるようになった。

 

 ただ騎乗は教官から人一倍怒られた。

 

「ワダ! フォームが違う! もっと腰を屈めろ! 馬の負担になるだろうが!」

 

「ワダ! 足にもっとゆとりを持て! 硬い!」

 

「ワダ! 手綱をもっと短く!」

 

 騎手としての騎乗の他に馬上で槍を振るったり、移動しながら魔法を的に当てろという軍事的なトレーニングも行われる。

 

 それらを私は抜群の成績を残し、新兵達の中で最初に合格が言い渡され、晴れて騎兵となることが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 騎兵となった和田は騎兵として先輩達に揉まれながら訓練や演習をこなし、騎手試験を受ける。

 

 騎手試験を合格すると騎手になることができ、それで厩舎から引き取り手が見つかれば公国競馬場所属の騎手としてデビューすることが出来る。

 

 そして厩舎は軍馬や民間の馬を預かり、調教師がトレーニングしてレースを走らせるという決まりである。

 

 大きいレースでなければ毎日11から12レース走っており、競走馬の数も4000頭近くを繋養していた。

 

 ちなみに騎兵の人数が1000人に対して騎手の人数は100名と滅茶苦茶エリートである。

 

 普通1年目から騎手試験を受けて受かるのは稀なのだが、和田は1発で合格となり、1年目から騎手になれる条件を満たしたのだが、竜人、異国出身、女性というので引き取りたいという厩舎が出てこず、1年目騎手デビューには失敗する。

 

 和田は腐ること無く、次は自分から複数の厩舎に売り込みをかけて調教の手伝いをしたり、厩舎の掃除を毎日の様に行い、休み無く厩舎に顔を出し続けた。

 

 その姿を見ていた先輩騎手の1人が

 

「自分の所属するヴィザ厩舎でよければ紹介するが」

 

 と言われ、和田はその話に飛びつき、調教師のヴィザ先生と話す事になった。

 

「騎手見習いの和田です!」

 

「はい、シゲ(先輩騎手)から聞いているよ……なるほど体のバランス、しなやかな腕に脚……そして筋肉がしっかり付いている……体重は」

 

「今60キロです」

 

「重いな……あと10キロ体重を落とせ。じゃないと馬の負荷が強い。騎兵だったらその体重でも良いが、騎手はスピードが求められる。50キロ……それがボーダーだ」

 

「わかりました……次の騎手試験に合格した時に体重が50キロを下回っていたら厩舎に所属させてください」

 

「ああ、約束しよう」

 

 和田は減量生活が始まり、食事制限と運動をすることで肉といいう肉を削ぎ落とした。

 

 ただ減量をしていくと肌荒れとかが酷くなりそうだが、体重をしっかり落とした事で肌荒れなども起こらず、ステータスも筋トレのお陰で維持したまま体重を落とすことに成功した。

 

 そして翌年の騎手試験で合格し、その時の体重が49キロだったので無事にヴィザ厩舎の所属騎手になることが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴィザ厩舎は20頭の馬を繁殖しており、その3倍の60頭を厩舎登録していた。

 

 20頭は厩舎で管理して調教し、残りの40頭は近くの牧場と提携して休ませたり、軍馬として活用されたりした。

 

 大きいレースを勝てる馬は休ませてあげられるが、日々トレーニングさせたほうが良かったりする馬は軍馬として軍でトレーニングさせたりするのだ。

 

 新人の和田はレースを毎日観戦してレースの流れを勉強したり、厩舎掃除や調教に跨る。

 

 和田は先輩騎手のシゲやヴィザ先生から並外れた腕力と強靭な体幹があると言われ、暴れ馬が多いユニコーンの若駒を調教でとにかく乗らされた。

 

 気性面で他の騎手が匙を投げる馬でも和田の腕力と圧倒的強者の雰囲気にユニコーン達はたちまち大人しくなり、どちらが上かの教育を刷り込む事に長けるという武器を和田は手に入れた。

 

 和田が騎手になって半年後の秋頃にヴィザ先生から和田はレースの感覚を掴んでこいと言われて初騎乗に挑戦する。

 

 騎乗するユニコーンは普段調教しているが、スピードがイマイチでキレる脚も無く、馬鹿という評価だった。

 

 ヴィザ先生も勝ち負けできれば御の字で勝てる馬だとは思ってなかったので気楽に乗れと言われて、和田はユニコーンに跨る。

 

 ちなみにレース場の馬場は荒地でも走れるようにということでダートコースが王国の各レース場で主流であり、シホン公国のマクロ競馬場でもダートコースが採用されていた。

 

 レースの距離は1200メートルから3600メートルまであり、騎手は賞金の5%が取り分とされていた。

 

 ちなみに5着までは賞金が出る仕組みでクラスは未勝利、1勝、2勝、3勝、オープンという順に賞金が高くなり、各1着賞金は未勝利から2万G、5万G、8万G、12万G、オープンからは各レースによりけりでオープンレースも15万GレースのG4(グレード4)25万GレースのG3、50万GレースのG2、100万GレースのG1が公国のレース形態らしい。

 

 王都のレース場で行われるレースだとその2倍から5倍の金額が動くらしく、あくまで日本で言う地方競馬の1番デカいのが公国の競馬であるらしい。

 

 あと5着以内を掲示板内と呼び、掲示板外を着外と言うが、出走手当というのを騎手は受け取ることが出来る。

 

 オープン以下は1レース50G、オープン以上だと250G、G1レースだと1000Gの出走手当が付く。

 

 つまりG1レースに出られれば未勝利戦1戦の1着賞金に匹敵する金を貰える事になる。

 

 和田が出たのは未勝利戦で10頭立てのレースであった。

 

 和田は手綱を短く握り、胸が馬に付くくらいの前傾姿勢で乗り、体重を前にかけての騎乗をした。

 

 和田は日本で見た騎手の真似とバーガータウンの乗馬時代にこの方が馬が気持ちよく走るというのを知っていた為にそれからフォームを整えていき、日本ではモンキースタイルと呼ばれる騎乗フォームにたどり着いた。

 

 レースではロープの前に並ばされ、ロープが下りればスタートという原始的なスタートである。

 

 ゼッケンの番号順に並び、スターターが旗を降ろすと同時にロープが下がりスタートである。

 

 まず和田はスタートと同時に手綱を押して比較的良いスタートを決めると手綱をグイグイ押して前めに付ける。

 

 頭があれなユニコーンなのでスイッチが入ったのかどんどん前に行き、一番先頭で逃げの体勢に入り、和田は馬のペースをコントロールしながら楽に逃げさせる。

 

 残り600メートルのコーナー終盤からスパートをかけて鞭でバシバシ風車の様に叩くとユニコーンは痛みで必死に走っていく。

 

 残り200メートル地点で後続とは5馬身以上離れており、鞭を使うのは辞めてグイグイと手綱を押していくと最終的には2馬身差を付けて勝利を収めた。

 

 ちなみにゴール板には写真を撮る機械が置いてあり、しっかり着順を計測することが出来るらしい。

 

 和田は勝ち負けできれば良いと思われていたユニコーンで勝ちをもぎ取ることができたのだった。

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