【TS】クラス全員ドラゴン娘にされて異世界転生したった!【共学】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
翌日、マクロの冒険者ギルドからマーズさんの案内で曰く付きの屋敷に到着した。
「ここです」
商人街の少し外れ……町の中心街からそう遠くない場所に黒っぽい色の屋敷がドンと存在した。
屋敷の芝は綺麗に切られており、手入れが行き届いていることが分かる。
「壁を触っても?」
「外側はどんなに触っても大丈夫です」
触ってみるとザラッとしている。
木の表面を炭化させる炭化加工が施されていて、外観は黒っぽい。
ただこの加工で家が持つのは長くても100年と聞いたことがあるので、数百年経過しているこの屋敷はよほど頑強な保護魔法がかけられていると言える。
保護魔法も木材なら土と水、それに火の複合魔法になり、土で強度を、水で水分量を、火で熱量をそれぞれ調整して物を長く保たせる事が出来る。
まぁ食材は保護魔法よりも水魔法で凍らせてしまったほうが効率が良いのだが……。
「では終わったらまた冒険者ギルドに向かうので」
「はい、お待ちしてます」
俺達は扉を開けて中に入るのだった。
「解除のスキル元から取っている中さん(中園さん)は良いとして、宮さん(宮永さん)は取った?」
「一応ね。熟練度低いから失敗する可能性が高いけど」
「十分十分。俺だってそうだし……敵探知は反応が2つ……多分言っていたゴーストだろうな……こっちに気づいているっぽいけどまだ様子を伺っている感じか?」
室内は外とは違い、木材をニスで塗った様な色合いで温かみがある感じ。
透視をしてみると各所にトラップが仕掛けられていることが分かる。
ぱっと見た感じ地下に制御室があり、地下への道を出す仕組みを解き明かさないといけないみたいである。
「その花瓶動かすと下からトゲが飛び出すだろ、絵画の裏からはノズルが出てるから火でも飛び出すのか?」
「どれが地下につながっているか分からないからとりあえず全部作動させてみる?」
「それしか無いよね〜」
3人で手分けして探索を始める。
俺が向かったのはダイニングとキッチンで、扉を開けた瞬間に床が抜けた。
透視で見えていたので回避し、底が抜けた床下を見ると、下には槍が何本か立てて置かれており、避けられなかったら串刺しになるようになっている。
そのままダイニングテーブルを触る。
椅子が6つ、テーブルの上には真っ白な食器が置かれており、そう言えば白い陶磁器をこの世界に来てから見てなかったなと思い、陶磁器に触るとヌメッと皮膚の表面が溶けるような感覚がした。
「うわ、毒塗られてるのかよ」
俺の防御力と毒耐性が高かったおかげで指先の薄皮が剥がれる程度であったが、他の人だったら触れた指が溶けていたかもしれない強力な毒だ。
とりあえず全部集めて水で洗い流しておく(水は落とし穴の中に流し込む)
「水で綺麗に流れたな……あぁ、銀のスプーンとフォークは皿の毒を探知するための物だったのかもしれないな」
そう呟くと俺の後ろから氷の槍が放たれる。
俺は翼を動かしてその氷を破壊し、後ろを見ると、女性のゴーストがこちらに指を向けて2射目を放とうとしていた。
「ゴーストには回復魔法が効くんだよな……エリアヒール」
〈ギャァァァ!? 〉
ゴーストは痛みからどっかに逃げてしまった。
「うーむ、出力が弱かったか? それともゴーストが強かったからか……一発昇天はさせられなかったな」
俺はそのまま椅子を動かしてみたり、テーブルを動かしてみたり、キッチンに移動して、食器棚を漁ってみたりしたが特に目ぼしい物は無さそうである。
「地下に続いている物から逆算するか……」
透視で地下から管が何本か1階に続いているので、それを見ながら管の続く物を探すと、ダイニングの奥の壁に置かれた本棚に続いていた。
本棚には料理のレシピが書かれた本が置いており、その中の1冊がジャンル違いが混ざっていた。
その本を抜くとカチっという音が響いた。
どうやら正解の様だ。
俺は玄関のある通路に戻ると中園さんが俺に
「2階の書斎に1冊だけ本が抜かれた場所があって、そこに本を入れたら何かありそう」
と言われ、先ほど抜いたジャンル違いの本を持って2階に移動する。
先程の本を入れてみると本棚が動き、書斎の奥の部屋に行けるようになった。
そこには魔法の本や錬金術の本が色々置かれている。
パラパラっと魔法の本をめくってみたが訳の分からない暗号の様な言語で書かれていた。
とりあえず本を戻して隠し部屋を探ると、黒板の裏に何かあることがわかり、黒板をずらそうとするが、固定されていて動かない。
仕方がないので力ずくで黒板を破壊し、黒板の奥にあったスイッチを押す。
ガコンと何かが動く音が響いた。
階段で下に降りている途中、なんか1階の壁に剣が突き刺さっていたが、宮永さんと合流すると、階段の裏側に地下に続く階段が表れていることが分かった。
「一応宮さんか中さんのどっちか残ってくれない? 閉じ込められる可能性もあるし」
「了解、じゃあ私が残ります」
中園さんが残る事になり、俺と宮永さんが階段を降りる。
俺達が階段を降りきると、階段がバタンと閉じて、やはり閉じ込められた。
地下は物置になっており、白骨化した死体が2体転がっている。
「あー、前任者はここで死んだのか」
「なんかレバーか幾つかあるよ」
「赤、黄、青のレバーが3つ……」
「黄、赤、赤、青、黄かな」
ガコン
「お? なんか音が響いた? 宮さんなんでわかった?」
「1階の寝室を調べたら黄ばんだ手記があってそこにレバーの模様と順番が書かれていたから」
「なるほど……ゴーストが来たっぽいな」
〈〈シャー! 〉〉
青白い幽霊達が俺達に魔法を色々使って攻撃してくるが、俺達は全然魔法が効かない。
〈そんな効かないじゃないメアリ! 〉
〈う、うるさいエレナ! ゴーストになる魔法を使って生き延びたのに倒して体を乗っ取らないと復活できないのよ! 〉
なんかゴースト同士で揉め初めているが俺は2体のゴーストを回復魔法を込めた腕で頭を掴む。
〈〈ひょい!? 〉〉
「回復魔法を使えば掴めるなぁ……さて浄化させるか」
〈ま、待って! 悪かった! 邪魔して悪かったから! 〉
〈お願い浄化しないで!! 〉
「いや、ゴーストを浄化するのも依頼だから」
〈わぁぁぁ! 〉
〈やめてぇぇえ! 〉
「なんか訳があるんじゃない? 金やん聞いてみれば?」
「じゃあこの家のトラップをすべて解除する方法を教えろ」
〈教える! 教えるから〉
〈赤レバーを3回! 青レバーを3回同時に引くとボタンが出てくるからそれを押せば解除されるはずよ! 〉
「宮さん」
「はーい」
宮永さんがレバーをガチャガチャするとボタンが出てきて、停止と書かれていた。
ボタンを押すと屋敷のすべての機能が停止したみたいである。
〈でもこれであなた達もでられないわよ! 〉
〈そ、そうよ! 再起動させて出ないと〉
俺は階段があった場所を掴むと力ずくで階段を下ろした。
〈〈ええ!? 〉〉
「2人とも大丈夫だった」
「ああ、最後にゴーストを浄化させて終わりにする」
〈教えたのでどうか許してください! この屋敷の結界で外に出られなくて! 〉
〈死なない為にゴーストになったのに浄化されたら25年閉じ込められた私達が馬鹿じゃない! 〉
「しゃーねぇなぁ……浄化が嫌なら眷属になれ。このままだと外に出た瞬間に誰かから肉体を奪いそうだし」
〈え? 眷属? 〉
俺は爪を食い込ませて指の先を切るとゴースト達の煙に向かって血を垂らして眷属化のスキルを発動させた。
〈〈ウギギギギ!? 〉〉
悲鳴を上げながら徐々に青白い煙が形を形成し、人形になっていった。
透けているし、足が無いが、デフォルメおばけから、上半身は人の形になっている。
〈か、カネダ様に逆らえない……〉
〈眷属にされた……〉
「とりあえずこの屋敷から出れるか確かめるか」
幽霊2人を連れて屋敷を出てみると、2人も外に出ることが出来た。
〈そ、外に出られた! 〉
〈25年ぶりの外だ! 〉
とりあえず幽霊2人に庭から出るなと命令し、屋敷の機能が完全に停止しているか3人で確認するのだった。