【TS】クラス全員ドラゴン娘にされて異世界転生したった!【共学】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
外の世界
周囲を見渡すとピッケルと大きな麻っぽい袋を担いだ探索者達が壁をガンガンと削っていっている。
『ブラッキー、あれが屑鉄回収をしている冒険者か?』
『ん、あぁそうだ。ピッケルを持っていればゴブリン程度なら頭をかち割る事で対処することもできる……まぁ疲労具合を見極められないと直ぐに死んじまうがな』
俺だったら土魔法で一気に採掘するが、魔法が一般的では無いのか?
でもキッチーナのチームには魔法使いが居たし……。
『なぁブラッキー、魔法を使えるのは珍しいのか?』
『珍しくは無いが魔法はここぞと言う時に使うもので、嬢ちゃんみたいにいきなり使うのはなかなかいねーですぜ』
『ブラッキーは魔法は使えるのか?』
『使えますが、どんな魔法を使えるかは冒険者にとって生命線……あんまり言いふらさないほうが良いですぜ』
ブラッキーの言い方的に魔法を使える回数とかが俺達よりもよっぽど少ないらしい。
そのためここぞと言う時に魔法を使うのだろう。
キッチーナに聞いておけばよかったな。
俺がゴブリンを蹴散らしながら先に進み1階層に続く道が見えた。
3階層の所よりも多くの人々が集まり、休憩している冒険者だったり、ピッケルや食糧を売ろうとしている商人擬きの冒険者達が布を敷いてたむろしている。
俺達は物珍しそうに見ながら更に上の階層に行くと、一番上の階層も洞窟みたいなタイプで、スライムがポヨンポヨンと跳ねていた。
ただ色が緑色ではなく水色だし、大きさが最下層のスライムの半分以下の大きさである。
『流石にスライムは知っているか……こいつは色々使えるからな。1匹でゴブリンと同じ10Gで取引される。ただ皆捕まえようとするから数が少ねえ。初心者が迷宮に慣れるためのモンスターだな』
と、ブラッキーが言う。
ご丁寧に分かれ道毎に看板があり、その順路に沿って進んでいくと、外へと続く道が現れた。
空気が澄んでいて、強い光が入り口に射し込んでいた。
『出口だ。衛兵にさっき倒していたゴブリンの魔石を10個くらい渡せば見逃してくれるだろうぜ』
ガラガラと荷車を押してブラッキー達が先に行くと、俺達も外に出る……。
すると古代遺跡みたいな場所に出た。
白い石で出来た柱が並び、入り口の前には紋様の描かれた石のプレートが足元の至る所に埋め込まれている。
『お前達見ない顔だな……竜人か? 冒険者のカードはあるか』
衛兵と思われる人物に声をかけられた。
『いえ、異国の民なのですが、魔法の実験に失敗して、転位してしまいこのダンジョンの深部に飛ばされてしまい、ようやく外に出ることができたのです』
俺は衛兵達に賄賂としてゴブリンの魔石を5つとケットシーやコボルトの魔石を混ぜて渡す。
『手持ちで渡せそうな魔石がこれなのですが……許してはもらえませんかね』
『ほう……いい心がけだ。本来なら罰金刑であるが、罰金分に足りる魔石の提出をしたとして今回は不問にしよう。ただ直ぐに冒険者ギルドで登録をしろ。次は無いぞ』
『ありがとうございます』
話の分かる衛兵達でよかった。
衛兵達もヨーロッパの兜みたいなのを被っていたので一見顔が分からなかったが、魔石を渡した瞬間に声が喜びに満ちていた。
おそらく臨時収入が得られたのでうれしかったのだろう。
『嬢ちゃん達せっかくだから冒険者ギルドまで一緒に行くか?』
ブラッキーがそう提案し、俺達も土地勘が全く無いのでお言葉に甘えて同行させてもらった。
迷宮……ダンジョンから歩くこと20分。
周囲は本当に麦や野菜の畑が広がっており、麦や野菜の若葉が生えていた。
気温的には春みたいな感じで暖かさも感じる。
太陽を見ると地球と同じ様に光輝いているし、今は正午くらいなのか、太陽がちょうど頭上にある。
他の皆も周囲の光景が田舎の光景と似ているため最初はざわついていたが、ダンジョンから出て10分もすると周囲を見渡しながら小声でおしゃべりをしている程度である。
そして歩いていると西部劇に出てくるような町が見えた。
木の柵で周囲を囲んでおり、ゲートには町の名前が書かれた看板がぶら下がっていた。
【バーガータウン】
と……。
門番とかは居らず、普通に出入りできるみたいだ。
中の建物も西部劇風なのかと思ったが、一部の建物はそうであるが、広場の中央に噴水があったり、水路が流れていたりと西部劇の様な乾燥した感じでは無く、水の豊富な町という印象を受けた。
色々看板がかけられており、パン屋、武器屋、防具屋、薬屋、小売店、マーケット(おそらくスーパーみたいな店)、家具屋、道具屋なんかが入り口から伸びる中央通りに並んでいる。
あと多いのは宿と書かれた店と酒場、売春宿なんかも多くあるように思えた。
そうこうしていると一際大きな建物に到着し、冒険者ギルドと看板が下げられていた。
『着いたぜここが冒険者ギルドだ。受付が正面、換金やオークションは横の建物……横の建物には商人達も今の時間だと結構居るから混んでいるが、受付はこの時間は空いているから、今ならこの人数で押しかけても嫌な顔はされないと思うぜ』
『ブラッキーありがとうな』
『嬢ちゃん達に幸があらんことを』
ケヒヒと言ってブラッキーは荷車から飛竜を下ろして中に運んでいった。
西部劇に出てくるようなウエスタンドアと呼ばれる扉を開くと、中はガランとしており、異世界の冒険者ギルドで冒険者達がたむろしているような感じではなかった。
正面の受付には椅子に座って作業をしているお姉さん達が3人おり、冒険者ギルドというよりは役場の様な印象を受ける。
『こんにちは』
俺が挨拶すると
『こんにちは』
と返事してくれた。
俺は冒険者になりたいと受付のお姉さんに説明すると
『ほう、竜人の旅人の方が冒険者になりたいですか……他の町では冒険者登録をしなかったのですか?』
と聞いてきたので、テンプレになってきた魔法実験云々の話しを受付のお姉さんにも話す。
『なるほど……転移事故で異国へですか……それは災難でしたね』
『前例があったりするのですか?』
『まぁ聞かない話ではないですね。王都の魔法学院では10年に1度程度の頻度で発生し、数人が行方不明になったりもするようなので……竜人の方が魔法を使うのは聞いたことがありませんが』
『おや? 竜人は魔法を使わないので?』
『遠くの国の民族なのでギルドで勤めて5年経ちますが、始めてみましたよ。おそらく町の殆どの人も竜人は初めて見ると思いますよ』
と答えてくれた。
冒険者の登録に何か必要な事があるか聞くと
『そうですね……確認していることは字が書けるかどうかとステータスの鑑定くらいですね。名前を書いてもらって登録をする必要があるので……あと冒険者になったら守ってもらう鉄の掟が存在しますのでそれを覚えて貰う必要があります』
『鉄の掟……先に聞いても?』
『お、先に聞くことを選択するのは良いですね……では言いますよ』
『ひとつ、我ら組員は地域の法と秩序を守り、犯罪行為はなるべく慎みます!』
なるべく!?
『ひとつ、組員は他人の財産を尊重し、むやみに盗みを働きません!』
むやみに!?
『ひとつ、組員は他人を尊重し、人殺しを可能な限りしません!』
可能な限り!?
『ひとつ、組員は金が無くなっても強盗を行い他人の金品を盗む事を叶うならばしません!』
叶うならば!?
『ひとつ、組員は性的興奮や酔っ払っていても同意無き性行為はできるだけしないようにしなければなりません!』
できるだけ!?
『掟を破った場合、地獄の果てでも追いかけて処罰を受けてもらうことになるので注意されたし!』
「大丈夫かこの組織……」
「金やん、逆に国家をまたいだ組織がこれを徹底できているだけで凄まじいことでござるよ……異世界物でこの規律が守られているだけでも相当治安が良い部類でござる」
「お、おう」
『よろしいですか?』
『は、はい……』
『脅すのはこれくらいで、冒険者ギルドに加入したら受けられる特典についても話しておきましょう』
お姉さん曰く、キッチーナから一部は言われたが、冒険者になれば最低限の身分保障にはなるらしく、他の町に行っても入ることができるようになるらしい。
バーガータウンみたいにダンジョンが複数個あり、人の流入が多い場所では身分確認をいちいち行ってないが、王都とか大都市の一部には関所があって身分を確認できる物か、保証人が居ないと中に入ることも許されないらしい。
そう考えるとバーガータウンが最寄りの町で俺達は助かった。
他には物の売買をすることを商業ギルドに通さなくてもすることができることや、冒険者ギルド主催のオークションへの参加権利、冒険者ギルドが提示する依頼や仕事の斡旋を受ける権利を得ること、3ヶ月に1度1800Gの税金を支払えるなら下級市民になれる権利を得れる等が説明された。
『下級市民?』
『最初は関係ないですが、下級市民になると奴隷5人まで持つことや家を借りる事ができるようになります。家を借りれるので大家と協議すれば店を開くこともできますが、店を開く場合は商業ギルドへの加盟が義務付けられています。ちなみに中級以上になると奴隷の人数が増えたり、家や土地を買う事ができるようになります。税金は2倍の3600Gになりますが中級市民でないと入れないお店とかもあるので冒険者はそこを目指すことを目標にしています』
『なるほど……そう言えば魔法とかって俺達使えるんですけど許可制とかだったりしますか?』
『魔法使えるのですか!? どれくらいの魔法を?』
『全員使えるのは土を石に変化させたり土地を広範囲耕したり、土壁の家を建てたりとかと傷を癒す魔法ですかね……指の欠損くらいだったら再生することができますが』
『あわわ、大魔法使いだったのですね! そりゃ転移の研究をするような人達だ……一応ステータスを確認したいので全員登録するなら名前をこの紙に1人1枚書いてください』
俺達はこっちの世界の言葉で自分の名前を書いていく。
渡されたペンは意外にも鉛筆だった。
鉛筆を作る技術はあるらしい。
『はい、できたぞ』
『でしたら別の部屋にステータスを表示する魔法球がありますのでそちらに移動してください』
『こちらです』
別のお姉さんが声をかけてくれた。
ゾロゾロと俺達は別の部屋に移動するとバランスボール程度の大きさの青く光る水晶みたいな球が置かれていた。
『デカいですね』
『ステータスというのを計測するのにどうしても大きくなってしまって……では手をかざしてみてください』
俺は言われた通りに手をかざすのだった。