【TS】クラス全員ドラゴン娘にされて異世界転生したった!【共学】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「悪いねカネ、奢ってもらって」
「いやいやブラッキーと少し話しをしてみたくてね」
俺とブラッキーは2人で酒場の個室で料理と酒を注文する。
俺はブドウ酒、ブラッキーはエールを注文していた。
「で、話ってなんだ?」
「奴隷についての扱い方を聞きたい」
「ほーう。奴隷を買うのか?」
「どちらかと言うと今日連れてきた2人が俺の奴隷になりたがってるんだよ。だが俺の価値観的に奴隷ってどうなんだろうと思ってしまってな」
「2人が成りたい奴隷の種類ってなんだ?」
「永久奴隷に成りたいって言っているが」
「あー、永久奴隷はそりゃよく考えた方がええですぜ」
ブラッキーはエールを飲みながら真剣な顔に変わる。
「あっしも奴隷は長く扱ってきやしたが、奴隷の扱いは難しい……あっしは軽犯罪者ばかりを雇うので極悪人はわかりやせんし、自ら永久奴隷に成りたいという人物を雇った経験が無いので上手いアドバイスが出来るかわかりやせんが、普通永久奴隷と言われる奴隷は市場に出回る事がありやせんので」
「市場に出ないのですか?」
「へい、永久奴隷は雇い主と個人のやり取りになるんでして、例えば上級国民……貴族とか富豪の使用人で代々仕えている人なんかが永久奴隷であったりしやす。金の繋がりではなくその人物、家族への忠誠心の表れが永久奴隷であったりしやすぜ。だから普通の奴隷とも立場が違うんすよ」
「なるほど……」
「当人達が成りたいと言っているなら否定する必要はございやせんが、彼女達を養え続けられる経済力だったり家業だったりが無い冒険者家業に偏っている間はあっしは断ると思いやす。危険過ぎる……安定がまるで無い職種ですからなぁ」
「冒険者だと稼げるんだけどなぁ……」
「カネならそうだろうな。まぁ俺は普通の人の意見や。特別冒険者の経済力は考慮してない。実際養えるだけの金は稼いでいるんだろ?」
「それはまぁ……」
「あー、あれだ、最初は労働奴隷で契約するという手もある。日当が発生するが、2人はカネとの繋がりが無くなるのを怖がっているんだと思うぜ。ちなみにどんな関係なんだ? 竜人なのは見れば分かるが」
「ざっくり言うと命の恩人で生活するための金や食事に冒険者に必要な武器や防具の金を出している感じだな」
「そりゃあそんな良い人に支援されているなら関係が切れるのは怖いだろうよ。あっしだってそんなに良くしてくれている人から明日から自立しろなんて言われたら恐怖するわな」
「そんなにか?」
「与えられる側ってのは与える側よりも切り捨てられないかビクつくもんでっせ。あっしも最初の頃は先輩冒険者の荷物持ちからスタートしたですが、役立たずだと思われれば捨てられるという立場故に必死でしたぜ。チームの業績悪化で独立しやしたが、今のスタイルが確立できるまでは足掻き続けやしてね……」
「……」
「まぁあっしは老後の資金作りを考えないといけない年齢になったので若者にアドバイスとしては良く悩めというのと一度決めた選択肢に責任を持つくらいですなぁ。後悔しても責任を放棄するのは駄目。奴隷にするかしないか良く悩んだ上で決めた選択は投げ出すんじゃないですぜ」
まさに金言である。
俺はブラッキーの分のエールを追加で注文してやるのだった。
「パンドラ、ハートちょっと良いか?」
「はい!」
「ただいま向かいます!」
その日の夜に俺は2人を寝室に呼んだ。
「2人が俺の奴隷になりたいって言うのは捨てられるかもしれないという恐怖からか?」
「「……」」
2人は顔を見合わせた後にハートから
「それもありますが、支えたいという気持ちが心の底から湧き上がってくるのです。眷属になった影響はあると思いますが、物語で読んだ騎士達が主に忠誠を誓う気持ちが一番近いと思います」
「元々あのままでは死んでいたのを救っていただいた命の恩人……それがカネダ様です。この家から出て自立しろと言われても嫌ですと私は答えますし、ナカ様やミヤ様を言いくるめて家政婦や召使いとして居続けますよ! 奴隷になりたいというのは他から見たらカネダ様が主であると示す為です」
「示す為?」
「はい! カネダ様の能力であればどんどん偉くなることも歴史に名を刻む事もできると思います。その中に私達という存在がカネダ様の偉業の手助けができれば幸いなのです」
「おいおい、俺はそんなに偉くなるつもりは無いぞ」
「カネダ様が偉くなるつもりが無くても周りが担ぎ上げるでしょう」
「冒険者ギルドや魔法ギルドの職員が有望な者は領主等に報告する事があると聞きます。もしかしたらもう報告済みかもしれません」
「偉くなった時に従者が居ないのは問題ですし……どうです? 今目の前に手頃な従者候補が2人も居ますよ」
「そうです! そうです!」
「口ばっかり上手くなるな……わかったわかった。明日永久奴隷の契約を結んでやるよ。ただ俺の従者となるからには強くならないと行けねーぞ。ルシア師匠から魔法を沢山覚えて、俺が扱えるドラゴンとしての技も覚えろよ」
「「はい!」」
翌日、町の奴隷商館でパンドラとハートの永久奴隷の契約を行った。
「はい、書類はこれで全てになります。永久奴隷の契約ですので最後に御主人と奴隷の方で血の刻印という儀式があります」
「血の刻印ですか?」
「はい、御主人の血液で奴隷の方の体に刻印を刻みます。場所を選ぶことができますが」
「服で見えない……あ、翼の付け根とかは可能ですか?」
「はい、可能ですよ」
翼の付け根であれば他の人にも見せようと思えば見える場所であり、普段は目立つことの無い場所だ。
パンドラとハートも納得しているので良いだろう。
職員さん曰く主人となる人物の家紋みたいな物が浮かび上がるらしい。
俺の場合でも浮かび上がるか不安だったが、針で指を刺して、血を少し抜き取り、係りの人に渡して待つこと数分。
パンドラとハートがやって来て翼の付け根を見せてくれた。
そこには六角形の中に三ツ鱗……三角形が3つ並んだ文様が描かれていた。
(前の世界の家の家紋じゃねぇか!)
魂に刻まれた模様が浮かび上がると言っていたので何か特別な形が出てくるのかと思ったが……まぁ体が違えど異世界で自分の家の家紋が出てくるとは思わなかったが……。
「カネダ様の紋様カッコイイです!」
「紙に描いて見せてもらいましたが三角形が並んで大きな三角形を作っているのが美しいです」
2人も気に入っているようで良かったが店員さんが
「お客様結構有名な家柄だったりしますか?」
と聞いてきた。
「いや、そんな事は無いはずですが……」
「貴族の家でひし形を4つ並べて大きなひし形を作ったり、五角形を並べて大きな五角形を作ったりする小大家紋というのがこの国には多いのですよ。まぁ本当に歴史が古い家とかだとドラゴンが描かれたりするんですがね」
家紋にも色々あるらしい。
とりあえずパンドラとハートの永久奴隷の契約は成立したので、奴隷商館を出て町で買い物をして帰るのだった。