【TS】クラス全員ドラゴン娘にされて異世界転生したった!【共学】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
米の方はすくすくと成長を続けており、最初は緑色だった葉っぱが徐々に色が薄くなってきていた。
おそらくそのまま脱色して白色の稲穂になっていくのだろうと思いながら地面が暑さでカラカラに乾燥しないように水を撒いていく。
水田だったら水を張って一番成長する時期だが、陸田で生育しているので水を数日に1回は撒かなければならない。
この育て方も正しいか分からないが、とりあえず今は育っているので良いだろう。
あとは赤芋の方も順調に育っていて、地面にはびっしりと葉っぱが生い茂っていた。
最後に畑の片隅に植えた謎の植物の種も芽が出てちゃんと育ってきている。
どんな作物が実るか楽しみである。
そんな夏真っ盛りの今日このごろ、俺は秋や冬用の洋服を服屋に注文しに来ていた。
夏が短いと聞いていたので今は暑いが冬用のコートだったり、冬用のブーツとかは早めに準備しておいて損は無いだろう。
それに俺達みたいな翼や尻尾があると普通のコートを着るわけにはいかないし……。
「はい、注文承りました!」
「じゃあよろしくお願いします」
俺は服屋を出て、冒険者ギルドに向かうと怒鳴り声が聞こえてきた。
昼間なので冒険者ギルドに冒険者は殆ど居ないハズなので職員が怒られていることになる。
中に入ると怒鳴り声はギルド長の部屋から聞こえてくる。
聞き耳をして聞いてみると怒られているのはマリーとその両親らしい。
どうやらマリーの兄も冒険者ギルドの職員だったらしいが冒険者ギルドの金を横領してギャンブルに使ってしまったらしい。
その額200万G……日本円換算で2億円である。
手口としては他のギルドへの現金輸送を任されていたので現金輸送をするが、その時に盗賊に襲われて現金を奪われた事にし、護衛についていた冒険者と共に現金を着服し、その金でシホン公国の首都マクロでギャンブルと豪遊しているのを不審に思った冒険者ギルド側が調査を行い、協力していた冒険者がボロを出して芋づる式に捕まったらしい。
ちなみに現金輸送の際に協力を拒んだ冒険者を殺害している事実も判明し、マリーの兄は主犯として現在マクロで絞首刑の上で晒し者にされて朽ち果てるまで放置されているらしい。
そして損失の責任は家族に取らせるとして冒険者ギルドはマリーとその両親の3人を解雇の上で犯罪奴隷として売ることが決まった事を通達し、それにどうかマリーだけはと親が懇願してギルド長がブチギレている感じだ。
事が事だけに他の職員もマリー達を庇う事が出来ないし、マリーの兄の刑が執行されているのと損失額が凄まじいため、刑期も最低40年は掛かるだろうし、両親は年がいっているので若いマリーが損失額の大半を背負い込まないといけないという話をされていた。
「ふーむ」
俺は椅子に座ってその話を聞いていてそう言えば豪炎寺が食堂経営で人員を欲しがっていたなぁという話を思い出し、俺の家もパンドラとハートも迷宮で連れて行くことになれば家を掃除してくれる人が欲しいし、収穫の時に純粋に人手がいるのでマリーも知らない子じゃないし助けてやるかぁと俺は動くのだった。
とりあえず2階に移動してベアトリーチェさんと話してみる。
「ベアトリーチェさん、今ギルド長の怒鳴り声聞こえていたけどマリーちゃん解雇なのか?」
「あぁ、聞こえてましたか……マリーはギルドの規約で解雇及び被害額の賠償で犯罪奴隷になるのは確定しています」
「どれくらいの刑期になるの?」
「そうですね……両親が今年50なので両方20年働けたとしてマリーもほぼ一生刑期で人生を終える事になるでしょう」
ベアトリーチェさん曰くマリーは冒険者ギルドでも人気があったので娼婦行きは確実で、高級娼婦になれれば娼婦として需要がある期間で借金の返済も可能だが、病気になったり高級娼婦になれずに娼婦としての期限が切れた場合悲惨な末路になる可能性が高いらしい。
こういう時に愛人になるとかの選択肢が出てこないのは犯罪者の一族を愛人にすることで他の上級市民からの評判が悪くなるそうなのでよほど可愛かったり美しかったりしない限り愛人にはなれないらしいし、しかもそういう場合でも犯罪奴隷では無く普通の借金の労働奴隷を愛人にするらしいのでマリーは無理だと話される。
「マリーの兄貴は極悪人かもしれませんが、マリーの両親とマリーちゃんは悪くないと思うので……もし俺が損失分を補填した場合どうなりますか?」
「200万Gですよ!」
「大金ですが迷宮2回潜れば俺ならチャラにできますから」
「冒険者ギルドとしては補填されても国の法律で刑期が決められるのと、冒険者ギルドとしてもマリーの兄の様な事を起こされると信用に直結しますので補填されたとしても奴隷落ちを防ぐのは無理です。ただマリー達が奴隷の競りに出された時に買い取る事になれば話は変わってきます」
ベアトリーチェさん曰く今マリー達は被害を受けた冒険者ギルドの奴隷という立場になり、解雇と同時に冒険者ギルドは奴隷商人に彼女達を貸し出すという形になるらしい。
奴隷商人は競りで彼女達を借りる(労働させる)権利を他の人に売り、買った人は権利を持っている人(今回は冒険者ギルド)に決まった金額を支払うことになる。
奴隷本人は決まった金額もしくは刑期完了まで働く事で借りている人に利益を渡す仕組みになっている。
ちなみに今回の損失額だと1人40年の刑期らしいが両親は年齢を考慮されて20年免除、その代わりにマリーが両親の半分の10年を背負うことになり60年の刑期になるらしい。
まぁ今回マリーの兄は殺人もしていて相当悪質判定をされたので家族の負担も凄いことになっているが、もし金が残っていたり、殺人をしていなかった場合は兄が罰を背負い込んで、マリー達は5年程度の刑期で済んだらしい。
全部マリーの兄貴が悪い。
ベアトリーチェさんもマリーは良い子なので助かって欲しいという気持ちがあるのと、損失は早期に補填したいらしいので俺にマリー達が売られる奴隷商館の場所と日時を教えてもらった。
俺は一度家に帰り、宮永さんと中園さんにマリーとその家族を購入しようと思うことを話すのだった。
「マリーちゃんがそんなことになってるなんて……」
「私も反対はしないけど、両親は本当に信用できる人なの?」
マリーちゃんは知っているが、確かに両親の事を俺達はよく知らない。
家族を一緒に抱え込むでも良いが、権利事購入して、奴隷を欲しがっている人に両親は譲った方が良いのでは無いかという話を宮永さんからされる。
今クラスで奴隷を欲しがっているのは豪炎寺と原村さんだ。
つい先日2人は物件を借りて食堂を開く準備を進めていたが、オープニングスタッフが全然雇えないと嘆いていた。
奴隷を購入したいが、金勘定のできる奴隷が全然入荷しないのでどうにかならないかと愚痴を言っていたので、条件に合致するマリーの両親を雇いたいだろう。
というかマリーも看板娘として雇いたいかもしれない。
ただ豪炎寺達は食堂の開業資金を稼ぐために休みの日は毎日迷宮に潜ったり、食材を卸してくれる業者への挨拶回りと忙しそうにしているため今日の夕方に聞いてみてから決めることにしよう。
正直マリーは俺達もハウスキーパーとして欲しいのでどうなるかは分からないが……。
俺は夕方に皆の泊まっている竜の巣に向かうのだった。