【TS】クラス全員ドラゴン娘にされて異世界転生したった!【共学】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
大魔王により地上はモンスターと疫病に溢れ、人々は次々に亡くなっていった。
多くの国が事態を打開するために策を講じた……しかし自分の生存の為に国民を売った王族が出てくると大陸を席巻していた巨大な王国も急速に力を失っていった。
世界が暗黒に飲み込まれんとしている中、1人の男の子が無もなき村で生まれる。
その男の子は産まれて直ぐに剣を取り、母のへその緒を切り落とすと、立ち上がり、希望は我にありと叫んだ。
始まりの勇者の誕生である。
勇者は村で大切に育てられ、勇者の兄と共に村を出る。
滅びかかっていた王国にたどり着いた勇者は押し寄せるモンスターを一振で消し飛ばし、そこで賢者と呼ばれた男とシスターをしていた後の聖女を仲間に加え、大魔王討伐の旅を始める。
勇者が旅立ってからも人類の苦境は続いたが、大魔王配下の八星将と四天王を次々に倒していく。
勇者の兄が四天王の1人と相打ちになり亡くなるアクシデントがあったが、新たに剣聖を仲間に加え、5年の年月をかけて大魔王の元にたどり着いた勇者一行は勇者が大魔王と相打ちになり世界は一旦救われた。
勇者の功績を世に残すために聖女となったシスターは世界に教会を建てて大陸教の教えを広めることに努めた。
剣聖と賢者のその後は分かっていない。
どこかの国の将軍になったり、宰相になったかもしれないと言われているが、大魔王討伐後も疫病は直ぐには無くならず、多くの人々が病魔に倒れ数百年続く暗黒期が到来した。
大陸教会は人々の拠り所となり、人々は苦しい時代を耐えきった。
そして多くの国と魔王が跋扈する戦国時代となっていくのだった。
「しかし、今我々は初代勇者のお陰で生きることができている! 初代勇者達の活躍を語り継ぐために、そして冬の終わりを祝う為に今年も祭りを開きましょう!」
教会の前で神父様の演説が行われ、そして町長の開催宣言で祭りが始まった。
時期から逆算してちょうど俺達がこの世界に来た日と祭りの日が一致する。
ただの偶然か……それとも何かの力が働いたのか……。
詳しくは分からないが、お祭りである。
マリーは両親と、パンドラはハートとそれぞれ祭りを楽しむらしく、俺は中園さんと宮永さん、そしてオタクの4人で祭りを楽しむ。
色々なお店が商品を並べ、いつもより安い値段で売っている。
普段食べることのできないケーキなんかもショーケースの中に陳列されていたりする。
くじ引きや輪投げ、ボール当てなんかのゲームもある。
食事をしながら歩いているとギルド長のジュナルドさんが誰かとお話している。
挨拶しておいた方が良いかと思い、一応挨拶する。
「こんにちはジュナルドさん」
「おお、カネにナカ、ミヤ、オタクか。祭りは楽しんでいるか?」
「はい。楽しく過ごさせていただいてます」
「君達にも紹介しておこうこの町の貴族の1人グリム・バーガーテンプル様だ」
「初めましてご令嬢達……しがない貴族のグリムだ」
「す、すみません貴族の方とは知らず無礼な態度を取ってしまい」
「なに、気にする事は無いよ。貴族と言っても下級貴族。他の町民より少し早くバーガータウンに根付いただけだ」
グリム様はバーガータウンを開拓した時の副団長をしていた人のご子息らしく、バーガータウンの開拓成功で功労者の数人が当時公爵だった現国王に貴族に任じられて爵位を得たらしい。
だから家の歴史も浅く、普通の町民とさほど変わらないとニコニコと説明している。
ジュナルドさんの後援者という立場らしく、ジュナルドさんを次期町長にしようと画策している人の1人らしい。
またグリム様は町の議会に当たる評議会という町の運営機構の一員でもあるらしい。
「ジュナルドから聞いているよ特別冒険者達のお陰で冒険者ギルドは前年比の4倍の利益を出すことができたと。君達ならそう遠くないうちに上級市民になると思うが、その時はよろしく頼むよ」
「は、はい。よろしくお願いします」
お偉いさんとの握手は緊張する。
少し話をさせてもらったが、去年はバーガータウンから王都の大きな競馬のレースにバーガータウンで産まれたバイコーンを出すことができたお陰でバーガータウンの馬産地としての知名度が上がった事を喜ばしく思うと言っていた。
バーガータウンの根幹産業が迷宮と馬産、魔道具の製造の3つが柱になっているらしく、迷宮がどちらも支えていると説明された。
なのでユニコーンやバイコーンの生産量を上げたいが、資金繰りが苦しくなって馬産を撤退する牧場が相次いでいるのが現状らしい。
「カネは中級市民だが、土地を買うというのは考えてないのか? 現在の借りている土地も買い取る事ができると思うが」
「買い取ってもいいですが……馬産ですか……」
「ユニコーンだと気性が荒い事が多くてね。人の手の入ったバイコーンがどうしても人気になるんだが、バイコーンを生産する牧場が資金繰りが苦しくてね……町としては馬産地としてバーガータウンを盛り上げたいんだがね」
「うーん、それには土地の広さが足りないですよね……」
「君の近所の人達と土地の購入交渉をしてみれば良い。相場の数倍のお金を出せば交渉に応じてくれると思うぞ」
なんかギルド長やグリム様は俺に馬産をやってもらいたいらしい。
まぁ金は1年で凄い稼いだから馬産をやる経営的な体力(資本力)はあるが……。
今度詳しく話を伺っても良いかと言ってその場は離れた。
正直農地的な広さはもう少し……5倍くらいは欲しい。
豪炎寺の食堂がまさか冬の間に2.5トンの米を使い切ってしまい、残りも俺の備蓄米と和田さんの処方米くらいしか無いし、食品を取り扱う商会から米を買いたいと交渉が来ていたので、米を安定供給できる量として農地を拡張する必要があった。
「祭りが終わったらその事も考えねぇといけねぇなぁ」
そんな事を考えながら、去年からお世話になっている服屋だったり武器屋に挨拶していく。
「おう! カネ! それにナカとミヤもよく来たな」
「ダンデさんこんにちは」
「こ、こんにちは」
「ちわー!」
武器屋は今日は祭りだからか空いていた。
「流石に祭りの日に武器屋は客が取られてスカスカだわな! ガハハ!」
「またまた……奥さんは?」
「子供を連れて祭りを楽しんでいるよ」
「なるほど……」
ダンデさんには武器のメンテナンスを毎回してもらっているのでそのお礼とまた頼むかもしれないことを伝える。
「おうよ。パンドラとハートの武器も見てやるからまた持ってこい」
他には竜の巣の女将さんと店主に挨拶に向かい、今日は宿の前で豚汁が売られていた。
「女将さん、店主お久しぶりです」
「ああ! カネさんにナカさん、ミヤさんお久しぶりね! 元気にしている?」
「はい、3人で仲良く過ごさせてもらってます」
「あらあら……せっかくだから豚汁買ってきなさいよ! 美味しいわよ」
「いただきます」
豚汁を購入して娘さんのアルスとニーナはどうしたのか聞くと
「友達と買い物よ! お小遣いを貯めて甘いものを買うのよ」
「なるほど」
女将さんから仲間(クラスメイト)が1年近く泊まってくれたお陰で大幅な黒字かつ、クラスメイトが迷惑を殆ど起こさなかったので宿的にはありがたい1年だったらしい。
「お仲間さんも来年からは自立しちゃうかもしれないけど20人下回るまでは貸し切りは続けるから3人も何時でも寄ってね!」
と言われた。
その後も3人で祭りを楽しむのだった。