私はさして有名でもない武道家だった。伴侶は居らず、ただひたすら武の研鑽に務め、紛争地帯へ鎮圧に手を貸し、戦を終わらせ人々を助けた。見返りは求めない。単なる自己満足だ…私はただ強くなりたかった
年も90を越え肉体や精神の衰えを感じた頃、世界規模で自然災害が発生した
私は長年の修行で体内に流れる【気】の運用法を編み出し、体のあらゆる箇所から気を放出にまで至っていた
目の前の高層ビルが倒れてきたが、掌から気功波を撃ち破壊し、火災や台風、果ては竜巻をも極限まで高めた気功波で吹き飛ばした
全ては終息し、気も力も尽き果て倒れた私を人々は英雄とも神とも称えてくれた
だが、私は武を極めたかっただけなのだ
だれか…わたしに…力を
…ざめ
…めよ
…めざめろ!
「ねぼすけにも困ったもんだね」
なんだ目の前に丸い顔をした奇妙な生物が見える
「おきたね!」
「化け物!?」
起き抜けに左からの攻撃を紙一重でかわす
「ほぉ?…コホン。貴方、全宇宙を治める全王様に無礼ですよ」
白髪の青い装束を纏った男が、まるい生物の側に控えていた
「全王??」
「ふむ…全王様、この者は私にお任せいただいても?」
「ん~いいよ」
男はまるい生物に許可を取ると、私に話しかけて来た。
「さて、貴方は生前の行いが評価され、肉体の最も優れた時期のまま、転生が許されました。なお、人間ではなくサイヤ人としてですが」
言われてみると体は10代後半のまま、感覚や気の扱いや経験はそのままに、気のせいか以前より体が馴染む気がする。
「今、現在の貴方の力はまだ弱すぎる。故に貴方には試練を受けて貰います。これを乗り越えられれば更なる力をも手に入れられる筈です。」
なるほど…また一から鍛え直せる訳だ。言われるまでもない
「分かりました。是非、試練をお願いします」
即答した私に、男は驚いた顔をしていたがフッと笑うと
「良いでしょう。では、大神官たる私が命じる!刻の回廊の扉よ開け!!」
その声に答える様に、床から巨大な扉が出現し、ゆっくり開かれた
「良いですか?貴方はひたすら前へ進むのです。あらゆるものが貴方を襲うでしょう。しかし、貴方は何があっても前に行くのです。終わりなき、刻の回廊を」
「わかりました」
「あぁ、忘れる所でした。貴方には特典を用意していたんです。まずは説明します」
サイヤ人とは戦闘に特化した戦闘民族、歳を取りずらく若い期間が長い。ある時を境に一気に成長するらしい。おおまかに分けて早熟、晩成、天才、突然変異のタイプがあり、早熟は戦闘力が上がりやすく限界値が低い。晩成は戦闘力が低く、限界値が高くなるが育つ前に死ぬ事が多い。天才は王族に生まれやすいがサイヤ人と他種族との混血から生まれやすいと言われている。
突然変異は生まれた時から戦闘力が高く、破壊衝動や戦闘欲求が成長と共に高まるらしい。
特典としては
時の回廊のみにはなるが
①成長と共に止まるサイヤ人の瀕死復活からのパワーアップが制限なし
②瀕死になると自動で全回復
③歳を取らない
④戦闘力の数値化(刻の回廊以外でも使用可)
「こんなところですね。あと、この刻の回廊は時間の流れが止まっているので気が狂うかもしれません。ですので、たまに私が面白い所へお連れしますよ」
「なるほど…感謝します。大神官様、行って参ります。」
こうして
俺は刻の回廊へ足を踏み入れたのだった