今回は戦闘描写が多いため長めとなっております。
「――――久しぶりだね、始末屋」
「なんだバレていたか」
始末屋として正体を露わにしたアゲハは気だるげに先生を見据える。一見して面倒くさそうに振る舞うアゲハだが、その佇まいには一切の隙は見受けられない。獲物に飛び掛かる隙を伺い、剣呑な雰囲気を醸し出して威圧していた。
「いつか、この時が来ると思っていたよ」
「へぇ、そいつは目敏いね。流石は観察眼に優れる先生だ」
「生徒の異変をいち早く気づくのが先生の役目だからね」
「ふーん」
「意外と冷たい反応だね」
「いやいや素晴らしいと思っているさ。まるで飼い主の顔色を窺う奴隷みたいだ」
「中々キツいこと言うね」
「……いつから僕が始末屋だって気づいていたんだい」
アゲハの皮肉を容易く流す先生、アゲハは頭を掻きながら先生に問う。
「やっぱり戦闘スタイルかな。あんな銃弾を避けて接近戦に持ち込む人は限られるしね」
「だろうね」
「それに記憶に新しいからさ」
「それもそうか。いやー、無意識の戦闘とはいえ迂闊だった」
「見ているこっちからしたら怪我しそうでヒヤヒヤしたけどね」
「そいつは心配かけたね。まっ、今は自分の心配をした方がいいよ」
アゲハはポケットから潰した空き缶を半分に切った手製の刃物を取り出す。なぜ手製の刃物かというと、シャーレでは幼児化したアゲハに危険が及ばぬようハサミやカッターなどの刃物は厳重に保管していた。しかし即席の武器とはいえど近接武器に長けたアゲハの手にかかれば一人殺すことなど容易だ。
もっともアゲハが手にしている武器はそれだけではないのだが。
「自由研究の工作にしては物騒だね」
「おいおい、銃社会が浸透しているキヴォトスでは平和な方でしょ」
「いや、なんというか生々しいというか」
「……確かにアンタを殺すために作ったから芸術性や利便性は無いね」
「とりあえずその物騒な物を置こう」
「嫌だね」
アゲハの刃物が光の反射で鈍く光る。とうにアゲハの戦闘態勢は整っており、いつ先生の首元が凶刃で斬られてもおかしくはない状況だ。しかし先生は汗をひとつもかかずにアゲハを見据えている。
「っ」
一呼吸置いた後にアゲハは予備動作なしで先生に向かう。手にした刃が先生の首元に迫り、あと十センチという距離まで近づく。手慣れた動作を妨害もない環境下で行なえたことにアゲハは勝利を確信した。
――――だが、すでに一手は打たれていた。
「いっ!?」
短い悲鳴をあげたアゲハはバタリと倒れ込んだ。アゲハの背中には二本の電線が伸びており、電線を辿っていくと一丁の拳銃に繋がっていた。この拳銃は俗にいうスタンガンだった。
射手は銃を構えながら二人に近づいていく。
「危機一髪でしたね」
射手の正体は飛鳥馬トキだった。スタンガンにはC&C所属であることを表す刻印が刻まれていて、特注であることは明らかだ。トキに遅れて鬼方カヨコもやってきた。
「助かったよトキ」
「危険な賭けに出ましたね」
「……リスクが大きすぎ」
「あはは、けど成功したから良いじゃん」
「そういう話ではない気が……」
「ぐっ、くぅ……!」
「ごめんねアゲハ。私はこのことを二人に話して、今までの動向から行動パターンを予知したんだ」
電撃によって体が痺れて動けずにいるアゲハに先生は申し訳なさそうに告げる。なおトキとカヨコは意外にも表情を変えることなく、むしろここまでしないと動いてしまうことを知っていた。そのためトキは電撃を適宜浴びせている。
「はぁ、面倒な人です」
「私たちを心配させたこと、これで反省した?」
「はっ!何を言っているんだか。その程度で―――がッ!?」
「こらトキ!電気を流さない!」
「すみません先生。生意気だったので」
「まったくもう。だけどこれで一件落着だね」
「これで済んだとでも?」
「へっ?」
アゲハはトキが十分近づいたことを感じると、突然立ち上がってトキに体当たりをする。もちろんトキも引き金を引いて電撃を浴びせるも抑止には至らず、体当たりを喰らってしまう。その際、思わず手が緩んでしまいスタンガンを地面に落としてしまった。
「マズい!」
「遅い」
カヨコが急いでスタンガンを回収しようとするも、一足早くアゲハがスタンガンを踏み抜いて破壊した。
電撃の拘束が無くなったアゲハは先生に飛び掛かり、近くにあったペンで先生の胸部を刺そうとする。しかし先生は体をよじって動いたため、切っ先は左肩に刺さる。
「痛っ!?」
「次こそはっ」
「させませんッ!」
「ちっ」
アゲハの背後からトキが回し蹴りを放つも、すぐさまアゲハは振り向いて両腕で防ぐ。その瞬間からトキとの肉弾戦が始まった。
まずは先制してトキが手刀を出すもアゲハは難なく受け流して代わりに掌底で腹部カウンターを決める。痛みに耐えながらもトキは戦闘を続け、トキの放った膝蹴りはアゲハの顎を捉える。衝撃で脳震盪が起きてよろめくアゲハにトキは追撃を加える。
「くそっ!」
飛び退いてトキと距離を取るアゲハだが、一切の猶予を与えることなくトキは距離を詰める。不利になったことを悟ったアゲハは隠し持っていたライターで自分の服を燃やす。
「自分から燃やした!?」
「何を!?」
「……もしかして」
「その通りだよカヨコ」
室内に火元を感知した火災警報器は直ちにスプリンクラーが作動させる。視界が悪くなり、地面が濡れて足場は滑りやすくなった。未だに火が消えていないアゲハは体を焼きながら殴り掛かる。
「うぐっ!?」
「トキっ!」
虚を突かれたトキは思わず喰らって倒れ込んだ。すぐにアゲハは狙いを先生に定めて向かうも、カヨコが立ち塞がる。カヨコは自身の拳銃をアゲハでなく天井に向け、そのまま引き金を引いた。
「ッ!?」
紫色の光が銃口から放たれた途端にアゲハの体が一瞬ではあるものの硬直した。一瞬できた隙を活かしてカヨコはアゲハに撃ち込む。急所を腕を使って防ぐアゲハだが確実にダメージは負っていた。
アゲハの足止めに成功したことでトキは戦闘に復帰、先生との距離を離すためにアゲハを投げ飛ばす。アゲハは体を水で濡らしながら地面に転がり、水で濡れて前髪がだらんと垂れた。
「……カヨコの技が厄介だ」
「私も原理はわからないけどこうしたらアゲハも止まるんだね」
「まさかそれだけで完封できるとでも?」
「どうだろうね。試してみようかな」
「えぇ、まずはトキを倒してからです」
「それもそうだね」
アゲハは近くにあった机を壊して三十センチ程度の鉄パイプを手に入れるとスプリンクラーの放水を活かして姿を消す。トキとカヨコは拳銃を構えながら先生を中心にした警戒陣を敷く。先生はすでにシャーレのオフィスのセキュリティを起動させており、この階から誰一人脱出できないようにしている。
「先生、絶対に動かないで。手の内は知っているけど何をするか不確定だから」
「わかった。完全に封鎖したからアゲハはこの階から逃げられないよ」
「……きっとアゲハ様なら武器の調達かと」
「武器?管理は徹底しているから平気だと思うけど」
「あの方は使える物なら何でも使います。それが鉛筆一本でも」
アゲハが姿を消して一分経つとスプリンクラーの放水が止まる。その間、アゲハは攻撃をするどころか姿すら現さなかった。もしかしたらこの階から脱出してしまったのではと考えるのもつかの間、異臭と共に三人は気分も悪くなった。
「な、なんか苦しんだけど」
「これは、ガス!」
「IH対応だからありえないよ!」
「違います。これは、塩素ガス……!」
今までの間でアゲハは何をしていたのかというと、性質の違う洗剤と殺虫剤を掛け合わせて塩素ガスを発生させていたのだ。キヴォトス人は多少耐性があるものの外の世界から来た先生は耐えることができない。
三人は塩素ガス対策に濡らしたハンカチを口に当てる。
「……私たち諸共、か」
「すぐに換気システムを作動させてください」
「申し訳ないんだけど漏電を防ぐためにブレーカーは落ちるんだ」
「ッ!」
「搦め手で来たね……」
「けどアゲハも道連れになるんだよね。これもマズくない?」
「……先生、ひとつだけ気になることがあるんだ」
「どうしたのカヨコ」
「所詮は即席の塩素ガス、だから確実性を重視するアゲハがこの手で殺そうとは思えない」
「……つまり陽動ってことかな」
「そういうことだと思う」
「ですが長居しては先生が持ちません。短期決着がよろしいかと」
塩素ガスが増えていき本格的なガスマスクもない状況下では先に先生が倒れてしまうのは明確、すぐさまアゲハを仕留めなければならない。そうなるとトキとカヨコは先生を守りながらアゲハを見つけ出して戦わないといけない。非常に分の悪い戦いだ。
「……やろう。このままだと埒が明かない」
「いいんだね先生」
「うん。私は兎も角、生徒である君たちに無茶はさせられないから」
「……君たちにはアゲハも含まれているのですか?」
「当然だよ」
先生は屈託のない瞳を向けて力強く答える。それが本心だということは一目瞭然、カヨコとトキは覚悟を決めて銃を構える。先生はその様子を見た後、シッテムの箱を起動させる。
「あのバカを捕まえよう」
「えぇ、早く捕まえて説教しましょう」
「そうだね。たくさん溜めていた鬱憤をぶつけないとね」
こうして三人は階に潜むアゲハの掃討戦を始めた。薄暗くて足場が滑りやすくなっている環境とアゲハの得意な戦場に持ち込まれたことで三人の緊張と警戒心は高まる。いつ物陰から攻撃してきても不思議ではない。
索敵を始めるうちに三人は図書室に辿り着いた。電気は落ちてしまい明かりは非常灯のみ、薄暗い室内をスマホやガンライトを照らす。
「うぅ、慣れ親しんでいる所でも薄暗くて怖いね」
「薄暗くて怖いんだ……」
「でもライトを点けたままでいいのかな?位置がバレちゃうよ」
「構いません。アゲハは視界不良での戦闘に慣れていますので点けていても変わりません」
「す、すごいねアゲハって」
「……あの子だって得意になりたくはなかったのにね」
「カヨコ……」
「ッ!?避けて!」
先生はアゲハの過去を察して感傷に浸るが、突然カヨコが先生を押す。すると先生の頭があった場所には一本の鉛筆が鉛筆が刺さっている。
鉛筆の射出元にライトを向けるとそこには裁断機の刃を握りしめたアゲハが立っていた。
「ほ、本当に鉛筆で……!?」
「アゲハっ!!」
「やれやれ、運が良いね。けど今度は外さない」
「来ます!」
アゲハは片手の指に挟んだ四本の鉛筆とボルトを三人に投げる。カヨコと先生は後ろに、トキは前に跳んで攻撃を躱す。しかしこの攻撃で三人は分断されてしまい、アゲハは先生とカヨコに向かって走り出した。
「くっ!」
「させません!」
「甘いね!」
距離を詰められてはマズいと急いで射撃を始めるカヨコとトキだが、遮蔽物の多い図書室はアゲハの方に分がある。本棚や机を使ってアゲハは三次元的な回避運動を行い銃弾を躱し、あっという間に距離を詰める。
「もう一度……!」
「っ!だが勢いは、殺せない!」
カヨコは先程と同様にアゲハを静止させるも、すでに跳びながら振り下ろそうとしている。あくまでカヨコの力で静止させられるのは一瞬で、あの一度の体験だけで弱点を見抜いていたのだ。
「うああああ!!」
「うっ!?」
刃が振り下ろされる寸前、先生はあえて跳びかかるアゲハに体当たりをする。そのおかげで刃は先生に当たることなく、アゲハは吹き飛ぶ。アゲハはガタンと本棚に体を打ち付け、頭上からバラバラと本が落下して当たっていく。
「今!」
態勢を崩したアゲハを取り押さえようとトキが近づく。アゲハは打ちどころが悪かったのかピクリとも動かない。
「捕まえた」
「しまった――――」
アゲハに手首を掴まれたトキはそのまま寝技に持ち込まれる。床には本と破れたページが散乱し、お互い腕や足を使った攻防戦が繰り広げられている。一冊の分厚い本を手にしたアゲハは鈍器としてトキに振り下ろすと、ゴンッとその額に当たる。
「うっ!?」
「お前も、殺す」
今度は分厚い本を背表紙がトキの首筋に当たるように立てて、トキの頭部を持ち上げる。断頭台のように本を使ってトキの首を折ろうとしたのだ。アゲハの目にはハイライトと感情が消え失せて、一人の暗殺者がそこには居た。もはや自分の計画に関与する者は等しく皆殺しにするつもりだ。
「やめてアゲハ!」
「させない!」
カヨコは拳銃を撃って止めにかかるもアゲハは行動を止めない。制御の効かないロボットのように動くだけだ。
「アビ、エシェフ……!」
視界が額からの流血でぼやける中、トキは奥の手を使うことにした。アビ・エシェフはミレニアム学園の秘密兵器なので私的運用を禁止されているが、もはや躊躇する余裕はなかった。
直近に待機していたアビ・エシェフの両腕がシャーレの壁を突き破り、アゲハとトキの元に向かう。装着時に巻きこまれてしまうことを危惧したアゲハはトキから距離を取る。
「な、何それ!」
「……情報にはあったけどこれがミレニアムの秘密兵器なんだね」
「久しぶりに見たよ。アビ・エシェフ」
「えぇ。ですが機密保持と輸送の面で両腕しかありません」
「アンタのホームかつ完全武装でも負けたのに両腕だけで勝てるとでも?」
「絶対勝ちます。私は
「やってみなよ」
シャーレのオフィスを滅茶苦茶にしながらアゲハとトキは戦闘を繰り広げる。幸いなことに激しい戦闘のおかげで壁面に穴があいて塩素ガスの換気に成功する。
アビ・エシェフの巨大な鉄腕から光線や銃弾を放たれ、アゲハは遮蔽物を駆使して回避する。トキの懐まで接近したアゲハは裁断機の刃をナタのように振るうも、トキは搭載されていた衝撃波起動装置を作動させて後退と同時に攻撃を行う。おそらく以前の反省を取り入れたのだろう。
この攻撃で吹き飛んだアゲハは態勢を立て直すも、衝撃波で聴覚が麻痺して激しい耳鳴りが襲う。
「くそッ!」
「まずは聴覚を奪いました」
「何言っているのかわからないね!」
アゲハは気配を消してトキの背後に接近すると、トキの後頭部目がけて刃で横薙ぎする。
「カヨコ!」
「任せて」
「ぐあっ!?」
しかし攻撃の直前にシッテムの箱がアゲハを感知して、カヨコは援護射撃を行う。アゲハの背中に二発の銃弾が当たり、苦痛の声を漏らしてよろめく。
「……助かりました」
「まだ終わってないよ!」
「追撃します」
「がはッ!?」
トキのアビ・エシェフによる連打がアゲハの体を襲う。いくら近接武器の扱いに長けたアゲハでも不慣れな武器かつ大質量の攻撃を完全に捌くことはできなかった。怒涛の攻撃だが、なんとかアゲハは人体の急所を守りきった。肉体のダメージは甚大、されど意思は潰えてはいない。
「クソがあああ!!」
「先生!」
「カヨコ!!」
このままでは不利と察したアゲハは先生に向けて刃を投擲する。ブーメランのように回転しながら先生に向けて飛んでいくが、カヨコが身を挺して先生を守った。深々とカヨコの腹部には刃が突き刺さる。
「カヨコ!すぐに止血を!」
「ダメ……ッ!まだあの子は倒れていない……!」
「……無理しないでね」
「どいつもこいつも僕の邪魔をする……ッ!」
「貴方を、止めます!」
「お前らは敵だあああ!!」
怒りと悲しみが入り混じった絶叫をあげてアゲハは壁や本棚を蹴って進撃する。今回の狙いも先生だと見抜いたトキはアゲハを拘束するために鉄腕を伸ばす。鉄腕はアゲハの胴体を掴んだ。
「やった!」
「……降参してください」
「バーカ、僕は無機物でも殺せる」
「なっ!?」
両腕に神秘を込めて鉄腕目がけて振り下ろすアゲハ、すると鉄腕は神秘の力によって自壊を始めた。
しかしその代償としてアゲハの両腕から大量の血しぶきが噴出する。
「いッ!!」
「アゲハ様!!」
「これで、お前の十八番は無くなったなァ!!」
「くっ!」
トキの腹部にアゲハの蹴りが当たり、トキは苦悶の表情を浮かべる。トキを怯ませることに成功したアゲハは本来の狙いである先生に向かって走りだす。その道中でカヨコとトキの必死な銃撃が行われ、アゲハの左足に命中した。今までの戦闘で足に相当な負荷と損傷があったのかあらぬ方向に曲がった。
「前へ!前へ前へ前へ!前へ!!」
「これでも止まらないの……!?」
「先生!」
アゲハは最後の力を振り絞って先生に倒れ掛かるように飛び込び、首筋に噛みついた。
「んぐぅうううう!!」
「っ!」
アゲハは頸動脈ごと嚙み千切ろうと交合力を強めたため、先生は激痛で顔を顰める。しかし先生は悲鳴も怒声もあげることはなかった。
「ふぁぜ!ふぁんで!!」
あと一歩で先生を殺せる状況に対してアゲハは噛み千切ることができない。カヨコとトキが急いでアゲハを引き離そうと駆け寄るも先生はそれを制止した。
「う、うぅうううう!!」
原因は今までの思い出か、それとも単に気力が尽きたのかはわからない。アゲハはずっと噛み続けているだけだった。
「くそ、くそくそくそ……!!」
もう何もできないことを悟ったアゲハは先生の首筋から口を離し、悪態をつきながらポロポロと大粒の涙と鼻水を流していた。泣き崩れるアゲハを先生は強く抱きしめる。
戦闘が終わり、勝敗は決まったのだ。
「もう、いいんだよ」
「違う!僕は負けてない!」
「負けとか関係ない。今までツラかったね」
「ツラくない!僕は強いもん!!」
「楽になっていいんだよ」
「やだやだやだ!!」
冷酷かつ無慈悲な始末屋はおらず、そこには一人の少年が存在した。駄々をこねて自分の負けを認めず、自分の境遇を強者故の当たり前と思い込んでいた子どもがいた。
その光景を見て、いたたまれなくなったカヨコとトキはアゲハをそっと抱きしめる。三人に囲まれて包容されたアゲハの泣き声はますます大きくなっていく。
「がんばれるもん!まだたたかえる!」
「アゲハ様は充分に戦われました。もういいのです」
「いっぱいころせる!!みんなころす!!」
「……一緒に帰ろうよ。帰ったらまたご飯作ってあげるから」
「ごはんいらない!おなかすいてないもん!」
「今までの分まで泣こう。溜めていたもの全部出そう」
三人から温かい言葉をかけられたアゲハはついに限界を迎えた。
「うわーんッ!!ごべんなさい!みんなきずつけてごめんなさい!!」
「大丈夫。この程度ならすぐ治るから」
「おへやもぐちゃぐちゃにしちゃった!」
「このぐらい皆で片付けたらあっという間だよ」
「からだいたいよ!おなかすいたよ!」
「アゲハ様、すぐに病院で治しましょう」
「おちゅうしゃいやだああああ!!」
「ほら私も受けるから心配しないで」
「あああああああ!!」
こうしてキヴォトスを巻きこんだ先生暗殺未遂事件は幕を閉じた。
決着がついたものの勝者と敗者と呼べる者はおらず、一人の子供と三人の保護者が存在した。
Q.完全武装アゲハなら先生たちに勝てましたか?
A.勝てます。しかし恩人を殺すため精神が瓦解して廃人になるので、自殺する気力もなくなり野垂れ死にます。
Q.アゲハはホシノに勝てますか?
A.無理です。神秘を込めてもホシノの方が神秘量は多いのでなんとか耐えます。そしてホシノはキヴォトスの脅威と見なしてアゲハを再起不能レベルでボコボコにするでしょう。