在りえし日のラ・マンチャランド   作:とろねぎ

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ここでは第二眷属と狩人の秘められた語らいが暴かれる

 

 

 

室長ドンキの同期ストーリーで涙を流すものになっちゃった...

 

 

 

 

 

あとどれくらいこのシリーズを続けるか分からなくなってきたので短編から連載に変えました

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

あの頭のおかしい狩人がここを訪れてから数週間経った今。

 

ラ・マンチャランドの集客数は見る見るうちに伸びていた。

 

それこそ、調子が良い日なら一日は家族全員が満たされる程の血を飲めるようになるほど。

 

そしてその日がある度に、父上は見るからに浮かれた調子で私の隣に来ては、こう言うんです。

 

「これもきっと、ルーク殿が外で宣伝してくれているんだ。彼は1級フィクサーと言っていた。それだけ他の者への影響力もあるのだろう!」

 

「かもしれませんね。」

 

「ところで...サンチョ?」

 

「なんでしょうか。」

 

「以前ルーク殿と二人にしたであろう?それ以降だろうか...ルーク殿の名を聞く度に、お前の眉が八の字に曲がるのだが...?」

 

「あの不快な大声を思い出して、一人でに気を害しているだけです。」

 

「...サンチョ...?あー、吾がサンチョ?そろそろだな、どのような話をしたのか、俺にも教えてくれないか?」

 

「いくら父上でもお断りします。」

 

「全くお前という子供は...俺が命令して無理矢理聞き出さないからと言って黙ってばかりいるようなら、俺にも考えがあるんだぞ?」

 

「父上の考えというのは、一般的にはろくでもない悪巧みと言うんですよ。」

 

「...ふむ...サンチョ、俺良いアイデアを思いついたんだ。」

 

「やめてください。」

 

「そう邪険にするな。何も辱めようという気は毛頭ない。ただ正直に、何があったのか教えてくれるだけでいいんだ。簡単だろう?」

 

「...いえ。少し複雑な...話でしたので。」

 

「俺にも理解できないほどか?」

 

「......おそらく。」

 

「ふむ...そこまで言うのなら仕方あるまい。」

 

えらくあっさり引いたことに驚いていると、父上はパッと笑った。

 

「ならば今度ルーク殿が来園した時に聞くとしよう!!」

 

「父上!!」

 

「...ダメか?」

 

「っ...!ダメという、より...!なんて言えばいいか...!」

 

話が話なだけに、父上にも言いにくいしなんと説明すればいいのか分からない。

 

眉間を抑えて唸っている時だった。

 

「来たぞ!!我が!!第二の故郷!!ラ・マンチャランドゥ!!!!」

 

...入口の方から、耳にこびりつくような声が響いてきたのは。

 

「あ、入園血液もっと取りたまえよ。キホーテ殿から聞いてはおらなんだ?...うむうむ!!貴殿の応対は快いな!ちょっとサービスしちゃう。」

 

「...」

 

「あっ...気にするでないぞ。少しばかりクラっときただけだ。ハッハッハ!!」

 

何をバカなことをやってるんだアイツは。

 

「ハッハッハ...ハッ!?」

 

うわ目が合った。

 

「こっちに来ます!げ、迎撃しないと!!」

 

「何をそう焦っているのだサンチョ!もう既に彼は、吾らと意を共にする...言うなれば盟友であるのだぞ!!やあ久しいな!ルークど...」

 

全身で歓迎を表す父上を...アイツは素通りして...

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴殿に会うのを心待ちにしていたぞ!

我が愛しのサンチョ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

......私に、跪いた...

 

「...え?る、ルーク、どの...?え?愛し...え?」

 

父上が...あの父上がぽかんと口を開けて戸惑っているが、この気狂いは変わらず続ける。

 

「以前は色良い返事はいただけなんだが、約束通り!!ここの噂を広め、また私も大量の血液を土産として持参致したぞ!!!さあ!!!!」

 

なにが『さあ!』なんだ。

 

「さ、サンチョ...?」

 

捨てられた子犬のようなしょぼくれた顔で私を見つめる父上。

 

お願いですからそんな顔で見ないでください...

 

「誤解です...誤解なんです...!この男、どこかで頭を打ったに違いないんです...!」

 

「相変わらず素直でない御仁だ!!いやはやしかしそのような所もまた愛らしい!!」

 

「黙れ!」

 

なりふり構わず槍を投げ付けるが当たり前のように分解される。

 

「ふむ...まだまだ距離は縮まらんか...ならば!!今日!!今から!!デェトと行こうでは無いか!!」

 

「...」

 

「ち、父上?大丈夫ですか?先程から、全く瞬きの一つもしておりませんが...」

 

「...サンチョ。」

 

凍ったように固まっていた父上がようやく動き出し、私の顔を見た。

 

いくらか見たあと、次はあいつへ呼びかけた。

 

「そしてヴァン・ルーク。」

 

「ん?」

 

「少しばかり、話をしよう。」

 

無機質な笑みを顔に張りつけながら...

 

「...父上、怒ってます?」

 

「いいや?ただ...面白い方だと思っただけだ。お前もそう思わないか?なあ、『吾が』サンチョ?」

 

「......」

 

今までで一番含みのある言葉に、ただ私は黙って頷くしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、以前と同じく管理人室に集まった。

 

ただ以前と違うのは...

 

「キホーテ殿!これでは何も見えぬでは無いか!私が何をしたというのだ!?」

 

...あの男が、椅子に括り付けられて、目を布で塞がれてることぐらい。

 

「さあサンチョ、全て話してくれ。」

 

相変わらず何も移さない死んだ魚みたいな目で私を見つめてくる父上。

 

...さすがに、もう隠しておけないかと観念して、正直に全てを話すことにした。

 

「はい...あの時のことですが...」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「貴殿らに協力する理由は、実はもう一つあるのだ。馬鹿馬鹿しく、現実離れした...風邪の時に見る夢の方が現実味のある言葉だ。だがそれでも伝えねばなるまい。」

 

「早く終わらせてください。」

 

「先の貴殿は真に見事であった。命令される訳でも無く、親へ危害が向かぬよう自身では力の及ばぬ相手へ、真っ先に牙を突き立てようとしたのだ。」

 

「は、はあ...?」

 

いきなりなんだ?

 

煽られているのか?褒められているのか?

 

「私へ自身の槍を突き付けた貴殿のなんと凛々しいことか!」

 

「...なにが言いたいんだ?わざわざ父上を追い出してまで...こんな、くだらない世辞を宣うつもりか?」

 

「世辞では無いのだが...あぁ本気とも。誰よりも本気だ。」

 

男は目を閉じ、ゆっくりと息を吸う。

 

「......くぬうぅぅあぁぁ〜っ!!!!」

 

...かと思えば、壁に頭を打ち付け始めた。

 

「...」

 

驚きこそしたが、ついに頭がやられたか。

 

おかしくなった人間を父上はどう処分するつもりだろうか。

 

そうやってただ傍観していると、壁に頭を密着させた状態で動きが止まった。

 

「私はそう、本気だ!本気本気...本気なんだよくそう鎮まれ我が心臓よ!!」

 

壁に反射してくぐもった声が私の耳まで届く。

 

またしばらく沈黙と、荒く呼吸を繰り返してようやく、男は私の顔を再び見た。

 

何度もしきりに目線を合わせようと苦戦している男に一抹の憐憫を抱いて、仕方なく目を合わせてやった。

 

すると男は父上が浮かべるような、少年のような笑みを浮かべ、片膝を着いて掌を差し出した。

 

...気のせいだろうか。

 

これではまるで...

 

「高潔な精神を持つ貴殿に、私は惚れたのだ!どうも私にはこの感情を胸の奥底で秘めさせることは出来なんだ!!」

 

私を...口説いているようでは、ないか...!?

 

「り、理解できない...!いきなりなんなんだお前は...!?」

 

「理解出来ずとも結構!感情とは複雑怪奇なものであるのという事だけならば、きっと貴殿も理解出来るだろう!!そのことも踏まえて、さあ!!」

 

もう一度男は深く項垂れ、手を差し伸べる。

 

今まで経験したことの無い、あまりにも真っ直ぐで濁りのない好意。

 

この時、普通の人間や...他の家族だとどう思うんだろう。

どう返答するんだろうか。

 

父上は言わずもがな...だけど、もしもを考えたとしてもこの場の私が他の誰かに置き換わることは出来ない。

 

......吐き気がする。

 

気持ちが悪い。

 

それが欲求に微塵も抗う様子を見せない男へ向けられた物なのか、自身へ向けられた感情へのものかは分からない。

 

ただ、ここ数十年で一番、気分が悪かった。

 

それに耐えきれなかった私は...

 

「父上、話は終わりました。」

 

逃げるように、父上が待っているであろう、外への扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「以上です。」

 

話し終え、父上の顔色を伺う。

 

まだ一度しか出会っていない男に、自身の眷属が言い寄られていたなんて知ればさすがの父上も...

 

「...サンチョ、俺、良いアイデアを思い付いたんだ。」

 

勘弁して下さい...

 

「今度のアトラクションは、劇場にしようと思う。ニコリーナの所でだ。あそこは他の場所よりも一回一回の家族への負担が大きい。だから時間で行うアトラクションを分けようと思うんだ。」

 

「......いきなり...なんの話、ですか...?」

 

血鬼の身だというのに胃袋の辺りがキリキリと音を立てている気がする。

 

「それでな、最初の公演のストーリーは、ラブロマンスにしようと思うんだ。」

 

「冗談ですよね?」

 

「劇名は...そうだな、『人間と血鬼の間に生まれた禁断の愛について』と仮定しよう!」

 

「父上!!」

 

「あ...もう少し良い名があったか?まだ仮題ゆえ、計画を進めていくうちにそれも決めようか。そうと決まれば、私は...」

 

私の苦悩を良いネタと扱う父上は、男の拘束を解くと...

 

「さあルーク殿!人の身でありながら血鬼に恋する男よ!参考までに吾と恋話をしようではないか!!」

 

...いよいよ父上まで狂ってしまわれた...

 

どれもこれも全てあの騎士が、父上に法螺話を吹き込んだからだ...いや今はそんな昔のことを恨んでいる場合じゃない。

 

今は...

 

「...なんと!?父上殿の公認か!?義父とお呼びしても!?!?」

 

「それはまだ早いな!!」

 

「それは失敬した!!」

 

このバカ二人をどうにかしないと...

 

「サンチョのどんな所に惚れたのだ?もっと!詳しく聞かせてはくれないだろうか!!」

 

「お望みとあらば永遠にでも語ってしんぜよう!!」

 

「さすがはルーク殿だ!」

 

「それ程でもあるまいさ!!」

 

「「アッハッハッハッハッ!!!!」」

 

年甲斐もなく肩を組んで笑い合うバカ二人。

 

「.........ぁうぅぅ...」

 

もうダメだこの遊園地。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

どんどんサンチョがしなしなになっていく

 

 

 

 

 

ルークの深堀り要る...?(設定とか生い立ちとか)

  • いる(断固)
  • 正体不明の変態で十分
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