在りえし日のラ・マンチャランド   作:とろねぎ

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酷く誤解を重ねられる第二眷属とその家族達について

 

 

 

失踪は...じま゙ぜん゙っ...!(ゆらぎ)

 

 

 

少しデレろサンチョ...いややっぱりデレるな

 

少しだけ少女漫画しろサンチョ

 

『サンチョはこんなことしない』は私が一番分かってます

 

サンチョはね、人間風情にはデレないしお父様と家族が(ry

 

 

 

 

 

 

 

 

終盤のヤケクソサンチョはいつも以上にキャラ崩壊注意

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「...今日も静か、だな...」

 

久しく感じていなかった静寂を、少しずつ咀嚼し、飲み込むように把握して一ヶ月と数日が経った。

 

外は相変わらず賑わっているらしく、人間の行き交う足音と笑い声、喜色を含んだ悲鳴なんかも聞こえる。

 

しかし、その中にあの...やかましく大仰な声は聞こえない。

 

どのアトラクションがどのように素晴らしかったかなど、自身が見せ物になってまで喧伝する声もだ。

 

「サンチョ!サンチョ!!俺良いアイデアを思い付いたんだ!!」

 

...いや、別に、不満になど思わないが。

思うはずもないでは無いか、あの耳障りで不愉快な人間が居ないだけ。

 

むしろいい事じゃないか。あぁ。

 

「何度も言っているが、無視は良くないぞ...?俺だって傷付くんだからな...?」

 

血液の回収が不安な面もあるが、数日の客足ならば少なくとも全ての家族が腹を空かせることは無いはずだ。

 

だから居なくても問題は無い。

むしろもう来るな。

頼むから。

 

「サンチョー?おーい?.........ふむ。」

 

父上もあいつが来ていないことは気にしていたが、父上なりに納得したらしく、最近では『まだ来ないのか』とぼやくことも無くなってきた。

 

毎日聞かれては少し鬱陶しかったから、これはまあいいだろう。

 

意外にも、他の家族も気にかけていたのは意外だったな。

 

最初に気が付いたのも、父上と私を含んだ五人の中で一番落胆していたのも...確か...

 

「あらぁ!お話通り、なんだかとってもしょげているじゃありませんのぉ!いかがなさいましたの?」

 

「吾の話も聞かず、まさに心ここに在らずという状態なのだ...しかしその理由がどうもさっぱりでな。」

 

あぁそうだ、ニコリーナだ。

 

あいつは定期的に外の服を持ち込んでいたから、それでニコリーナが意欲を刺激されているのは全員が知っている話だ。

 

それで私へサイズを測らせろと迫ってくるのは困りものだったが。

 

「えぇ、えぇえぇ!私、この状態に心当たりがありますの!」

 

「本当か!?」

 

「ずばり......スランプですわぁ!!」

 

「スラ...?」

 

今頃は来園者の服装に感化されて、また新たな衣装を作っている頃合いだろうか。

 

「こんな時にぴったりの対処、私が直々にして差し上げましょう!まずは...ふむふむ。」

 

わざわざ二着作り、まずは私へ着せようとして、それが無理ならドゥルシネーアへ渡すんだ。

 

ドゥルシネーアなら喜んで着るのだから、私へ着せようとする必要も無いだろうが...なんだったか、『サンプルは多いに越したことは無いのですのよぉ!』だったか。

 

「上から+2、+1、+2...と...随分変わっているじゃありませんのぉ!」

 

「...どうしてサンチョのサイズを測っているのだ...?」

 

「愚問ですわお父様!毎日毎日代わり映えのしない服装をしているからこうなりますのよぉ!」

 

ふっ、今のはニコリーナそっくりだったな。

 

「あぁもうこうしちゃいられません!お父様!!私、作業場にしばらく籠らせて頂きますわぁ〜!!」

 

「.........」

 

あぁそうだ。

ホーンテッド・ブラッディ・メアリー...クリアンブロの所は他に比べて僅かに客足が少なかったから、あいつが激励代わりに投げ渡してくる血液パックが無いことを残念がる家族も居たな。

 

「クリアンブロ!お前ならどうにか出来ないだろうか!何度か面談を実施しているのだろう?」

 

「その通りですが...しかし、私ではどうにも出来ないのでは...?」

 

『私腹を肥やすためにやっているのでは無いだろう』と説得し、そのパックも一日の回収に充てることにした。

 

しかしそれを知ったのか、あいつは二つ渡すようになったから...渋々、パックは一つにさせて、半分は個人で保有して、もう半分は回収することであそこの家族には納得してもらったんだよな。

 

...あいつ、面倒事ばかり増やしやがって...誰が場を収めると思ってるんだ...

 

「いやいや!誰であれ役に立たないなど多少なりとも力になれるはずだ!面談ではどのような話をしていたのだ?」

 

「それは...いくらドンキホーテ様でもサンチョ様の名誉のためにお話出来かねます。」

 

「そうか...」

 

あぁまずい。

 

胃のあたりがキリキリと痛んできた。

やっぱりあいつ帰って来なくていい。

もう一生来るな。

なんなら出禁にしてやろうか。

 

はあ...次の面談はいつだったか...

 

「お役に立てず申し訳ございません。はるばるこちらまで足を運んでいただいたというのに...」

 

「いや構わないさ。やはりサンチョも女性だ。女性のことは、女性に聞くのが一番だろうな!」

 

「仰る通りかと。」

 

「よし!ありがとうクリアンブロ!それから忙しいだろうに悪かったな!」

 

あぁ苛立たしい。

 

家族はすっかりあいつに絆されて、自分から声をかける者まで現れる始末。

 

その光景を見て『そいつ狩人だぞ』と何度言いかけたことか。

 

ドゥルシネーアはまだ絆されるまで行っていないのが幸いか。

 

いや、話せないのだから絆されるも何も無いが...それでも、好意的な目では見ているよな。

 

......はあ.........

 

「だらしない姉妹に春が来たと聞いて。」

 

「そんなことは言っていないのだが?春は当分先だぞ?」

 

至って現実的な話、人間である以上あいつだって老いて、死ぬはずだ。

 

それが何十年と後でも避けられないだろう。

 

その後は?

あいつのばら撒く血液で何とか全員の腹を満たせる日だってある。

もしあいつが死んで、そこからさらに客足も減ればそれこそ私たちの末路は決まっているのだろう。

 

「......」

 

「どうだ?なにか...わかりそうか?」

 

「...これは...恋煩いね。私にはわかる。」

 

「なんと!?!?!?」

 

チッ...贅沢の味を覚えさせたあいつは、とんだ極悪人だ。

 

これなら以前の飢死するかしないかの瀬戸際を繰り返す日々の方がマシだったじゃないか。

 

いずれ、贅沢になった家族を管理するのにも苦労する日が来るかもしれない。

 

いや...もう既に何人かは苦労しているが。

 

「ドンキホーテ様こそ、何かお心当たりは?」

 

「心当たり...ふーむ...しかし...いやそうだな...あれ以降、サンチョがなんだか素っ気ないのだ。」

 

「...今度は何をしたの?」

 

「ルーク殿と同じゴンドラに詰め込んだ。」

 

「.........」

 

「こうしてはいられん!!サンチョの恋を応援し機嫌を治してもらうためにも、とっておきのサプレィズケイキを用意しなければ!!」

 

「あ......ここまで本気にするなんて。」

 

クソ...考えれば考えるほどイライラしてくる。

 

今度顔みたら本気で殴る。

 

殺すつもりで殴る。

 

それから内臓全て引きずり出して家族にばらまい...

 

「...ドゥルシネーア?何か用か?」

 

「......いえ?ただ...父上から、あなたが無視してくると言われたものだから。」

 

「父上が...?何か...言っていたのか...?」

 

「あ、気付いてなかったのね。」

 

「少し...考え事を、していたからな。」

 

「狩人様の事?」

 

まさかそんなことないでしょう?とでも言いたげな顔で放たれた言葉が、いやに突き刺さった...気がした。

そう。気がしただけだ。

 

「.........そんなわけないだろう。家族のこれからについてに、決まっている。」

 

「そう。あなたがそう言うのならそうなのね。でもそれだと、少し不味いかも...」

 

「はあ...今度は何をしてくれたんだ?別に怒らな...いや多少は腹を立てるが早いうちに「お父様があなたへケーキを用意しに行ったわ。」どうしてぇ?

 

いけない、父上の奇行には耐性が出来ていたはずなのに、顔が歪んでしまった。

こんな顔、下の家族には見せられないな。

 

「あなたの機嫌を治すためなのと、それと...」

 

「...?なんだ。」

 

「...あなたと、狩人様の恋を応援するために...」

 

「その馬鹿みたいな妄想を吹き込んだヤツを教えろ。八つ裂きにしてやる。」

 

「.........ニコリーナよ。」

 

「よし分かったあの裁縫バカのツインテール引きちぎって来る。」

 

「ま、待ってサンチョ!」

 

なかなか力強い...やはり私の姉妹(第二眷属)だな。

 

うん?なんでこんな事で家族の実感を得た???

 

「...なんだ?」

 

なぜお前がそんなに焦っている?

 

ドゥルシネーアはいつもの無表情を崩して、気まずそうに胸の前で指を絡ませていた。

 

「えぇと...ニコリーナはたぶん、本気で勘違いしているだけじゃないかしら。特にあなたを貶めようという意図は、間違っても感じなかったの。だから、それはやめておきましょう?私からは伝えておくから。」

 

「......仕方無いな。」

 

しかしたまには痛い目を見てもらった方が良いとは思うが...

 

「...何だこの音は?」

 

挙動不審なドゥルシネーアと私に不都合な事ばかりするニコリーナに思考をめぐらせていると、この部屋へ近付きつつある音に気付いた。

 

なにか重いものを引きずるような鈍い音。

 

最近妙に痛む胃腸へまで伝わるほどの振動が近付いてきて...

 

 

 

 

 

 

 

「サンチョ!!サンチョ!!!吾良いアイデア実行して来たんだ!!!!」

 

 

 

 

 

 

濃厚な血の匂いを漂わせるケーキと、満面の笑みでそれを乗せた台車を運ぶバカ上...間違えた父上の姿。

 

「かふっ。」

 

「サンチョ?今あなた、血を吐いて...」

 

「きのせいだ...みまちがい、だろけふっ。」

 

「サンチョ!!一体どうしたというのだ!!?第二眷属である君がこのような!それよりサンチョ見てくれ!君のために作ったサプレィズケェキを!!」

 

私の惨状をそれよりで片付けた父上は、五段ほどにもなる巨大で鮮やかな赤色をした円形を見せつける。

 

「...父上...これは...?」

 

ドゥルシネーアから既に話を聞いていたが、誤解かもしれないと念の為に聞いてみる。

 

「よくぞ聞いてくれた!ただその前に一つ...吾は、人間と我ら血鬼は共存できると考えている。」

 

「?は、はあ...」

 

「それゆえ!!」

 

疑問符を浮かべる私へ、父上は指を立てる。

 

「そなたの恋路を、人知れず応援しようではないか!!!」

 

「かひゅっ。」

 

「サンチョ!!?無理をしていたのかサンチョ!?!?」

 

足から力が抜けた私をなんとか抱きとめる父上。

 

父上のせいなのですが...?

 

こうしている間に、外からまた誰かの足音が聞こえる。

 

随分と急いでいる。

 

しかしどうしてだ。

 

この足音を聞いていると、嫌な汗が...

 

 

 

 

 

 

「サンチョ!!サンチョ!!!私が来たぞサンチョ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「あ、狩人様。」

 

「がふっ!」

 

善意で伝えてくれてだあろうドゥルシネーアの報告にトドメを刺された。

 

ほら第二眷属討伐だぞ喜べ。

 

なんてことだこの部屋に大馬鹿者が二人も揃ってしまった。

 

狩人は部屋内の光景を見て呆気にとられていたようだったが、じきに太い血管を浮き立てた拳を握りしめた。

 

「我が愛しのサンチョに何をしたッ!!キホーテ殿とて許せぬ蛮行!!くっ...これだけはしたくなかったが...!」

 

本気で間違えているのか、いつもの芝居がかった口調に怒りが乗っている大馬鹿は、懐に手を入れ...

 

「あっ...あれは...!」

 

おもむろに、一つの真っ黒な革手袋を取り出した。

 

...まさか。

 

センク協会のように、手袋を叩き付け、父上と決闘するつもりでは...

 

「えいっ!!」

 

その直後、部屋の中に革が叩き付けられるぺしんという音が虚しく響いた。

 

「.........」

 

「.........」

 

どうするんだこの空気。

 

いや誤解なんだから父上は早く解いて...

 

「そなたとの決闘を希望する!!」

 

いや誤魔化せないぞ?

 

「...おぉ...!」

 

父上?嘘ですよね父上?

 

「...い、いやぁしかし、申し出されたのであれば、答えなければ失礼というものであるよな〜?」

 

父上ッ...!

 

「良かろうならば外へ来い!」

 

「うむ!!」

 

...出て行った...

 

「...サンチョ、大丈夫?」

 

冷たい床の上に倒れる私へ、整った姉妹の顔が覗き込む。

 

「......ドゥルシネーア。一つ頼みがある。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くりあんぶろよんでくれぇ...」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

あとがき

 

ここでは遂に胃袋が爆散する第二眷属について語られる。

 

 

 

 

ルークの深堀り要る...?(設定とか生い立ちとか)

  • いる(断固)
  • 正体不明の変態で十分
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