塩の錬金術師 ~死んだはずの幼馴染の手によって異世界に錬成された俺は、最弱錬金術『三原質』で世界を統べて究極の力を手に入れます~   作:クワガタ信者

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第21話 戦いの後始末

「バレてないよな……俺だってこと」

 

 戦いの後、一度隠れて元の肉体を再錬成し、みんなのところに戻った。

 

 覚悟はしていた。あの姿の俺はどう考えても人間達より、奴ら敵性生命体どもに近い。

 

 案の定、みんなに敵と見なされて攻撃された。

 

 痒くて仕方がなかったけど、それ以上の追撃は来なかった

 

 戦う意思はないと降伏のポーズとして両手を上げたのが良かったのだろう。

 

 あいつらは許せないけど、それでも生き物であることは間違いない。

 

 だから仕留める度に十字を切ってやった。

 

 手を合わせるとミラさんに俺だとばれてしまうし、この世界で一般的な手を組んでのお祈りをしたら信心深い人が疑われる可能性があるからね。それはいただけない。

 

「あーー! いたー!」

 バンビが俺を指差して大きな声を出した。

 

「どこ行ってたのソーイチクン! みんな心配したんだよ!?」

 

 プンスカと剣幕を見せてバンビが駆け寄ってくる。

 

「ごめんごめん。俺たち後衛だけどさ、なんかの役に立ちたくて。ほら、もしかしたら敵が隠れて後ろから刺してくるかもしれないじゃん。一応警戒しようかと思って」

 

 我ながらナイスな言い訳だ。理由としては十分だし、やる気も見せられる。

 

「偉いねーソーイチクン。でも勝手なことしちゃだめだよ。そういう良かれと思ってが噛み合わなくて部隊の足を引っ張っちゃうこともあるんだから」

 

 バッサリと切られてしまう。

 そりゃそうだよなぁ。はたから見れば勝手なことしてどっかいく奴だ。迷惑と言われればそうだ。

 

「ごめん、気をつけるよ」

「それより、なんかすごいことになってるよ!」

 

 バンビはワクワクと飛び跳ねながら続ける。

 

「なんかねなんかね! 私達の味方をしてくれたすっっっっっっごい強い奴が現れたんだって! もう化け物どもをバッタバッタと薙ぎ倒してすごかったんだから!」

 

 キャッキャとはしゃぎながらバンビは語ってくれた。

 

 ごめん、それ俺なんだよね。

 弔葬部隊にも話がいってるんだ。

 

「でもでも、ガルドス団長は敵だーって攻撃しちゃったんだよね。酷くない? せっかく助けてくれたのに!」

 

 それも知ってる。だって撃たれたの俺だもん。

 

「それでその白い人? の名称はこう呼ばれるんだって」

 

 バンビは続ける。

 

「士降」

「塩?」

「しおだけど、塩じゃなくて士降」

 

 バンビは地面に文字を書いて教えてくれる。

 ちなみにこの世界の言語は来た時から完全に理解できるようになっている。

 

 おそらく、ひよりが俺を錬成した時に何かしらの細工をしたのだろう。

 

「舞い降りる戦士って意味だってさ。やばくない?」

「へえ」

 

 どうやらあの形態の名前が決まったようだ。士降だってさ。口に出したイントネーションが塩とちょっと違う。

 もうちょっと区別つきやすい名前をつけて欲しかったけど、まぁよしとしようか。

 

「んで、しおちんのお陰で第七師団の犠牲者はゼロだってさ」

「……そっか!」

 

 その為に戦ったんだ。死ぬ人さえいなければ俺たち弔葬部隊の出る幕はない。

 俺たちの出番なんてない方がいいんだ。

 

 ……待て待て、なんだしおちんって俺の事か?

 

「でもその前に戦ってた第三師団には亡くなった人もいるから、こっからが私たちの仕事だよ! いこっか」

 

 ……まあ、これが現実か。被害者ゼロってわけにはいかないみたいだ。

 

 俺達は合戦の後処理として、遺体を集め葬儀を行う。

 

「バンビちゃん、ソーイチ君に儀式のこと教えてあげてね」

「もち! 任せてタイチョー!」

 

 マリアさんに命じられてバンビは俺にこの世界の葬儀の仕方を教えてくれる。錬成したゴム手袋をきゅっと付け、マスクと防護服なども着ていた。

 

「まず、遺体は二つに分けられまーす。一つはその場で葬る直葬遺体(ちょくそういたい)。もう一つは遺族に亡骸を送り届ける輸送遺体(ゆそういたい)

「なるほどね。じゃあまず遺族に届ける遺体が腐らないように保存から始めるわけだ」

「おっ、察しいーねーソーイチクン。そう、まずは遺体の体に残ってるうんちとかおしっこを取り出します。見ててね」

 

 バンビは遺体の腹部を圧迫し、口から内容物を吐き出させた。

 

「こうやって、空気の錬金術でゲロちゃんを吸いだすの。うんちとかはお尻から同じ要領で吸いだす感じで」

「大体わかった。やってみるよ」

 

 元の世界と同じような感じだ。あっちは吸引器で吸いだしていたけど、ここでは錬金術でできるのか。

 

 俺は即座に遺体の一人から糞尿と吐しゃ物を取り出した。

 

「うわっ、はっや! 手際いーね。もうそこまで行ったの?」

「似たようなことやってたからね。余裕だって」

「……そっか、よかった。続けてくれそうで」

「へ?」

「この仕事、臭いし汚いし地味じゃん? この時点で吐いちゃってもうダメーって子もいるの。だから続けてくれる子も限られてる。ソーイチクンは続けてくれそうでよかったよ」

 

 そうさ。葬儀屋の仕事はいわゆる3Kだ。きついし汚いし、感染症にかかる危険だってある。

 

 俺だって最初はめっちゃ嫌だったよ。他人の便なんて触りたくないのが普通だ。

 でも、それでも必要なことなんだ。故人が綺麗なまま天国に行くためには絶対に必要なこと。

 

 俺なりに割り切っていたし、誇りを持っていた仕事だ。

 ていうか、どのみち親の介護でやるよなそういうの。

 

「大丈夫だって。慣れてるからさ」

 

 続けて遺体の傷口を縫合する。

 

 なんでも、輸送遺体は全体の中でも三割に満たないらしい。

 遺体を届けるかどうかは、本人の希望によるらしい。戦場に立つ本人たちは遺体を運ぶことのコストなどを考えてほとんどの人はその場で葬ることを希望しているらしい。

 

 輸送遺体は、上流階級の錬金術師達が多いってさ。

 

 あと、損傷が激しすぎる遺体は、輸送の希望をされても直葬される事が多い。

 とても見せられたものじゃないからな。

 

「よし! とりあえずこれで全部だね。次は冷凍するよ!」

 

 バンビは氷の錬金術で遺体を冷凍保存した。

 俺も続けて凍らせる。

 

 「これで輸送遺体は全部だね。処置終了。次は直葬遺体の処理、行ってみよっか♪」

 

 直葬遺体は内容物は取り出さず、直接中を凍らせるらしい。

 

「口の中の汚れを取るよ。はいガーゼ」

 

 アルコールを湿らせて口の中を拭う。

 

「じゃあ次はソーイチクンの本領発揮かな? 死化粧




第21話、いかがだったでしょうか。



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