転生したと思いきや……ピチューでした!?   作:瓶詰め蜂蜜

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二話

 俺がピチューに転生してから数年。同時期に孵化した幼馴染達のうち、早熟な奴は既にピカチュウに進化した頃。俺は一匹、川辺の水浴び場で水浴びをしていた。

 この水浴び場は俺がコツコツと石を並べたりして作った物で、群れのみんなもたまにだが使っている。

 

「ピッピチュ〜……(きっもちいい〜……)」

 

 俺は元々が人間だったからか綺麗好きで、ちょくちょく体を洗わないと落ち着かないのだ。

 ノンビリと水に体を浮かべて寝そべっていると、少し離れたところが騒がしくなった。確か、群れのみんなが居る場所だ……。

 胸騒ぎがして、息を潜めつつも急いで向かう。辿り着き、茂みの影から覗くと、

 

「ピッ!?(なっ!?)」

 

 檻の中に閉じ込められた仲間達の姿があった。

 

「はっ!こんなところでピカチュウにピチューを捕まえられるなんてな」

「とんだ臨時収入だな!はははははっ!!」

 

 檻の近くでは、黒尽くめの男二人がそう言って笑っていた。

 前世の知識から男達の正体に見当が付く。ポケモンハンターだ。

 

「ピッ、ピチュ〜……!(あ、あいつら〜……!!)」

 

 怒りに震える俺は茂みから飛び出し、男の片方に『とっしん』する。

 

「ぐえっ!?」

「なっ!!まさかまだ居たのか!!」

 

 吹き飛んだ仲間を見て、残った男がモンスターボールを取り出し、呼び出す。

 

「やれ!ドガース!!」

「ドガァ〜」

 

 こちらを見下すドガース。初めてのバトルに冷や汗をかきつつも、

 

「ピッ……チューッ!!(やったらあっ!!)」

 

 そう気合を入れて、『じゅうでん』をしてから『ボルテッカー』を使う。

 

「ドガッ!?」

「ピチュっ!?(ぐっ!?)」

 

 しかし、ドガースに激突した際にドガースの口から漏れた『どくガス』を浴びてしまう。

 

「ピッピカッ!!」

「チューピッチュ!!」

 

 檻の中の仲間達が俺に逃げろと叫んでくる。しかし、仲間を見捨てることなんて出来ない。

 毒でフラつきながらもドガースを睨んでいると、横から何かが俺に『たいあたり』してきて、俺の体は吹き飛んだ。

 

「痛えじゃねぇかよ、なあっ!!」

「がるる……っ!!」

 

 先程俺が『とっしん』した男が、痛そうに腹を擦りながらポチエナと共に俺を睨みつけていた。

 

「ピッピカピッ!!」

「チュ〜ピッチュウッ!」

「ピッ、ピチュ……(で、でも……)」

「ピッカチュ〜ッ!!」

 

 群れの仲間達がまた逃げろと一斉に叫ぶ。それに口答えしようとした俺を、群れのボスで、俺の親代わりだったピカチュウが逃げろと命令した。

 

「ピッ……ピチュッ!!(くっ……くそおっ!!)」

「なっ!?」

 

 悔しさを噛み締め、俺は逃げ出す。滲む視界の中、必死に走って走って、俺は友達を、親を、兄弟を、群れの仲間達を見捨てた。見捨ててしまった。

 

 くそっ!くそくそくそっ……くそおおおおっ!!

 

 俺の胸の中で怒り、悲しみ、悔しさ、憎しみ。それらの感情がぐちゃぐちゃに綯い交ぜになって、言語化出来ない。

 ただ、一つ確かな事は。俺は、失ってしまったのだ。大切な物を、全て。

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