転生したと思いきや……ピチューでした!?   作:瓶詰め蜂蜜

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三話

 ポケモンハンター達から逃げて、どれぐらい走ったのだろうか。

 ボロボロになり、ふらふらとなった体。飢渴したままでは、いずれ死んでしまうだろう。

 と、その時偶然にも目の前の木の洞に積まれたきのみを見つけた。飢餓感に襲われていた俺は、本能のままに飛びつき、貪り喰らう。

 

「ピッチュ〜(助かった〜)」

 

 オレンの実に齧りつきながら、ほっと胸を撫で下ろしていると、背後になにやら気配を感じた。

 振り返ると、俺を睨むラッタやイトマル達がズラッと勢揃いしていた。

 

「ピチュ……(オゥ……)」

 

 思わず変な反応をする。どうやら、俺が食べたのは彼等の食料だったようだ。

 

「ヂュ゛ー!!」

「キィィッ!!」

「ピ、ピチュー!?(う、うわあーっ!?)」

 

 怒るポケモン達から慌てて逃げ出す。イトマルの『いとをはく』やコラッタの『かみつく』を躱しつつ、『くさわけ』を利用して素早さを上げつつ、『でんこうせっか』で逃げ続ける。

 

「チュ、ピッチュー!!(もう、許してくれよー!!)」

 

 そんなことを言ってもポケモン達は許してくれず、どこまでも追いかけてくる。

 くそっ!どうしたら……っ!!

 

 内心で愚痴を言いつつ、森の中を走っていると、不意に足元の感触がなくなった。

 

「ピッ?(えっ?)」

 

 下を見れば、はるか下に地面と川があった。

 

「ピヂュ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ッ゛!?(ギャア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!?)」

 

 悲鳴を上げ、崖下へと真っ逆さまに落ちていく。どうにかしなければ、俺は地面の染みになってしまうだろう。

 一周回って冷静になった思考で解決策を模索する。

 流石に風船はないから『そらをとぶ』は使えない。そもそもあれはピカチュウだし……。

 

「っ!!ピッチュッピッ!(っ!!そうだ、『でんじふゆう』だ!)」

 

 上手くいくかわ分からない。どころか、ぶっつけ本番だがこれしか手はなかった。

 俺は一心不乱に体内の電気を操作し、自身に磁力をもたせようと苦心する。

 

「ピィィィィヂュ゛ヴヴヴヴヴヴッ!!(『てんじふゆう』うううううっ!!」

 

 祈るように目を閉じて、電気を操作しながら技名を叫ぶ。すると、

 

ふわっ……どすっ。

 

 一瞬の浮遊感の後、体に軽い衝撃が走った。恐る恐る目を開くと、視界の先には崖の上に青く広がる空と、俺を忌々しそうに見つめるポケモン達の姿が見えた。どうやら俺は賭けに勝ったらしい。

 ほっと息を吐きつつ体を起こすと、川から顔を覗かせる厳つい顔と目が合った。

 

「ピッ、ピチュ(あっ、ども)」

「ぎゃおおおおおんっ!!」

 

 叫び声を上げるギャラドス。その口元に何やらエネルギーが集まっており、俺はとても嫌な予感がした。

 

「ぎゃおおおおおんっ!!」

「ピッヂュウ!?(ぎゃああっ!?)」

 

 咄嗟に躱すが、ギャラドスが吐き出した光線は、川辺を抉り取って新しい水の道を作っていた。

 そして、今の光景で何をされたのか大体の予想がついた。

 このギャラドス、『はかいこうせん』を撃ってきたのだ。それも、「取り敢えず撃っとくか」的なノリで!

 反動で動けない今、俺は必死になって逃げ出した。そして、

 

ツルッ

「ピッ!?(あっ!?)」

 

 俺は走り滑り、見事に転んで川へと落ちる。

 

「ピッビヂュ゛ッ゛!?(まっ不味っ!?)」

 

 必死にもがくが、ピチューの小さな体躯では川の流れに抗えず、溺れて流されていく。

 

 あっやば……。

 

 そして、そこで俺の意識は完全に途絶えてしまった。

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