転生したと思いきや……ピチューでした!?   作:瓶詰め蜂蜜

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八話

「いやぁっ……!!」

 

 怒り狂うガルーラ。その気迫に恐怖したのか、腰を抜かしてしまったカレンちゃん。

 

「ガルァアッ!」

 

 しかし、ガルーラはそれを気にも止めず、血走った目で周囲を見渡している。

 と、そこで気がついた。ガルーラのお腹の袋が空っぽである事を。

 本来ガルーラはおやこポケモンの名の通り、お腹の袋に子ガルーラが入っているカンガルーのような生態のポケモンなのだ。子ガルーラが巣立った場合なら、袋が空でも少し寂しそうにしているだけのはずなのだが、ここまで怒り狂っているということは……

 

「ガルゥラアッ!!」

「ピッチュピ……(やっぱり……)」

 

 今の叫びを聞いて確信が持てた。このガルーラ、子供を奪われたのだ。それも、人間に。

 それで恐らく、怒り狂ったガルーラは人間の匂いを辿ってこの周辺を徘徊しているのだろう。その匂いのもとが、子供達であることに気付かずに。

 そして、子供の方も何故ガルーラが怒り狂っているのかが分からず、逃げ惑い、あの木の洞に閉じこもってしまったのだろう。

 

「ぁ……」

 

 チラリとカレンちゃんの様子を盗み見ると、恐怖によってか、腰を抜かして声も出せない様子だった。

 ……仕方ない。こうなったら。

 

「ピチュッピ!(ガルーラ!)」

 

 俺は気を引き締めて、ガルーラへと呼びかける。背後でカレンちゃんが驚愕の顔をしているのが分かるが、この際無視する。

 

「ガルゥッ……?」

「ピチュッピ。ピピチュピピチュチュピピチュッチュピー(ガルーラ。ここに君の子供はいないよ)」

「ガルァッ!」

 

 俺の言葉に嘘だと食い気味に否定するガルーラ。

 

「ガルァッルゥラッ!ガラァッ!」

「ピチュチュチュッピピチュピ!!ピチューチュピチュピチュッチュピチュ!(それは人間の子供たちの匂いだ!!君の子供を拐った奴のじゃない!)」

 

 必死になって呼びかける。だが……

 

「ガルゥッ、ガラァアッ!!」

 

 怒り狂ったガルーラは止まらず、俺を『ふみつけ』ようとしてきた。

 

「ピチュ……ッ!?(やば……っ!?)」

 

 咄嗟に躱すが、流石に近くにカレンちゃんや子供達がいたら危ないので、遠ざけるように誘導する。と、

 

「ガルガラアッ!!」

 

 今度は両腕での『ダブルアタック』を実行してきた。

 俺は慌てずに攻撃の先を予測して『でんこうせっか』で躱し、『じゅうでん』からの『ボルテッカー』を放つ。そして、接触と同時に『てんしのキッス』を行った。

 

「ガ、ガルゥアッ!?」

 

 混乱状態になったガルーラの隙を窺いつつ、頬の電気袋をスパークさせる。

 

「……ピチュッ!(……今だ!)」

 

 そして、ガルーラがバランスを崩したタイミングで『でんきショック』を当てる。

 

「ガラァッ……!」

 

 急所に当たったのか、ふらりとガルーラは目を回して倒れてしまった。

 

「ピチュゥー……(ふぅー……)」

 

 何とか倒せた事に安堵しつつ、カレンちゃんの方へ振り返ると、呆然とした顔をしたカレンちゃんが俺を見ていた。

 

「ピチュー……」

「ピ、ピチュピ……?(か、カレンちゃん……?)」

 

 カレンちゃんに近寄り、恐る恐る声を掛けると、力強くギュッ!と抱きしめられた。

 

「す、凄いよピチュー!」

 

 興奮したカレンちゃんにガシガシと力いっぱい撫で回されて、ふらふらしてしまうと、それに気付いたのか、慌てて地面に降ろされる。

 

「……けど、ピチュー」

「ピ〜……、ピッ?(う〜……、ん?)」

「助けてくれて、ありがとね」

 

 そう言って笑うカレンちゃんはとてもとても、綺麗だった。

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