その後の話をしよう。
無事、俺とカレンちゃんは子供達を連れて森から帰ってきたが、子供達とカレンちゃんは大人達にとても叱られた。
そして俺も、ガルーラと戦ったことを怒られてしまった。下手したら子供達も危険だったかもしれないからだ。
しかし、カレンちゃんや子供達の話から、ガルーラの子供が行方不明になった事が判明したので、オーキド博士も調べてみると言っていた。
しかし、今回の事で自分の実力がどれほどかは理解できた。まだまだ強くなれると感じ、俺は自主鍛錬を増やしたのだった。
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カレンちゃんの兄のレッドさんがロケット団を滅ぼし、カントーのチャンピオンとなった。その期間は僅か十ヶ月。史上最短記録と十歳でチャンピオンという最年少記録を樹立した、最強のチャンピオンとして、カントー地方どころか、世界で話題となった。
勿論、出身地のマサラタウンの事も、レッドさんの家族の事も話題に上がり、取材にやって来る人達も多くいた。
そして、レッドさんのパートナーのピカチュウの進化前である俺、ピチューをパートナーとしている妹のカレンちゃんも『将来が有望なチャンピオンの妹』として取材を受けたりしていた。
そして、三年後。ついにカレンちゃんが旅立つ日がやって来た。
俺はこっそりマサラタウンの外の1番道路で野生のポッポやコラッタを相手に修行をしていたが、結局進化することは出来なかった。
「ピチュー、準備はいい?」
「ピッチュピ(いつでもいいぞ)」
カレンちゃんの家で、お母さんに見守られながら、俺はカレンちゃんと対面していた。
目の前のカレンちゃんはモンスターボールを片手に握りながら、しゃがみ込んで俺に視線を合わせた。
そして、差し出されたモンスターボールのスイッチを押すと、モンスターボールから赤い光線が射出され、俺の体を包み込み、気が付けばモンスターボールの中に居た。
これで、俺は正式にカレンちゃんの手持ちとなったのだ。
「これからもよろしくね。ピチュー」
「ピッチュチュ!(こちらこそ!)」
ボールから出されると、笑顔のカレンちゃんに元気よく返事をすると、軽々とカレンちゃんに抱き上げられた。
「お母さん。準備できたよー!」
「怪我と病気には気をつけなさいよ。それと……」
「定期的に連絡はするよ!」
「なら良し!」
頭越しに会話をするお母さんとカレンちゃん。
……しかし、この世界では十歳は準成人扱いされるからといって、旅に出すとか、やっぱり前世とは違うな。
そんな事を思っていたら、お母さんが今度は俺に視線を合わせるように中腰になった。
「ピチュー。カレンのこと頼んだわよ」
「ピチュピチュピッピチュ(任せてくださいな)」
胸を叩いてアピールすると、「よろしくね」と笑って頭を一撫でされる。
「それじゃあ、お母さん。行ってきます!」
「行ってらっしゃい、カレン」
お母さんの見送りを受け、俺を抱えたカレンは玄関の扉を開けて外へと踏み出した。
これが、俺とカレンの旅の第一歩なのであった。