「歓迎されてない感じ?」
目の前の青年はそう言い笑う、しかし目は笑ってはおらずこちらを鋭く射抜いてくる。恐怖、先程戦ったシャドーサーヴァントより強く、強大で異質。人として、生き物としての格が違うのだと理解してしまう
「………」
「…マシュ、手が」
「…いえ、いえ、問題ありません」
嘘だ、マシュの手は震えていた。かくいう私も所長も震えが止まらない、この中でまだ冷静でいられているのはキャスターさんだけだろう。キャスターさんが声を荒げながら言う
「テメェ………何処のどいつだ、この場所にゃあもう俺ともう
「あぁそうだな、確かにまだ名乗ってなかったか。ならあらためて自己紹介とするか」
青年は構えていた刀をこちらに向け告げる
「俺はセイバー、真名をヒラだ。よろしくなキャスニキ」
「キャス―――なんだって?つーかお前………それがホントなら、こりゃまた随分とビックネームな英霊じゃねぇか」
『ヒラ?ヒラだって!?人類が産声をあげる遥か前、古の時代、最も古い書物である古世創誕伝に登場する五英雄のか!?無理だ!彼の言っていることが本当なら勝ち目なんて無い!急いで逃げるんだ!!!』
ドクターが叫びに近い声を上げる。歴史や神話に疎い私でも聞いたことがある。
“古世創誕伝”
現存する中で最も古い書物にして言い伝え、“原初の英雄譚”その内容のすべてがあまりにも規格外で非現実的であるため誰かの創作物であるとされているが、著者不明、詳しい時代も不明である。その話に登場する五英雄が一人、闘争と平穏の象徴“ヒラ”
人の身でありながらその力と卓越した技術により生身で“世界を裂いた男”。伝説では一太刀で邪竜の群れを壊滅させていたらしいが、その話にも頷ける。
目の前の青年からはそれをも軽くこなしてしまいそうな圧が放たれていた
――――――――――
58:刀を使う転生者
【悲報】俺、出会った瞬間から敵視されてるもよう
59:人形の転生者
>>58
草
60:聖女様な転生者
>>58
草w
61:怠惰な転生者
>>58
草
62:開祖の転生者
>>58
どんまい
63:刀を使う転生者
なんでやねん、俺なんかした?
64:怠惰な転生者
それにしてもみんなの反応がビビり過ぎだと感じる
65:聖女様な転生者
>>63
ぽまえという存在が怖いからやね
66:開祖の転生者
キャスニキ警戒しすぎじゃね?
67:人形の転生者
ドクター解説あざす。現代にはそう伝わってんのな
>>63
どんまい
>>66
仕方ない、事実そんぐらいヤバいから(冠位資格持ち)
68:刀を使う転生者
>>66
おい
>>66
控えめに言って悲しい
>>67
ドクターの説明聞いて、改めて文字にして表したらだいぶイカれてんな俺
69:聖女様な転生者
やる事成す事やばくて、全員もれなく冠位の資格持ってます!はい
70:怠惰な転生者
まぁついさっき襲われてたんだし少し敏感になってるだけじゃね?
71:開祖の転生者
>>69
草
72:刀を使う転生者
>>69
ひょんなことから資格貰っちった(何故)
>>70
確かに
73:人形の転生者
………待てよ、なあヒラ。お前刀抜いてねぇよな?
74:刀を使う転生者
>>73
何だよいきなり…まぁ鞘から抜いてる、けど……………あっ
75:聖女様な転生者
>>73
何かあるん?
76:怠惰な転生者
>>73
…あー(察し)
77:開祖の転生者
>>74
何その反応?
78:人形の転生者
>>74
はぁ………なあヒラ、お前ほんとにさぁ
79:聖女様な転生者
>>78
ねぇ待ってついてけてないの私だけ?
80:刀を使う転生者
>>78
ガチでミスったわ、ってか忘れてた
81:開祖の転生者
>>79
俺もついてけてないから安心しろ
82:怠惰な転生者
>>79 >>81
そいやお前らは武器とか使わないしな、知らないのも無理ないわ
83:人形の転生者
ヒラが使ってる刀………ってか俺の作品全般につけてる機能なんだけど、持ち手が戦闘態勢に移行した際に周囲を威圧するんよ、割とえげつない感じでな?一般人なら泡吹いて倒れるんじゃね?ってくらいの。まあ某海賊物語の覇王色あたりと原理はおんなじよ
84:開祖の転生者
>>83
へ〜
85:聖女様な転生者
>>83
知らんかった
86:怠惰な転生者
ちなみに俺の槍もその機能ついてる
87:刀を使う転生者
………発案者は俺です
88:人形の転生者
>>87
ヒラの提案に乗っかって、以降は俺も気に入って標準装備になってるんだよ
89:聖女様な転生者
ヒラニキェ………
90:刀を使う転生者
コレばっかりは警戒されてもしゃーないですねはい
――――――――――
「……………あー、その、なんだ…すまなかったな」
数十秒の無言のにらみ合いが続き、キャスターさんもマシュも下手に動けない状況下の中、目の前の青年―――ヒラが、突然申し訳無さそうな表情をしながら“チャキン”と音を立て刀を鞘の中へとしまう。
「………!」
「……………肩が軽くなった」
「…これは」
「………どういうこった」
『魔力反応消失!一般的なサーヴァントの魔力反応になったぞ!?』
彼が刀を鞘へとしまった途端、今まで感じていた重圧が消えて楽になる。所長やマシュは開放されたと同時に“パタン”と座り込んでしまう。まあ私も例外じゃないのだけれども
私達の困惑をよそにヒラは少しバツの悪そうな顔をしていた
「まぁなんだ…俺に敵対する気はねぇよ。今回は俺のミスだな………うん」
「し、信じられるわけないじゃない!簡単に!」
ヒラの話を聞いていた所長が明らかな否定の意を見せる。というよりその表情と取り乱し方を見る限り、恐怖心から懐疑的になっていると言ったほうが正しいだろう。
「だろうな」とでも言いそうなヒラはそのまま所長のいる方へと歩いていく
「ほら、とりあえず立てよ」
「……………」
そうして腰が抜けて未だ立てないであろう所長に、立ち上がれるように右手を差し出す。所長は最初こそ疑っていたものの、特に何かしらのアクションを起こそうとしているわけでもなく、ただの善意で行っている行動であると感じたのかヒラを手を取り立ち上がる
「いつまでも座ったままでいられねぇだろ?」
「あ、あぁ………そう、ありがと」
感謝を伝える所長。そうして完全に信用したとは言えずとも警戒を続ける必要はないだろうと判断したキャスターさん。マシュは信じて良いのかどうか迷っているようでアタフタしていた。少なくとも私は今の行動を見て、信頼できる人なんじゃないか?と思っている
『ひとつ聞きたい、君は本当に“あの”ヒラで合ってるのかい?』
ドクターがヒラに質問をする。“あの”というのはきっと「古世創誕伝」のことだろう、ドクターの様子からして疑っているというよりも確認の意味合いのほうが強いのだろう。マシュが横から小声で話しかけてくる
「ドクターは古世創誕伝の愛読者ですから、興奮と疑心が入り混じった結果でしょう」
「ほへー」
私達が小声で会話をしていると、ドクターの質問に首を傾げていたヒラが答えを返す
「……………なにを疑ってんのかは知らねぇけど、俺は正真正銘ヒラだぜ?」
『生身の人間でありながら神に匹敵する力を持ち、足踏みで大地を裂き棒を振って空を裂き腕を振るって大海を裂いたとされ邪竜の群れを単独で殲滅、その果に世界をも“裂いた”鬼の原型にして魔の原型、そして神のモデルになったとされ更には!友であり戦友のカーベラルと10日間寝ず食わずの状態で戦い合い地形を大きく変えた大災害とも言えるあのガララドニアルの戦闘!そして五英雄の中で最も温和で攻撃的とされ―――(早口)』
「うぉっ!?」
「ドクター止まってください!ストップです!ヒラさんが困惑しています!!」
「やるなぁ軟弱男、あの大英雄サマがあたふたしてらぁ」
「あ、あははー………」
ドクターが興奮しながらオタク特有の早口でヒラを圧倒している様に、思わず苦笑いがこぼれた
ヒラの携える刀
作品名『無刀』
人形の転生者が制作した疑似神造兵器。鞘から抜刀した際に“覇王色の覇気(疑似)”を広範囲に無差別に放出する問題作、二次被害のあまり以降の作品にはセーフティが取り付けられている。持ち主の魔力に同調し形や切れ味、硬度を変化させる。一定以上のエネルギー(聖杯相当)を流し込むことでありとあらゆる対象を概念ごと斬り伏せる刀となる。現在は刀だが持ち主の意思で剣にも大剣にもなる。(剣であるならあらゆるものに変化可能)
本来『無刀』などという名ではなく、ヒラが呼び名を忘れそれっぽく名付けただけである。本来の名は『ギャラクシーエレメンタルインパクトソード』(名付けは人形の転生者)