ロッキーポート号事件開幕から数日前
「ぎゃああああああああああ」
怒声と悲鳴が轟く
「いいぞやっちまえー!」
周りの海賊が焚きつける。
それは奴隷同士の殺し合いだった。
片方は少年であり、片方は成人男性のようだ。
互いに持っているものはナイフのような刃物と水筒。
状況は言わずもがな成人男性が優勢である。
「悪く思わないでくれよ・・・!俺だって家族を守るために必死なんだ」
少年の持っていたナイフは彼に蹴り飛ばされ彼方の方に鎮座している。ナイフと少年の距離は彼と少年の距離より遠く走ってナイフを掴もうものなら先に少年が刺されるだろう。
しかし、現状劣勢である事は変わらず彼はじりじりと近づいてきた。
少年は泣きそうな表情をしながら怯えている
「嫌だ・・・!死にたくない!嫌だ!」
「早く豪水つかっちまえー!」
「おらー!はやくしろー!」
「血を見せろー!」
周りは焚きつけ、囲んでいる有刺鉄線を徐々に狭めていく
「はぁはぁ・・・ぐっ」
覚悟を決め、水筒にあった水をがぶ飲みする
「うおおお飲みやがった!いいぞー!」
「あいつの何時まで生きれるかな!賭けてみようぜ!」
「少年だからすぐにゃ死なねぇだろ!」
水筒を飲み終えた少年の身体から異常なほどの湯気が立ち、腕は大人の腕のように太くなる
「ひっ!」
怯えた男性の隙をつき、彼の身体を押し倒す。
彼の頭や腹を両腕を使って叩き潰す。
彼が完全に動かなくなった後でも彼はひたすら殴り続ける。
その光景はもはや決闘ではなく一方的な殺しであった。
「わああああああ」
「カッカッカッ!試合終了だ!」
「これこそが『強者』!少年!君は弱者から強者へと第一歩進んだ!」
「では戦いの報酬を!」
首に鎖を繋がれた彼の妻と彼の子供である少女が柵の門から追い出される!
「お父さん!お父さん!」
「貴方!」
2人は二度と動かない男の前で泣き崩れる
そして、少女は少年を睨みつける。
「絶対に許さない・・・」
それは憎悪、憎しみの眼が少年に向けられる
「ご、ごめ・・・」
少年は人を殺めた事を再認識したのか二度と取返しがつかない事を悟り自責の念に駆られる少年。
そんな少年に王直は近づきこう放つ
「気にするな!こいつらは弱いからこうなったんだ!強くなろうともしない奴らだからこうなったんだ!だから少年よ!お前が気にする事はないぞ!」
それは悪魔の囁きのように少年にとって都合の良い言葉だった
「僕は悪くない・・・!弱い奴が悪い・・・!」
「少年よ!こやつらは君の『戦利品』だ!好きに使うと良い!」
ポキっと何かが壊れた少年は少女を殴る
「きゃああ」
「やめてください!」
「やめて欲しいならまずは僕に・・いや俺に謝れ!そんな眼を向けた俺に!」
「それとも何か?俺に逆らうのか!」
少女を庇い少年から背を向けながら彼の蹴りに必死に耐える
「ごめんなさい!ごめんなさい!だからお母さんを蹴らないで!!!」
少年は涙を流しながら笑っていた。
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「いやはや素晴らしい催しであった!」
「プルプルプル」
その悦楽を浸っているのも束の間、彼の近くのでんでん虫が鳴り響く
「おお!とうとうきよったか!」
「声を交えるのは久しぶりだな!赤髪!」
「出来ればアンタの声を聴かない方が良いんだがな」
「カッカッカッそれは俺もだ!たまには同じ意見が出るもんだな!」
「で、要件は・・・いや大方予想は着く!同盟についてだろう!」
「ああ、約束だけは律儀に守るアンタがもう同盟はしないと言い放った。」
「あれはつまり俺の敵になるという事で良いのか」
「ああ!敵になるとも!」
「だが今じゃない!まずは前座のカイドウ、ビックマムを討つ!」
「あ奴らとは次に顔を見せたら全力で殺し合うと約束しておるのでな!カッカッカッ!」
「邪魔をするなら邪魔をすればいい!3体1こそ殺りがいがある!」
「邪魔はしないさ。今まで同盟してくれた恩義もある。」
「そういえば赤髪よ。ずっと気になっていたがなぜ俺に同盟を持ちかけた?お前俺の事を嫌いだと思っていたが」
「ああ、嫌いさ。だが一度結んだ約束は必ず守る。それだけは気に入ってるんだアンタの事を」
「そうか!反吐が出そうだ!」
「逆に聞くかなぜ俺の同盟を承諾したのか聞いても?」
「そんなの決まっておる。友達であっても『弱者』を『弱者』のままにする輩は大嫌いなんでな。だからこそ同盟に組んだのだ」
「普通嫌いだったら承諾しないと思うが」
「これにはロックスめに影響されてな。一番嫌いだからこそ、好きになってしまうのだ!」
「難儀な人だな。アンタもロックスも」
「何嫌いな人間を一番最高な瞬間にぶちのめすのが楽しいだけだとも」
「ではな!赤髪!また戦場で会えるなら殺し合おう!」
そういうと王直はでんでん虫を切り、別のでんでん虫に電話をかける。
「俺だ。体(たい)だ」
「例の計画か?ああ、順道通り進んでいるとも」
「心(しん)には既に伝えたか?どこにいるか分からないから伝えられてない?」
「あの計画で一番乗り気になるのは心だというのに、奴め。全くどこに行ったのか」
「まぁ最悪能力を使うまでよ」
「また、計画にあたって『継承』の会議も行う予定だ。まぁその時はせいぜい殺し合おう!」
「ではな技よ!」
「はてさて、どうなるかカッカッカッ!」
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一方その頃、ロッキポート号
「俺の名はトラファルガー・ロー!只今よりこの船は俺が頂く!」
「な!最悪の世代!どこから」
「野郎ども!やっちまえー!」
「ROOM!」
「"RVシャンブルズ"」
向かってきた敵達の心臓らが突然飛び出し、飛び出た心臓が他の者へと入り込む
「おえ・・・気持ち悪い」
知らない心臓が入ったせいなのか、異なる心拍数の違和感により次々に倒れこむ
「す・・・凄い・・・」
「流石はオペオペの実だ。」
「キャー助けてー!」
「命だけはご勘弁を―!」
王族や観光客らしき人々がローの前で跪く。
「別に命までは取らないさ。ただハチノスに向かってもらい、奴隷を演じてもらう」
「そ・・・そんな!そんなの死刑宣告と変わらない!」
「何一時的だ。用が済めばすぐに開放する。」
「そんなの信じられるか!あのハチノスに行くなんて命がいくつあっても足りねぇよ!」
「そもそもこんな船で新世界のハチノスに向かうなんて無謀だ!」
「ならこのまま海の餌にしちまっても良いんだぞ」
「わ、わかった!奴隷でも何でもする!だが本当にハチノスからは出してもらえるんだろうな!」
「ああ、助けてくれるとも優しい海兵さんがな」
「?」
船客達を客部屋へと戻し、倒れた
「あいてて」
「やっと目が覚めたか海賊共」
倒れた海賊達には逃げられないよう縄で縛られていた
「こんな縄で俺達を縛られるつもりか!」
しかし、力を入れると更に縄はきつく感じる
「な、なぜだ!力が入らねぇ!」
「ああ、ほどけないようてめーらの神経に細工した。これで力も覇気も出せねぇ」
「ち、ちくしょう・・・!」
「お前らにはやってもらいたい事がある」
「俺達をハチノスに案内しろ。ハチノスへの永久指針(エターナルポース)ぐらいはあるだろ」
「理由はそうだな・・・海賊と国が密輸の交渉をしていたが突然王族側が暴れ出した。」
「それを鎮圧して裏切った報いとして奴隷にしたという事筋書きにしよう」
「誰がおめぇの言う通りにすると思うんだよ馬鹿が!」
「ならてめーらの脳みそでもいじって俺の命令しか聞かない人形にするか」
彼らのリーダーらしきの頭に手を置くと手から大量の電気をながした
。
「マインドショック!」
「あばばばば」
痙攣し、気絶したかとおもえばすぐに目を覚ました。
「ん?あ?俺何してたんだっけ」
「お頭!しっかりしてくだせぇ!」
「えーと?あ、そうか!裏切り者どもを奴隷の商品として売りさばくためにハチノスに向かわせるだっけっか!」
「野郎ども!ハチノスに向かうぞ!」
「ハチノス〜!ハチノス〜!」
表情はまるで正常な顔つきではなく、左右の眼は右往左往している。
「そんな!お頭は覇気使いなのにどうして能力が効くんだ!」
「んなもん。俺の覇気がこいつの覇気を上回っただけだろ」
「ちと面倒だが他の奴等も操り人形にするか。」
「あーわかった!言う通りにするよ!だからあんな風にはしないでくれ!」
「わかった。だが念の為に俺に逆らえないよう潜在意識に命令を植え付けさせてもらう」
「それも嫌だぁ!」
「ローさん!」
「何だ海兵」
「流石にかわいそうすぎます。やめてください!」
「後、あの人!元に戻るんですよね!」
「そんなのおめーには関係ねぇだろ」
「ローさん!」
真剣な目つきでこちらを見ている。
「わかった。医者の名をかけて必ず元に戻す。おめーにはやってもらわない事が多いからな。」
「ローさんありがとうございます。」
「ありがてぇ海兵さん!俺改心したよ!」
薄っぺらい感謝に対して照れるコビーに不機嫌になるロー
「これで計画の初期段階はクリアした。後はコビー。お前の仕事だ。」
「あまり気が進まないな。騙すなんて」
「おいおい、俺たちは騙してる訳じゃない。ただ「言い方」を変えただけだ。ほら、さっさとしろ。」
急かされるコビーは仕方なく小型のでんでん虫から電話をかける。
「どうした?何かあったのか?」
「えーと‥実はですね。僕、ハチノス行きの船には乗ってなくて違う船に乗ってまして」
「お前、まさか・・・ダミーの方に乗り間違えたんじゃないんだろうな?」
「まぁ事実はそうなんですけど」
「何やってんだコビー!」
割り込むようにプリンス・グルスが声を荒げる
「お前SWORDに入りたかったんじゃないのかよ!ガープさんやドレーク隊長にあれほど時間使われてふざけんな!」
「グルスさん。最後まで聞いてください。これはハチノスの調査に向けて重要な事なんです。」
「王子、気持ちは分かるが少しは聞いてやれ。何やら理由(わけ)」
「ありがとうございます。ドレーク隊長」
「まぁ、俺も理由くらいは聞いてやるよ」
「実はですね。この船もハチノスに向かうらしいんです。」
「は?そこはただのダミーの観光用の船だろ?ならロッキー王国に向かうはずだ」
「そうなんですけど元々この船はハチノスとの密輸船でもあるんです。」
「何だと!?」
「おそらくはハチノスとロッキー王国が裏で繋がっている証拠がこの船には沢山あると思います。」
「大手柄じゃねぇか!コビー!ハチノスとロッキー王国の繋がりが分かれば海軍本部も本腰でハチノス攻略に乗り出すぜ!」
「ドレーク隊長!もうこれ合格で良いでしょう!」
「‥‥ああ、俺もここまで出来るとは思っても見なかった。」
「しかし、あるトラブルが発生したんです。」
「あるトラブル?」
「この船にトラファルガー・ローが現れたんです。」
「あの最悪の世代の一人が!」
「‥‥」
「ええ、そしてこの船を乗っ取りハチノスに向かわせています。」
「おいおい大事件じゃねぇか。」
「そこにガープさんはいますか?もし居たら変わってください」
「なんじゃいコビー!ワシは試験中は力は貸さんと約束したじゃろうがい」
「ガーブさん。この件、世界の『台風の目』になりそうなんです。だからこそ、海軍の皆さんにはこの船に出くわしたとしても素通りするようお願いします。」
「‥なるほど良く分かった。ワシが手を回そう」
「ありがとうございます!」
でんでん虫を切った後、困惑した表情になるプリンス
「ガーブさん。良かったんですか?最初はあんなに頑固に一人でやれって言ってたのに」
「さっきコビーが「台風の目」って言ってたじゃろう」
「あー言ってましたね。世界の台風の目になるって」
「あれはな、ワシとコビーで決めたした緊急信号なんじや」
「この緊急信号の意味は四皇同士もしくはそれに匹敵ふる勢力が本気で殺りあう事を意味している。」
「四皇‥!って事は!」
「そうじゃ、コビーが乗っている船に黒ひげがいるという事になる。」
慌てた表情でドレーク隊長が会話の間に入る
「待ってください。あの船はトラファルガー・ローが占拠しているはず、仮に黒ひげが居るなら戦闘になるはずです。」
「コビーが無事と言うことは恐らくは出会っていないか出会った上で協力している事になる。」
「もし後者ならこの事件はつまるところ、王直打倒のための共同戦線!」
「まさか、ただの調査任務がこんなでかいヤマになっちまうんなんて」
「全くゴッドバレーを思い出すわい」
「ドレーク!グルス!今からハチノスに向かうぞ!」
「これほどの強者(つわもの)が出揃うなら倭が必ず動く」
「ワシらなんとしてでも倭を止める!」
一方、コビーは横目で見ていたローに楽しげに報告していた。
「ローさん!やりましたよ!ガーブさんが動いてくれました。」
「ああ、まさかお前があの英雄ガープと繋がっているとはな思っても見なかった。」
「後のお前の役目はハチノス上陸してからになる。それまではゆっくり休め」
「はい!わかりました。」
客室へと戻るコビーを後に船首近くの屋外エリアで漂うロー
(全く、ロードポーネグリフの手がかりを探すだけだというのにいつの間にか王直打倒に手を貸す事になるとはな。)
「おお、ここにいたか。トラファルガー!やはり船長は船首じゃねぇと落ち着かねぇか!」
「お前の船なんか丸太もどきだろ。」
「そういうなよ。てめーのまともな船じゃねぇ潜水艦なんだからよ!ゼハハハハ!」
「なぁトラファルガー。あいつ面白いだろ?」
「ああ、見どころはある。ひょっとしたらあいつが海軍の英雄になるかもな。」
「俺の勧誘を断ったんだ!寧ろなってもらわねぇと困る!大物になってからぶちのめすのが今から楽しみだ!」
「イカれた奴だ。」
「おめぇだって十分イカれてる。王直の不死身性だけしかわかってねぇのに「あんな」作戦を立てちまうなんてどういう発想してやがるんだ?」
「否定しなかった時点である程度の確信はあったって事だろマーシャル屋」
「ああ、ハチノスにあったら針が1つの謎の時計台と謎の数字。そして、野郎の視線の先と奴隷の数の多さ。解決方法が見つからねぇから放置していたが、まさかてめぇが同じ答えに行くなんて思っても見なかったぜ」
「たがまぁその計画事体ハチノスに向かう事が前提だけどな」
「気になかったんだがマーシャル屋、相手は能力者。殺せないとしてもてめーのグラグラの実の能力で島ごと潰せばよかったんじゃねぇのか?」
「ハチノスが無くなっちまうからあまり使いたくねぇ手段だがそれも試したさ。たがアイツによって防がれちまった。」
「アイツ?」
「ああ、「倭寇」っていう女海賊だ。」
「おめぇの計画は中々に立派だが穴がある。その穴こそが奴だ。奴をなんとかしねぇ限りハチノスには辿り着けねぇ」
「そんなビッグマムみてーな女がいやがるとはな。」
「現状、あいつに勝てるとしたら英雄ガープか俺以外の四皇ぐれぇなもんよ。」
「なるほどだからコビーがガープと縁があった瞬間、喜んでやがったのか」
「ああ、これで本当に何かが変わるぜ」
「歴史の1ページに乗るほどによ」
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新世界、とある場所
「夏草や兵どもが夢の跡」
「されど五月雨の降り残してや光堂(ひだりだう)」
赤い三日月を背景に血が滴る地面をかけ、舞いを踊る女が居た
「全く、これが今の『海軍大将』でありんすか。あっけない」
「久しぶりに和の国言葉が出てきたと思いきやこの様。やはり手ごたえを感じるのはガプ坊ぐらいでありんすねぇ」
「聞いておりますか?お三方さん」
彼女の目の前には赤犬、青キジ、黄ザルが倒れていた──────
続く