倒れ込んでいる彼らの目の前で舞踊を踊り続ける倭寇
その狂気はまるで地獄と錯覚させるほどの光景でもあった。
「全く覇王色が使えていればここまで返り血を浴びる事は無かったでしょうに。でも仕方ありませんわね、私(わたくし)、王の器ではごさいませんので。」
着物と鎧が合わさったかのような服に付着した血を片手で持っていた両刃が付いた赤い十文字槍の刃の先端に当てるとまるで血が無かったかのように消え去る。
「全く嫌になるねぇ〜化物退治」
「奴さんの獲物は妖刀ならぬ妖槍(ようそう)。鬼に金棒とは当にこの事なんじゃないのぉ」
「これが和の国の"侍"の強さちゅうわけか!」
「侍?私は侍ではありませんが、随分と懐かしい言葉。昔は色んな侍と殺りあったものです。」
「しかし昨今の侍はただのチャンバラごっこ。全く嘆かわしい」
「カイドウを倒した時は和の国には私がもっと楽しめるよう強い国にしなければなりませんねぇ。後は‥‥」
わざとらしい悲しげな表情や動きの瞬間を狙い、彼女の真下の地面から氷柱が飛び出るが素早く後ろへと躱された。
しかし、それは次の攻撃の布石にすぎない。
「大噴火!」
「天叢雲剣」
彼女の背後からマグマの拳と彼女の頭上から振りかざした光の剣が同時に彼女へと襲う
「八幡(ハチマン)切り!」
しかし、それはかき消された。
ただの横と縦の回転斬りかと思われた攻撃は実体のある真空波へと変じ、2つの攻撃を簡単に押し返した。
そして、その回転斬り後の突きから生じた台風がごとき真空波は青キジへと向かう
「カルテットアイスシールド(四重奏氷盾)!」
彼の目の前に盾が4つ重なったダムのようなでかい建造物が4列分地面から生成される。
災害にも近しい暴風は一瞬止まったが防ぎきれず呆気なく粉々になり青キジへと直撃した。
「ここまで威力を下げてまだ覇気が残ってやがるか!」
「クザン。大丈夫かい〜?」
「ただのかすり傷程度。どうってことねぇ」
「最近の若者は人の話を最後まで聞かない。全く嘆かわしい」
「見た目だけ見りゃあっしらの方が若く見えますがねぇ。」
「不老の人間は厄介じゃのう。」
「おいおいアイツ不老なのかよ。どおりでファッションが2回りぐらい古かったのか」
煽る青キジに少しイラッとする倭寇
「減らず口を叩けるなら、まだまだ余力は有りそうですね!なら──」
その瞬間、空中に浮遊していた携帯でんでん虫が鳴り響く、その声は王直の声だった。
「倭寇かー!今すぐハチノスに戻れ!久しぶりに『アイツ』と戦争(殺し合い)ができるぞ!」
「‥!もしかしてガプ坊!?」
「ああ!あの鉄拳のガープだ!」
「それは直ぐに向かわないといけませんね。」
「ああ!大きな戦の前哨戦には持って来いだ!カッカッカッ!」
その後、浮遊していたでんでん虫は海へと落下する。
「少しの間ですが命拾いしましたね。御三方」
「ガプ坊を倒せば次は貴方達の命を貰います、」
「その間、精々殺されないように頑張ってください」
「強くなる強者は誰でも大歓迎ですから」
そう発した後、突然槍は弓に変形し矢をあたかも持っているように弓を構えた
「空鄒ち三宝八式!」
弓を射るようなポースを取った瞬間地面から風が放出され、彼女はその風に乗り彼方の方へ空を飛ぶ。
「今のわしらにはまだあの世代の足元にも及ばんちゅ事か」
「いや、あの広範囲覇気攻撃出してくる奴に自然系(ロギア)能力者がこれだけやれてんだ。良い出来なんじゃねぇのか」
「それにおめぇ、頂上戦争の傷まだ癒えて無いだろ。」
赤犬の腹部をそっと抑える。
「後、言い訳するなら海軍本部マリンフォードからここまで来るのは時間がかかってしまうのも難点だねぇ。この歳じゃ本調子に戻すのも一苦労だ。」
「人材不足と練度不足なのもネックじゃねぇか。先の頂上戦争において辞めた海兵も少なくねぇし、練度不足で散っていった海兵も多い。少なくとも少将以上は四皇の幹部を圧倒出来るくらいじゃねぇとこの先厳しいだろう」
「まぁ海軍大将が四皇レベルに殺されそうになってる時点で説得力はねぇがな」
「海軍本部の移設。人材の確保、全くやる事が沢山あるわい」
「センゴクさんも元帥の任も降りるっちゅう訳だし一体誰が元帥に‥‥あ、まずいねぇ〜」
ボルサリーノが慌てた表情で2人の顔を見る。
2人の顔はどこか険しそうだ。
「話を蒸し返して悪いけどよ。サカズキ、おめぇ本気で元帥になるつもりか?」
「ああ、そのつもりだと散々言う通りじゃろうがクザン。」
「ワシが元帥になり、この海軍を変える。『徹底した正義』による海軍にな」
「それで今より犠牲になる海兵が増えるとしてもか?」
「そうじゃなければこの海賊時代は終わらん。例え何を犠牲にしてもな」
「サカズキ。俺はてめぇの事同じ仕事仲間としては嫌いじゃねぇが。その正義だけは別だ。相容れねぇ。だからこそてめーが元帥になるくらいなら俺が元帥になる。」
「お主のダラけきった正義で何が変わる?ただの現状維持じゃろうが!そんな正義なんぞ今しか通用せん!いつか必ず崩壊する!」
「お前の地獄よりかは遥かにマシだろうが!何の罪のねぇ奴等を良しとし続けるなら守りてぇ奴がいなくなっちまうぞ!」
「全くいつ聞いてもこの話は平行線なままだねぇ」
「傍観しとるがのうボルサリーノ!お前も元帥になる可能性はあるんけぇの!」
「いやいやワシこそどっちつかずになって最悪の結果になるのが目に見えちまうよ」
「そういえばサカズキ。家出した娘さんの居処は掴めたのかい?」
「知らん。そんな奴」
「全く頑固親父には困るねぇ」
「サカズキに娘‥?ってかおめぇ結婚してたのか!」
「‥‥お前には関係ない」
「いるよぉ。名前は確か、ひばりちゃんだっけか。ほれ、この写真」
青キジの目の前に写真を見せる。それは家族と黄猿の和服姿の写真であった。
「おいおい滅茶苦茶美人じゃねぇか!おい!本当にサカズキの子か?」
2人は何度も確認するように写真とサカズキを見比べる。
「おんどらぁ!ええ歳したおっさんが人の娘ジロジロ見るな!気持ち悪い!」
そんな冗談もつかの間、黄猿は険しい表情へと変わっていく
「サカズキ。ひばりちゃんももう15だ。少しぐらいは彼女の意見ぐらい聞いてあげたらどうだい?」
「奴は海軍になるという事がどういう意味なのか分かっておらん。」
「その覚悟も備わっていない上に奴は弱い。実力が伴っていないのにただ自分の夢ばかり通そうとする。だからワシは反対しているだけに過ぎん」
「ははん、なるほどわかったぜ。」
「サカズキ、お前自分の作った海軍に自分の娘を入れるが怖いんだろ?」
「お前の正義は弱者を見捨てる正義だ。それを自分の娘を失うのが怖くて仕方ない違うか?」
「フッ」
不敵に笑う赤犬
「そんな覚悟ワシがしないと思っていたか?」
「ワシはワシの正義を貫くなら自分の娘も犠牲にする覚悟はあるわい」
「‥‥それは本気で言ってるのか、サカズキ。」
「ああ、そうでなければ他の者に示しがつかん。」
「サカズキ‥てめぇ!」
「クザン、分かってやりないよお。サカズキの心意気よお」
「本気でサカズキが自分の娘をどうでいいと思うならわざわざ海軍を反対せんでしょ」
「そうかもしれねぇけどよ」
「やっぱり俺は何の罪のねぇ人達を犠牲にする『正義』だけは受け付けねぇよ」
そういうと青キジは海軍の船へと戻っていく
「ワシらも船に戻るぞ。あの倭寇を追わねばならんしな」
「了解。全く、海軍には福利厚生という概念が無いのかねえ」
2人も船へと戻り黄猿はある事を考え、赤犬はそっと呟いた。
(サカズキとクザン‥‥いつか互いにぶつかり合うと思ってたがここまで拗れるとはねぇ)
(おおごとにならなきゃいいが‥‥まぁなるようにしかならねぇか)
「ドラゴン‥‥ワシは必ずお前を捕まえるぞ。何を犠牲にしてもな‥‥」
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一方そのころ、ロッキーポート号
「わああああ沈むううう!」
荒れ狂う海、予測不能な天候、船を大きく右往左往と傾いている。
「貴方達本当に海を行き渡る海賊なんですかー!」
「「うるせー!!!俺は船長なんだぞ!」」
慌てふためくコビーを背に船が転覆しないよう制御するローと黒ひげ
その光景は初めて船に乗った人が操縦するかのような危うさを見て取れるようだった。
「くそ!こんな事なら航海士ぐらい捕虜にするんだった!」
「敵の航海士を信用できんのか?どうせハチノスとは真逆の道に進まされるだけだぜ?」
「まぁ今よりかは幾分かマシだろ!」
荒れ嵐の中周りはカームベルトのように海王類が跋扈
している。
「空中震破!(エア・グラッシュ)」
「Room!メス!」
船に飛びかかる海王類達を黒ひげが地震の衝撃で押し倒し、押し倒した海王類達の心臓を抜き取り彼方の方に抜き取る。
が、しかしそれは一時的に過ぎす大量の海王類が船を襲う
「くそ!キリがねぇ!こうなったら!」
黒ひげの腕から這い出た黒い煙が船の竜骨付近を覆う
「おいまさか!」
「そのまさかよ!」
「船飛震破(ドラゴン・グラッシュ)!」
船の真下から地震が起こったかのような強い衝撃がまるでクジラの潮吹きのように船を空へと押し上げるた。
「てめぇらぁ!振り落とされんなよぉ!?」
「あいからわす、悪魔みてーな能力だ!」
「これならまだ客船に居たほうがマシだあああ!」
周りの海王類を押しのけ、船は津波に乗り前へ前へと進む。
そして、船は嵐と海王類が跋扈するエリアから難を逃れる
「これで今日出せる力は全部使い切った、ぜ・・・」
そう呟くと黒ひげは気絶し、隣にいたローも満身創痍の状態である。
「対した事ねぇなハァハァ・・・黒ひげ屋も」
「仕方ないですよ・・・あの多くの海王類をほとんど相手したんですから」
「おい、海兵。帆は大丈夫なんだろうな?」
「はい、それだけはちゃんと守るように努めてましたから」
そんな平穏もつかの間、追ってきた海王類が船の背後
から迫っていた。
「まずい!」
「震脚 剃!」
瞬時に船の前から船の後ろへと移動し、海王類の顔面に蹴り飛ばす。
そしてその蹴りの振動は海王類へと伝わり、海王類は気絶した。
「悪く思わないでくださいね。」
悪いと思ったのか海王類相手に謝罪の一礼をする。
「海王類相手に謝罪するとかイカれた海兵だ。」
しかし、海王類は2匹いた。今度は船の真下から潜り込み船の全方へと立ち塞がる
「なんだこいつは!でけぇ!」
今まで倒した海王類より遥かに大きく船を覆うかのような迫力を感じる。
「くっ脚が・・・」
連戦により疲労が溜まったのか膝から倒れるコビー
「くそ!立ち上がれ!頼むから!」
必死に立ち上がろうとするが脚が上がらず震えている。
「ここは・・・・俺に任せろ・・・・」
よれよれになりながらも海王類の前に立つが全く歯が立たない。
「こんな雑魚!いつもの俺なら・・・」
海王類の攻撃を受け、ローは倒れてしまった。
「こんな所で終わっちまうのか・・・畜生!」
続けてローも気絶する。
「僕が戦わなきゃみんな死んでしまう!」
「この船には何の事情も知らない人達も乗ってるんだ!」
「だから僕の身体!立ち上がってくれえええ!」
必死の声掛け虚しく脚は立ち上がらない。
絶体絶命な瞬間、笛のような音が鳴り響く。
音を聞いた海王類は嫌そうに何処かへといってしまう。
そして、コビーたちが乗っている船より後ろにもう一隻小さな船が見える。
「大丈夫ですか?よそ者さん」
「君があの海王類を追い払ったんですか?」
声をかけたのは年端もいかない女の子であり、部族的な衣装を着込んでいる。
「どうやら航海士無しで進んでいるみたいですね。」
「ここから先、航海士無しは無謀です。引き返すなら今のうちですよ」
「忠告はしましたからね」
そう言うと近づいた船は離れ東の方向へと進んでいった
「何だったんだ今の」
絶体絶命の危機を回避した安堵からか彼も倒れ眠りにつく
そして、その瞬間、誰から達の声が聞こえる。
「あの眼鏡小僧・・・惜しいな、身体や覇気はある程度鍛えているというのに非効率な動かし方のせいで無駄に体力をつかっておる。」
「仕方ないよ、おじいちゃん。私だってうまく使いこなせないんだから」
「お前はまず身体から鍛えなさい。小手先の覇気の技術ばかり覚えよって」
「人には得意不得意があると思いまーす。」
「はぁ、大昔は『流桜』のような覇気使いがごろごろといたもんだというのに今となっては数人程度・・・全く嘆かわしい」
「はいはい、もうすぐ「ココナッツ島」に戻るからその話は後でねー」
「年寄り扱いするな!セント!」
「年寄りでしよ!70歳超えてるんだから!」
「『流桜』・・・?」
疑問に思ったのもつかの間、彼の意識は闇へと落ちていった。
続く