転移したらクソ強い奴らがめっちゃいた件 byベジット 作:天下無敵の肩こり
平日は基本的に1話か2話更新になると思います…
第8話 宴
地下迷宮での闘いを終え、迎賓館の宴会場へと向かったベジット。
上座へと招かれ、饗されたのは色とりどりの食材達。
「…美味そうだな」
「だろ?」
思わずこぼれ出そうになる涎を飲み込みながら、ベジットは喉を鳴らす。
「今回は俺の個人的な事情で開いた宴会ってことにしてある。だから気にせず好きに食って飲んでくれ!」
「ホントに好きに食って良いんだな?俺は遠慮はしねえぞ」
恰幅良く告げたリムルは、サイヤ人の底なしの食欲の前に舌を巻くことになる。
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「あ〜っ食った食った!満足だぜ、ご馳走さん。」
「ほ…ホントにめちゃくちゃ食うんだなサイヤ人って…」
誇張抜きで何百枚もの皿を短時間で平らげたベジットに、呆れ半分感心半分といった感じである。
「まぁ、喜んでもらえたなら良かったよ。」
「おう。どれもこれも美味かったぜ」
片付けを始めた奥の厨房に大きな声で礼を言いつつ、ベジットはリムルの前に向き直った。
「さて…と飯も食ったことだし。そろそろ本題に移ろうじゃねえか」
「お」
それは待ちにまで願った瞬間。ードラゴンボールの先の展開についての話である。
「俺に色々と聞きたいことがあるんだろう?言ってみろよ。 美味いもんたらふく食わせてもらったんだ、これぐらいはしてやるよ」
他ならぬそれを知る本人からの申し出に、乗らない手は無かった。
「じゃあまずは、どうやってここに来たのかを教えてもらえるかな?」
「そこからか。少し長くなりはするが…」
ベジットはここに来た経緯を未来世界での戦いから、順を追って話し始めた。
………
……
…
話の過程で全く知らなかった設定や登場人物が次々と飛び出し、リムルを驚かせた。
「破壊神ん?天使い?なんだそりゃ、Zが終わってからの正史ってことか…?」
「なんだ、お前は俺の事を知っているようだったから、てっきり知ってるもんだと思ってたぜ。あ、そうそう」
「ん?」
「何でお前やあいつは、俺のことを知っていたんだ?ずっと気になっていたんだが。」
「ああそれね、俺も言いそびれてたよ。実は…」
リムルはベジット…もとい悟空とベジータの活躍が綴られていた物語、「ドラゴンボール」についての知識を話し、ベジットを知った理由を語った。
「なんだそりゃあ、絵物語に俺達がいたのだと?馬鹿馬鹿しい…」
「いやこれがホントなんだって!じゃなきゃあんな反応したりしないだろ?」
「ふむ…まぁ確かにそう考えると一応辻褄は合うか。」
余りにも現実離れした理由に疑念を持つベジット。
だがそれが状況的にも信憑性が高いと一応納得はしたようだ。
「…これでお互いの情報の擦り合わせは粗方終わったかな」
「ああ。俺からも言いたいことは特にはない…が」
「が?」
「お前に一つだけ聞いておきたいことがあってな。これは多分お前にしか分からない。」
突然の投げかけに、リムルは困惑しながらも応諾する。
「お、おう!俺にできることならなんでも聞いてくれ」
「なら遠慮なく。さっきの話…人間が扱うポタラは1時間しか合体が保たないって言っただろ?」
「あ!そういうことか」
「そういうことだ」
リムルは今自分の前にいる男が、本来居るはずの無い者であることに思い至った。
「はっきり言って、俺には良くわからん。変わった点を強いて挙げるなら、自分が元は2人であったと言う自覚が少し薄れたぐらいか…」
「なるほど…」
「お前は他者の状態を知ることに長けているとヴェルドラから聞いた。そこで分かる事があったら教えてもらいたいと思ってな。」
「あいつ、人のこと好き勝手に言いやがって…まあ確かにそうだけどさ…分かった。何が分かるかはちょっと見えないけど、取り敢えずやってみるよ」
リムルはそう言って、改めてベジットを視た。
(だそうだ。先生、何か分かるか?)
《解。個体名:ベジットの情報は既に解析済みです。前回も説明した通り、構成する物質そのものが情報化し精神生命体となったことで、人の域を越え合体の時間制限という枠組みから脱したものと推測されます。》
(なるほど…つまり前提となっている人間同士の合体ってとこが崩れたってわけか)
「俺が視たところによると、あんたは既に人間じゃなくなってるらしい」
「俺が既に人間ではない…だと?」
「ああ。さっき聞いた話によると、あんたはこの世界に渡ってくる時に相当な無茶をしたんだったな。多分だけどそれで肉体の構成情報が精神とリンクして書き換わったことで、より高位な存在へと進化し合体の制限時間もなくなったんじゃないかってことらしい。」
「なんか良くわからんが…つまり俺は前よりも強くなったってことでいいんだな?」
「まあそりゃね…この世界じゃ精神生命体であるか否かによって次元が変わってくるレベルだし」
「そいつは重畳。聞きたいことは以上だ。助かったぜ」
思ったよりも潔いベジットに、リムルはつい聞きたくなってしまった。
「なぁ…」
「ん?」
「元の姿に戻りたいとかって、考えたりしないのか?」
「……そうだな。前までの俺達2人なら、合体したままなんて望まなかっただろう」
「なら…」
「だがよ、それはあくまで「2人だった時」の話だ。今は違う」
「え…?」
思わぬ返しに、意図がつかめず困惑する。続けざまに持論とも言うべきか、合体したものにしか分からぬ価値観についてが語られた。
「俺たちは戦闘民族だ。どんな手段を用いた結果だとしても一度得た強さは己のもの。手放したくなんてない。つまり、俺は一人の戦士として、弱くなるのを望まないってことだ。」
「なるほどなぁ…確かにあんたはあの2人のどちらでもない全くの別人ってわけだし。そりゃそうなるよな…」
「話が早いと楽だな。まぁそういうこった。元の世界に戻る時にゃ流石に色々と話は変わってくるだろうが…そん時はそん時だ。今考える必要はない。」
一人の戦士としての強さへのこだわりに感心すると同時に、畏敬の念をも抱かせる程の誇り高さ。
まさしくサイヤ人の極み同士の合体、ここにあり。
リムルは今一度、ベジットという一人の漢に魅せられていた。
その後も話は夜通し続き、丑の刻を回ったほどでお開きということになった。本人の許可を取り付けたことで、これ以降、彼の情報をリムルが各地の知己に共有することになる。
これが後に全世界をも巻き込む大波乱の幕開けになるとは、リムルとベジットは思いもしていなかった。
こっからどうやって原作の流れにぶち込んでいくかなぁ…